ゆるゾン

二コ・タケナカ

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「まず、視覚に訴える為に写真は必須だよ?文章だけなんて読まれもしないでスクロールされるから」
「そうなんですか、」
「イイ写真というものを教えてあげよう。撮ってあげるから、かいちょホワイトボードの前に立ってみて」
「こうですか?」彼女はアタシに対峙する形で正面を向き、両手はおへそのところで重ねた。品行方正が体からにじみ出ている様だ。
素でそんなオーラ出せるなんて流石かいちょ。けど、アタシの求めるモノはこんなじゃない。
「正面じゃなく、横を向いて。あと、手は後ろに組んでね」
「はい・・・・・・?」
「いいよ、いいよ」
カシャ!
「うん!思った通りのが撮れた」
撮った写真を見てかいちょが不思議がる。
「? あの、これでいいのですか?顔も写っていませんが」
「コレがいいんだよ。そうだなぁ、『高校の制服はこんな感じです』って文章でいいと思うよ」
「良くないわよ!」覗き込んできたふーみんにいきなり怒られた。
(ビックリした~)
「アンタ、会長にナニやらせてるのよ!」
「いいねが欲しいって言うから、」
「こんな胸のアップ、ダメに決まってるでしょ!」
ホワイトボードの白をバックに、紺色のブレザーがよく映えているじゃないか。かいちょの豊満な胸の形もよく分かる、我ながら素晴らしい一枚が撮れたとおもうけど?
「顔も写ってないし、生徒会のアカウントなら制服載せても不思議じゃないし、少しエロを匂わせるだけでめっちゃウケるから」
ふーみんはかいちょの肩をガッシリ掴んだ。
「会長!こんなヤツの言う事聞いちゃダメよ!会長は会長のままでいて。お願いだから!」
こんなヤツって・・・・・・ちょっとおふざけが過ぎたかもしれないけど。ひどいなぁ。
あまりにふーみんが真剣に怒ってくるのでアタシは取り繕った。
「冗談、冗談。ははは、真面目なアカウントだからエロは無しでいこう。そうしよう」
ふーみんはそれでも睨んでくる。
「顔出しはNGという事で、あー、人を出すのもNGにしよう。うん。しょうがない」
「元々先生からも言われていたんです。個人が特定できるような物は写さない様にと」
「そうかぁ、その胸は特定できちゃうからなぁ、ザンネン」

制限のある中でできる事は何だろう?と、もう一度生徒会のアカウントを眺めた。
「うーん。まず、このアカウントで何を伝えたいのかはっきりさせる必要があると思うな」
スクロールさせて出てくるのは生徒会の活動記録と、学校行事の様子が少しだけだ。
「アタシの場合アニメの聖地巡礼に絞ってあるから、そういうのに興味のある人が集まりやすいのだよ」
「アンタのは他の目的を持った人たちまで集まってきてるでしょ!」それは否定しないけど。
「目的の明確化ですね?生徒会のアカウントだから、生徒会活動の様子に絞った方がいいと、」
「うーん、それはどうかな?こう言っちゃなんだけど、生徒会の活動に興味がある人がどれだけいるのかって話だよ。アニメなら最初から興味を持っている人が多いから受け入れられやすいのさ」
「では、学校行事とか?」
「学校行事だと、どうしても生徒が写っちゃうじゃないか。顔を隠せばいいのかもしれないけど、学校自体もうバラしている訳だし個人の特定をしようと思えば簡単だよ」
「月光さんのアカウントで紹介してもらう訳にはいきませんか?1万人もいるのなら少しはこちらにも興味を持ってくれる人もいませんでしょうか?」
「それはムリ」
アタシははっきり断った。
「アタシがもし何の脈略も無くリツ○ートしようものなら、この学校に関係しているんだなと分かっちゃうからね。さっき生徒にも知られていないって言ってたけど、生徒自身が生徒会のアカウントをフォローしないのはそういう意味もあると思うよ。ツ○ッターは匿名性が命だから」
「では、どうすれば・・・・・・」
困り果てるかいちょにアタシは言った。
「しょうがない。奥の手だ」
「奥の手とは?」
「猫の手を借りよう!」
「ネコ?・・・・・・ですか?」
「ツ○ッターでは猫の写真さえ上げておけばいいねが貰えると、まことしやかに言い伝えられているのだよ。実際、猫好きの人は多いから認知されれば、いいねは稼げる!」
「でも、生徒会と猫は関係ないのでは?」
「猫を擬人化して代わりに学校の紹介をしてもらうのさ。『今日は生徒会会議がありましたにゃ』とかね。語尾ににゃは必須で!それなら猫の写真だけでいいから問題ないでしょ」
ふーみんの方をチラリと見たら、一応は納得しているようだった。ふー、

