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哀悼
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「…………どうか、安らかに」
それから、数日経た休日の夕暮れ時。
黄昏色の空の下、腰を屈め目を瞑る。そして、手を合わせ冥福を祈る。もう15年も前にこの世を去った、大好きな両親の墓石の前で。……どうか、安らかに。
……本当に、悲しかった。そして、悲痛は今なお僕の心の奥深くに刻まれていて。……それでも、死因が人為的でない――例えば病気や災害などが原因であれば、どんなに悲しくても納得するしかなかったかもしれない。
だけど、これは人為――病気でも災害でもなく、両親は人に殺された。三人でテーマパークに遊びに行っていた休日、その帰り道のこと。突然、飲酒運転をしていたらしい夫婦の車が歩道に飛び出してきて、そして……恐る恐る目を開くと、そこには咄嗟に僕を庇ってくれた二人が真っ赤な血を……うん、よそう。もちろん、絶対に忘れちゃいけないんだけど……それでも、正直のところなるべく思い出したくないというのが本音だし。
その後、一目散に去っていったその夫婦はほどなく捕まったらしく、翌日のニュースにてそれらしき報道が流れていた。その後、二人がどうなったのかはまるで知らないけれど……それでも、忘れることはない。石川、といういくら憎んでも足りない苗字を、決して忘れることはない。……いや、憎いのはその二人だけで、言わずもがな全国及び海外におはする他の石川さん方々には何の憎しみもないんだけども。
両親が天国へと旅立って以降、独りになった僕は父方の祖父母の家へと引き取られ過ごすことに。だけど、二人の目当ては両親の遺産――明け透けに言えば、僕自身は邪魔者でしかなく、最低限の衣食を与えられただけで基本的には放置されていた。……まあ、別に良いんだけどね。正直、構ってほしいとも思わなかったからむしろ有り難かったくらいだし。
そして、歳月は経ち高校卒業と共に就職――これを機に、祖父母の元を離れ一人暮らしへ。祖父母にとっても僕にとってもこれが最善の選択であることは疑う余地もなく、お別れの際はお互いにこれまでにないほど晴れやかな笑顔を見せ合っていたと思う。
さて、それ以降も業務上などの必要なやり取り以外は基本的に人と関わらず。なので、当然のこと好き好んで僕と関わろうとする人もいるはずがなく。そして、それでいい。仲良くせずとも、ことさら優秀でなくとも問題ない。普通に出勤して普通に仕事さえすれば、基本クビになることもない。だから、それでいい。それで、何の問題もない。……なのに、
『――おはようございます、真織先輩! 今日も一緒にお仕事頑張りましょうね!』
そう、毎日のように朗らかな笑顔で声を掛けてくれる可憐な少女。降宮蒔乃さん――息を呑むほどに綺麗な少女で、仕事の面でも頗る優秀。ほんと、僕なんかとは雲泥の……いや、そもそも比べること自体この上もなく申し訳ないか。
それから、数日経た休日の夕暮れ時。
黄昏色の空の下、腰を屈め目を瞑る。そして、手を合わせ冥福を祈る。もう15年も前にこの世を去った、大好きな両親の墓石の前で。……どうか、安らかに。
……本当に、悲しかった。そして、悲痛は今なお僕の心の奥深くに刻まれていて。……それでも、死因が人為的でない――例えば病気や災害などが原因であれば、どんなに悲しくても納得するしかなかったかもしれない。
だけど、これは人為――病気でも災害でもなく、両親は人に殺された。三人でテーマパークに遊びに行っていた休日、その帰り道のこと。突然、飲酒運転をしていたらしい夫婦の車が歩道に飛び出してきて、そして……恐る恐る目を開くと、そこには咄嗟に僕を庇ってくれた二人が真っ赤な血を……うん、よそう。もちろん、絶対に忘れちゃいけないんだけど……それでも、正直のところなるべく思い出したくないというのが本音だし。
その後、一目散に去っていったその夫婦はほどなく捕まったらしく、翌日のニュースにてそれらしき報道が流れていた。その後、二人がどうなったのかはまるで知らないけれど……それでも、忘れることはない。石川、といういくら憎んでも足りない苗字を、決して忘れることはない。……いや、憎いのはその二人だけで、言わずもがな全国及び海外におはする他の石川さん方々には何の憎しみもないんだけども。
両親が天国へと旅立って以降、独りになった僕は父方の祖父母の家へと引き取られ過ごすことに。だけど、二人の目当ては両親の遺産――明け透けに言えば、僕自身は邪魔者でしかなく、最低限の衣食を与えられただけで基本的には放置されていた。……まあ、別に良いんだけどね。正直、構ってほしいとも思わなかったからむしろ有り難かったくらいだし。
そして、歳月は経ち高校卒業と共に就職――これを機に、祖父母の元を離れ一人暮らしへ。祖父母にとっても僕にとってもこれが最善の選択であることは疑う余地もなく、お別れの際はお互いにこれまでにないほど晴れやかな笑顔を見せ合っていたと思う。
さて、それ以降も業務上などの必要なやり取り以外は基本的に人と関わらず。なので、当然のこと好き好んで僕と関わろうとする人もいるはずがなく。そして、それでいい。仲良くせずとも、ことさら優秀でなくとも問題ない。普通に出勤して普通に仕事さえすれば、基本クビになることもない。だから、それでいい。それで、何の問題もない。……なのに、
『――おはようございます、真織先輩! 今日も一緒にお仕事頑張りましょうね!』
そう、毎日のように朗らかな笑顔で声を掛けてくれる可憐な少女。降宮蒔乃さん――息を呑むほどに綺麗な少女で、仕事の面でも頗る優秀。ほんと、僕なんかとは雲泥の……いや、そもそも比べること自体この上もなく申し訳ないか。
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