僕はただの妖精だから執着しないで

大好きだったあのこ

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元気に笑う、というよりかは静かに穏やかな笑顔を浮かべる子だった。自分と年も近く、病室はお隣さん。たまたま自分が病室を間違えて入ったのがきっかけで、仲良くなれた男の子。話をすればするほど、その子は外の世界をあまり知らず色々な話を聞きたがった。

学校の授業や友達の話し、給食のお勧めや1番苦手な料理の話し。遊びに行く場所はどこか、平日に行くならカラオケが休日よりも少し安い事とか。コンビニの揚げ物の春巻きや、ピロシキその他諸々お勧めだと熱く語った。

どんな話をしても瞳をきらきらとさせて聞き入る様子は年相応よりも遥かに幼く見えて、

時折話をオーバーに盛ったりもしたけど、いつもあの子は飽きる事なく自分の話に付き合ってくれた。



そんなあの子がこの世を去ったのは、つい最近の事。看護師さんが廊下であの子の食事量がかなり減ったと看護師同僚さんに話しているのを聞いた時は、早く元気になってほしいな。としか思わなかった。

知らなかったんだ。あの子が長生き出来ない身体だった事を。後から知った、病院内での噂。あの子はちょっと前に余命宣告を受けていたらしい、という話し。


それが本当かは今となっては分からないけれど、




「もっと話したかったな」

あの子が使っていたベッドの上に腰掛けて、思わず呟いた。涙はとうに枯れたけど、

大丈夫。きっといつかそう遠くない日に君とまた会える…そんな予感がした。




あの子が早くにこの世を去ったのはきっと神様があの子を愛しすぎたからだ、と


今ではそう思うんだ。



「死んだら天国ってあるのかな、」

手元にあった1枚の紙、そこには“–––様、日常生活にも著しい制限がある。余命1～2年”と記入されていた。



あの子がいなくなった日
きっと自分の世界が終わった、




大切なあの子を奪った大嫌いな神様へ。どうかお願い致します。


もし天国があるのなら…、
もし流行りの異世界転生があるのなら、


もう一度あの子と出会いたい。



















▲更新いつも遅くて申し訳ないです

今年も残り後僅か。上京したのはいいものの、既に実家が恋しいです。学生さん社会人さん、色々な病気（コロ◯、インフ◯）等にはお気を付けて下さいませ。

少し早いですが皆様良いお年をお過ごし下さいませ。