「猫の写真はどうしましょう?」
「この際どこかの野良猫か、飼っている人に頼んで撮らせてもらえばいいんじゃない?本当は学校の敷地内も一緒に写っていた方がいいとは思うけど、」
「猫なら学校にいるわよ」
ふーみんが自分のスマホを見せてきた。
「駐輪場によくいるのよ。ホラ」
画面にはカモメンのシートの上でくつろぐ猫が写っていた。お腹が白で背中が黒、頭は八割れ。その柄からタキシード猫と呼ばれているタイプだ。アタシも見かけたことがある気がする。
「あら!可愛らしいですね」
「時々、おやつをあげてるから懐いちゃってね。ふふっ」
なんかこちらに向けられた視線に含みがあった気がするけど、まあいいや。
「よし!その子を生徒会の特別顧問に任命しよう。名前は・・・・・・」
「カツラよ」
「プッ!」かいちょが吹き出した。
「確かにハチワレだけどさぁ。もうちょっと、」
「風香ちゃんネーミングセンス変わってるよね」アタシが言葉を濁したのに、はなっちが率直に言ってしまった。
「そう?」
まったく意に介していない返事だ。自分は何も変じゃないと信じ切っているな?猫の気持ちになってみたまえ。毎日カツラ、カツラと呼ばれる気持ちを。アタシも自分の名前には不満があるからね。人事じゃない気がする。いや、猫事か。
「イントネーションには気をつけなさい。かつらじゃなくカツラだからね」
ツの時だけ人差し指を上へと振り上げてみせるふーみん。
はい、はい。ヅラじゃなくて桂の方ね。こんなやり取り銀○でしょっちゅうやってたよ。
猫よ。すまない。肖像権侵害の上に変な名前まで勝手に付けてしまった。文句はふーみんの方に言ってくれにゃ。

「ふーみん。その写真、使いたいからちょうだい。かいちょに送ってあげてよ」
「いいわよ」
アタシの指導に従って、かいちょがツ○ッターに投稿した。
『この度、生徒会特別顧問に就任したカツラだにゃ♪ 誰がズラだっ!』
「うん。いいんじゃないかな。ハッシュタグ猫は忘れちゃダメだよ。フォロワーが増えるまでは1日1回投稿する様に。無理なら最低でも3日に1回は更新した方がいいかな。後はカツラの写真を撮り溜めして・・・・・・そうだなぁ、はなるべく校内だと分かるのが理想だけど、普通の写真でもクスリと笑わせる様な事つぶやけば大丈夫でしょう」
「ハイ」にっこり笑ったかいちょ。やる気が出て来たみたい。
スマホに目を移したかいちょが、更に顔をほころばせた。
「まあ!さっそくいいね貰えましたよ」
へー、数件しかいいねが貰えないようなアカウントがいきなり凄い・・・・・・と思ったら、笑顔のかいちょの後ろでふーみんがスマホを片手にニッコリ笑ってた。さては、
「まあ!また付きましたよ!」
興奮するかいちょ。怪しいと思ってはなっちを見ると、彼女もスマホを片手に持っているじゃないですか。しかも目が合ったら人差し指を唇に当てられてしまった。
まったく。ふたりとも、フフフッ
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