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第3章 学園編1
3.20 帰宅前に
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ようやく学園の生活が終わったが、卒業式の前にエイレーネアテナ様から連絡があった。
『卒業式後の翌日、貴方が学園で回らないといけない場所をすべて案内します』
そう言う連絡だった。
エイレーネアテナ様から聞いた情報をもとに図書館で調べていたが結局正確な情報の書かれた本を見つけられなかったので助かった。
ようやく学園の生活が終わったが、卒業式の前にエイレーネアテナ様から連絡があった。
『卒業式後の翌日、貴方が学園で回らないといけない場所をすべて案内します』
そう言う連絡だった。
エイレーネアテナ様から聞いた情報をもとに図書館で調べていたが結局正確な情報の書かれた本を見つけられなかったので助かった。
当日、朝からエイレーネアテナ様が使役獣で案内をしてくれるそうだ。
エイレーネアテナ様の使役獣は猫バスだった。
「レーネ、これは猫バス?」
「ええ、そうよ」
「向こうの世界での空想の生き物ですよね」
「こちらに現界する姿は、ある程度自分の思いを反映できるのですよ。知りませんでしたか」
「へー」
「クレストは飛ぶと言うイメージで天使を想像したのよ。翼の無い使役獣でも飛べるのだから体に羽を付ける必要はないでしょ」
「そうか。なるほど。じゃあこの猫バスも羽が無いのに飛べるのですね」
「猫バスなのだから、飛べるに決まっているでしょ。クレストの天使もその羽だけで飛んでないないでしょ。できれば羽を小さくするイメージにした方が良いわよ。その方が安定すると思うわ」
「そっか、やっぱり重力を操作している感じですよね」
「さあ。どうでしょ。何も疑問に思わなければ飛べるのよ。さあこっちに乗りなさい」
エイレーネアテナ様が言うと猫バスの左右の入り口が開いた。彼女が右側から乗り込み僕は左に乗った。そして後ろの席に彼女の護衛騎士が乗り込む。
「出発します」
中央の領を出発し、地図を見ながら上空からそれぞれの重要な場所を教えてくれた。そして一つの祠の前で降りる。
「あなたはまだ神の意志を取っていないから入れないと思うけど、もし入ってしまっても魔力を奉納してはだめよ。5年生になるまではここに入ってはいけません。先日、それを伝え忘れて奉納の事を話してしまったので、改めて案内しているのよ」
「神の意志。上級貴族しか貰えないスティックの事ですか」
「そうよ。スティックは加護の儀式を行った時に貰えるけれど、4属性以上の属性を持っていて、ある程度以上の総魔力量が無いとスティックを貰うための扉が開かないのよ。上級貴族あるいは中級でも上級に近い人たちが貰えるわ。では、残りの祠の位置と最後に回る神殿を案内するわ」
そういって次々に案内をしてくれた。最後の神殿は図書館の裏にあり、意外に小さい。だが、誤って見つけて中に入る危険性が一番高い建物だ。
その後で少し広めの所に出てから、レーネが話し始めた。
「まずは、全属性の能力を増やすのよ。それには像に魔力を注ぎこむ。貴方ならもう終わるわね。次ね、次。その次はすべての神具に魔力を注ぎなさい。中央神殿にはすべての神具があるでしょ。私の領地の神殿はいくつかの神具が失われていたわ。神具に魔力を注げば、スティックを得た後にスティックで神具を作れるようになるわ」
「神具が作れるようになるのですか」
「ええ、たとえば盾の神具に魔力を奉納すれば盾が作れるようになるの。それと神聖魔法を組み合わせると聖域を作れるわ」
レーネが最初に魔法で盾の神具を出した。その後で祝詞を唱えると、盾が大きくなり半円球の結界ができた。
「この盾は貴方が対抗戦で使った盾よりも強力なのよ。そしてこの結界の中に入った後に攻撃の意志を持つ者もはじき出されるわ。こんな風に神具を作れるようになればいろいろと便利なのよ」
「レーネ。同郷と言うだけで僕の事を気にかけてくれて、ありがとう」
「いえ、どういたしまして。余計なことだったかもしれないけど」
「いえ、感謝します」
「そんなに感謝しなくても良いわ。私がこの世界で生きていくのにも貴方に成長してもらわないとだめなのよ。そして立派な王になってね」
