貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油

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第4章 学園編2

4.8 図書館通い②

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 さて、文献調査に集中しよう。
 魂の増やし方を見ると、恋をしろと書いてあった。個人的には同学年と言う事もあってアデリートメアリー様が一番親しくしてもらっていたがこれからは彼女が婚約者になるのか。恋をするのか、大丈夫だろうか。そう思ってジェーンレオノール様を見る。
「どうされました」
 キャサリンエリザ様が僕を見て声をかけてきた。
「いえ、先ほど調べた資料で、魂を増やすには恋をしろと書かれていたので、ジェーンレオノール様を見ていただけです」
「まあ、恋ね。大丈夫ですよ。親しくしていれば男女は好きになれる者です。私たちは魔物や動物と異なり言葉を交わし、友好を結びます。平民はそれで恋をするそうですが、私達貴族には魔力があります。私たちは言葉だけではなく魔力にも惹かれます。クレストリア様もあと1、2年でわかりますわ。ジェーンは、もうクレストリア様感じられるのでしょう」
「はい、初めて会った時から感じていました。私の魔力にとても合う魔力を持っています。私たちはきっと良い夫婦になれると思います」
 こういう時にツンツンではないのか。姉に対する答え方が違うのか。ジェーンレオノール様の人なりや癖を覚えないとな。
「そうなのですか。僕にはまだわかりません」
「大丈夫よ。女性の匂いや姿に敏感になるころに魔力にも敏感になるわ」
 女性に敏感にね。女性にはいつも添い寝してもらって、いい匂いはいつも感じてるけどな。魔力を感じるのか、わかるようになるのだろうか。
「さあ、今日はこれでお開きしましょう。離宮で食事会をする予定ですから戻りましょう」
 その日は離宮に移動しておじいちゃん先生も交えて話をした。彼らも興味があるらしく、おじいちゃん先生も図書館に行くことになった。傍系として登録されているから入れるのではないかと言う事らしい。写本する人が増えるのは良いことだ。
 おばあちゃんは、ティベリウスが逮捕されたので安心できるとエルレドルア領への移動を希望し、すでに離宮を引き払い移動を済ませている。
 今年の領主候補生の先生は、おじいちゃん先生とヴィルヘルム王子、キャサリンエリザ王女の3人だ。彼らが礎の魔法を教えたり、神聖魔法を教えるのだ。
 今日調べた中には領主が知っておいた方が良い内容がいくつかあったがそれを本当に教えるとなると3人では足りない気がする。どうするのだろう。
「調べた後で、陛下との相談になるが、礎の魔法に関係しない魔法や魔道具は上級貴族向けのカリキュラムに組み込んだ方が良いかもしれぬな。失われたにしては有益すぎる」
「それは、古代語を教えると言う事ですか」
「そうじゃな。翻訳はすぐが、王族だけで秘匿したから失われたのならば、もう少し広く勉強させるべきだ。古代語は領主候補生にも教えるべきだろう。現にエイレーネアテナ様が入られ独自に学ばれたのだ、あの地の急激な順位改善はそれらの知識による物もあるじゃろう。元々領主候補生が入れる仕組みならば、読めるように教えるべきじゃ。そして魔道具屋や、儀式のための魔法陣は上級貴族の文官には教えるべきじゃろう、そうでなければ今の領主候補生は魔道具作成の腕が悪すぎる。学んでもどのみち作れぬぞ」
「そうですね。陛下と相談して決めていきましょう。ですがまずは我々の知識の取得からですね。クリストリアが古代語を読めたのが幸いでした。神の采配ですね」
「そうじゃな。全鑑定か、うらやましいスキルじゃ」
 にほんごが読めるのが完全に全鑑定の力になっている。古代語の翻訳で転生者と書かれてたところがいくつあるのだろうか。それはごまかした方が良いのか、正直に訳して良いのか悩むところだ。

 翌日、おじいちゃん先生は図書室に入れなかった。僕らが先に入って待っていたら、おじいちゃん先生が入る時に金色のウサギさんが、属性足りないと言った。どうやら属性が足りないと入れないようだ。僕ら全員が全属性なので入れたことがわかった。そうすると現在の領主候補生で全属性はいないはず。いや、アイリーンクリスタの祈りが間に合えば来年には全属性になる。それ以外にはいないのか。陛下は僕が神の書を取るまでは属性を増やす方法を公開しないつもりのようだ。王家の血を引いて全属性になれるのが大領地の領主候補生なので、あまり沢山の候補者が出て荒れるのを防ぎたいようだ。だが現状の領主候補生たちは、ヴィルヘルム王子よりも魔力量が低いのであまり気にする必要は無いと思うのだが。
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