僕はただの妖精だから執着しないで

プレゼント

結局、例の宝石らしき石は烏さんから僕へのプレゼントだったらしい。どうぞ、と言わんばかりに渡された。

オブジェみたく飾っているのは、ここだけの話し。

誰かからのプレゼントって初めてで、すごくすっごく嬉しかったからつい大喜びしたら、まさかの蟻さん、リスさん、土竜さんからもプレゼントを貰ってしまった。

蟻さんはお菓子の欠片を
リスさんはドングリ
モグラさんからはお花。


『ふふっ。僕みんながいてくれるからとっても幸せだね』

寝床がプレゼントで埋まって、思わず微笑んだ。この世界に来てまだまだ日は浅いけど、寄り添ってくれる皆がびっくりするくらい優しいから、心がむず痒い。

たまに泣きたくなるような温かさ。

でも、嫌な涙ではなくて寧ろ嬉し涙…みたいな


家族ってこんな感じなのかなぁって思う事が増えた。

『あっ！そうだ、皆にお返ししないと…何が良いかなぁ』




僕の側で温かく見守る皆を見つめ返しながら、

一生懸命、考える。

でもね許してほしい。よくよく考えたら僕、プレゼントって貰うのも初めてだけど、

あげるのも初めてだってこと、

綺麗に忘れていた。だから言わずもがな直ぐに思いつくはずも無く、



皆にあげるプレゼントが人生で初だと気付くのは、ちょっと後の話し。