「ええ。できる限り」
「さあ、最後に図書館を案内するわ」
皆で図書館に移動する。司書に頼んで普段は開けない扉を開く。
「この奥にあるのだけど、ここから先は領地の礎に登録された人と王族以外は入れないの。さあついてきて」
レーネがさっさと歩いて中に入るので、僕もついて行く。後ろを振り返ると僕の護衛達は入り口の手前で見えない壁に阻まれている。
中に進むとさらに扉があった。
「この扉は全属性でなければ開かないわ。ここに魔力を流して。一度流せば入れるようになるわ」
言われた通りに魔力を流す。目の前の扉が半透明になった。レーネはさっさと中に入った。僕も半透明の扉に手を押し込むとスッと中に手が通った。奇妙な感覚があるが中へと入る。
部屋の中には本棚があり、本が並べられていた。
「ここの本を調べるとさっき案内した祠の事も、他にも昔の神事、さまざまな呪文を手に入れる事ができるわ。でもほとんどすべての書物が日本語で書かれているの。この日本語は古語として扱われているけど、おそらく今の王族は古語を読める人がいないのよ。ここの書物は持ち出せないから貴方が読んで翻訳するしかないわ」
「そうですか。それにしても大量の本だな」
「私あは自分が読みたいところだけ書き留めたけど、あなたは王になるのだから私よりも知らなければいけないことが多いと思うわ。私がここに入ったのは3年生。今のあなたは魔法の使い方をほとんど知らないから読んでもわからないところが多いと思うわ。私と同じ3年生になったらここに通いなさい」
「わかりました」
「では、そのうち領主会議で会いましょう」
「領地に戻ったら婚約式ですか」
「ええ、そうよ」
「式では会えないので一言。おめでとう」
「ふふ。ありがとう」
そういって、彼女と別れた。僕は王に挨拶をした後で領地へと戻った。
立派な王か、王と言われても全くピンとこない。
前世の記憶、そして亡くなった半身のクレストリアの知識があればもう少しイメージできるのだろうか。だが前世の記憶を持ったクレストリアは死んだ。おそらく前世の記憶は思い出すことできないだろう。
無い物を求めてもしょうがない。
王となるにふさわしい人、王の器と言われるような人。そんな人ってどんな人の事なんだろう。どうしたら良いのかなと悩み始めた。
『卒業式後の翌日、貴方が学園で回らないといけない場所をすべて案内します』
そう言う連絡だった。
エイレーネアテナ様から聞いた情報をもとに図書館で調べていたが結局正確な情報の書かれた本を見つけられなかったので助かった。
ようやく学園の生活が終わったが、卒業式の前にエイレーネアテナ様から連絡があった。
『卒業式後の翌日、貴方が学園で回らないといけない場所をすべて案内します』
そう言う連絡だった。
エイレーネアテナ様から聞いた情報をもとに図書館で調べていたが結局正確な情報の書かれた本を見つけられなかったので助かった。
当日、朝からエイレーネアテナ様が使役獣で案内をしてくれるそうだ。
エイレーネアテナ様の使役獣は猫バスだった。
「レーネ、これは猫バス?」
「ええ、そうよ」
「向こうの世界での空想の生き物ですよね」
「こちらに現界する姿は、ある程度自分の思いを反映できるのですよ。知りませんでしたか」
「へー」
「クレストは飛ぶと言うイメージで天使を想像したのよ。翼の無い使役獣でも飛べるのだから体に羽を付ける必要はないでしょ」
「そうか。なるほど。じゃあこの猫バスも羽が無いのに飛べるのですね」
「猫バスなのだから、飛べるに決まっているでしょ。クレストの天使もその羽だけで飛んでないないでしょ。できれば羽を小さくするイメージにした方が良いわよ。その方が安定すると思うわ」
「そっか、やっぱり重力を操作している感じですよね」
「さあ。どうでしょ。何も疑問に思わなければ飛べるのよ。さあこっちに乗りなさい」
エイレーネアテナ様が言うと猫バスの左右の入り口が開いた。彼女が右側から乗り込み僕は左に乗った。そして後ろの席に彼女の護衛騎士が乗り込む。
「出発します」
中央の領を出発し、地図を見ながら上空からそれぞれの重要な場所を教えてくれた。そして一つの祠の前で降りる。
「あなたはまだ神の意志を取っていないから入れないと思うけど、もし入ってしまっても魔力を奉納してはだめよ。5年生になるまではここに入ってはいけません。先日、それを伝え忘れて奉納の事を話してしまったので、改めて案内しているのよ」
「神の意志。上級貴族しか貰えないスティックの事ですか」
「そうよ。スティックは加護の儀式を行った時に貰えるけれど、4属性以上の属性を持っていて、ある程度以上の総魔力量が無いとスティックを貰うための扉が開かないのよ。上級貴族あるいは中級でも上級に近い人たちが貰えるわ。では、残りの祠の位置と最後に回る神殿を案内するわ」
そういって次々に案内をしてくれた。最後の神殿は図書館の裏にあり、意外に小さい。だが、誤って見つけて中に入る危険性が一番高い建物だ。
その後で少し広めの所に出てから、レーネが話し始めた。
「まずは、全属性の能力を増やすのよ。それには像に魔力を注ぎこむ。貴方ならもう終わるわね。次ね、次。その次はすべての神具に魔力を注ぎなさい。中央神殿にはすべての神具があるでしょ。私の領地の神殿はいくつかの神具が失われていたわ。神具に魔力を注げば、スティックを得た後にスティックで神具を作れるようになるわ」
「神具が作れるようになるのですか」
「ええ、たとえば盾の神具に魔力を奉納すれば盾が作れるようになるの。それと神聖魔法を組み合わせると聖域を作れるわ」
レーネが最初に魔法で盾の神具を出した。その後で祝詞を唱えると、盾が大きくなり半円球の結界ができた。
「この盾は貴方が対抗戦で使った盾よりも強力なのよ。そしてこの結界の中に入った後に攻撃の意志を持つ者もはじき出されるわ。こんな風に神具を作れるようになればいろいろと便利なのよ」
「レーネ。同郷と言うだけで僕の事を気にかけてくれて、ありがとう」
「いえ、どういたしまして。余計なことだったかもしれないけど」
「いえ、感謝します」
「そんなに感謝しなくても良いわ。私がこの世界で生きていくのにも貴方に成長してもらわないとだめなのよ。そして立派な王になってね」
「ええ。できる限り」
「さあ、最後に図書館を案内するわ」
皆で図書館に移動する。司書に頼んで普段は開けない扉を開く。
「この奥にあるのだけど、ここから先は領地の礎に登録された人と王族以外は入れないの。さあついてきて」
レーネがさっさと歩いて中に入るので、僕もついて行く。後ろを振り返ると僕の護衛達は入り口の手前で見えない壁に阻まれている。
中に進むとさらに扉があった。
「この扉は全属性でなければ開かないわ。ここに魔力を流して。一度流せば入れるようになるわ」
言われた通りに魔力を流す。目の前の扉が半透明になった。レーネはさっさと中に入った。僕も半透明の扉に手を押し込むとスッと中に手が通った。奇妙な感覚があるが中へと入る。
部屋の中には本棚があり、本が並べられていた。
「ここの本を調べるとさっき案内した祠の事も、他にも昔の神事、さまざまな呪文を手に入れる事ができるわ。でもほとんどすべての書物が日本語で書かれているの。この日本語は古語として扱われているけど、おそらく今の王族は古語を読める人がいないのよ。ここの書物は持ち出せないから貴方が読んで翻訳するしかないわ」
「そうですか。それにしても大量の本だな」
「私あは自分が読みたいところだけ書き留めたけど、あなたは王になるのだから私よりも知らなければいけないことが多いと思うわ。私がここに入ったのは3年生。今のあなたは魔法の使い方をほとんど知らないから読んでもわからないところが多いと思うわ。私と同じ3年生になったらここに通いなさい」
「わかりました」
「では、そのうち領主会議で会いましょう」
「領地に戻ったら婚約式ですか」
「ええ、そうよ」
「式では会えないので一言。おめでとう」
「ふふ。ありがとう」
そういって、彼女と別れた。僕は王に挨拶をした後で領地へと戻った。
立派な王か、王と言われても全くピンとこない。
前世の記憶、そして亡くなった半身のクレストリアの知識があればもう少しイメージできるのだろうか。だが前世の記憶を持ったクレストリアは死んだ。おそらく前世の記憶は思い出すことできないだろう。
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