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ご希望とあらば
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「ところで、先輩ってほんと料理上手ですよね。この西京焼きも、ほんと絶品ですし」
「へっ? あ、ありがとうございます」
「私もそれなりに出来るという自負はありますが、真織先輩には敵いません。是非、ご教示いただきたいくらいです」
「……その、大変恐縮です」
それから、数十分後。
そう、甚く感心の表情で褒めてくれる降宮さん。そして、それは今日に限らず食事の度にいつも褒めてくれていて……その、大変恐縮です。
「そう言えば、今まで聞いたことなかったですけど……先輩は、いつから料理を始めたんですか?」
「……えっと、そうですね……確か、小学二年生の5月11……あっ、いえ12だっけ? いや、でも……」
「……いや、もっとざっくりでいいんですけど……ですが、やっぱり幼い頃からなさっていたのですね。正直、ちょっと安心しました。つい最近始めてこのレベルだったら、流石にちょっとヘコみますし」
その後、届いた問いに大いに思考を巡らせ答えようとするも、呆れたように止める降宮さん。……うん、それはそうだよね。
ともあれ、あれは小学二年の頃の5月――両親から卵焼きの作り方を教わったのが、僕にとっての初めての料理で。それで、僕の作った卵焼きを二人ともすごく美味しいと言ってくれて……それがあまりにも嬉しくて、それで一気に料理にハマって、それからも二人に教えてもらいながら色々と作れるようになって……うん、ほんと楽しかった。
だけど、二人がいなくなって――祖父母の家で過ごすようになって以降、状況は一変して。いや、とは言っても料理を作らなくなったというわけではなく、むしろそれまで以上――それこそ、毎日のように作るようになって。と言うのも……まあ、あの祖父母が僕のために料理を作るわけなんてないから。冷蔵庫に最低限の食材だけ用意して、その中で後はご自由にという感じで。……まあ、お陰さまでその中で工夫して作る術も身に着けられたから、そういう意味ではプラスにもなったのだけど。
ちなみに、高校ではバイトをしていたので、祖父母曰くもう自分の分は自分でどうにか出来るでしょ、とのことで僕の分の食材が用意してもらえることもなく。なので、自分の経済力に応じ必要な食材を選ぶ術も身について。なので、僕としてはプラスの要素が多かったんだけど……それでも、やっぱり一人じゃ――
「……それにしても、先輩と結婚したら毎日こんな美味しい料理が食べられるんですね……はぁ、幸せ」
「……へっ? いえ、結婚などせずともご希望とあらばいつでもお作りしますよ? 降宮さんに食べていただけるのは、僕としても甚く幸せなことですし」
そんな追憶の中、不意に届いた降宮さんの言葉。だけど、僕と結婚するなんて愚かしいことこの上ない選択などせずとも、ご希望とあらばいつでも作る所存で。
と言うのも、このお部屋に来た時は毎回のように料理を作っているけれど、その度に降宮さんはまるで初めて食べたかのような本当に幸せそうな表情を見せてくれるから。そんな彼女の表情を見てると、むしろ僕の方が幸せで胸がいっぱいになって。なので、彼女がご希望とあらばいつでも――
「……先輩って、時々ほんとにとんでもないこと言いますよね。まさかとは思いますが、他の人には言ってないですよね? 特に、女の人に」
「…………へっ? いえ、言ってませんけども……」
すると、どうしてか睨むように僕を見つめそんなことを問う降宮さん。……いや、言ってませんけども。そもそも、他に言う相手もいませんけども。
「へっ? あ、ありがとうございます」
「私もそれなりに出来るという自負はありますが、真織先輩には敵いません。是非、ご教示いただきたいくらいです」
「……その、大変恐縮です」
それから、数十分後。
そう、甚く感心の表情で褒めてくれる降宮さん。そして、それは今日に限らず食事の度にいつも褒めてくれていて……その、大変恐縮です。
「そう言えば、今まで聞いたことなかったですけど……先輩は、いつから料理を始めたんですか?」
「……えっと、そうですね……確か、小学二年生の5月11……あっ、いえ12だっけ? いや、でも……」
「……いや、もっとざっくりでいいんですけど……ですが、やっぱり幼い頃からなさっていたのですね。正直、ちょっと安心しました。つい最近始めてこのレベルだったら、流石にちょっとヘコみますし」
その後、届いた問いに大いに思考を巡らせ答えようとするも、呆れたように止める降宮さん。……うん、それはそうだよね。
ともあれ、あれは小学二年の頃の5月――両親から卵焼きの作り方を教わったのが、僕にとっての初めての料理で。それで、僕の作った卵焼きを二人ともすごく美味しいと言ってくれて……それがあまりにも嬉しくて、それで一気に料理にハマって、それからも二人に教えてもらいながら色々と作れるようになって……うん、ほんと楽しかった。
だけど、二人がいなくなって――祖父母の家で過ごすようになって以降、状況は一変して。いや、とは言っても料理を作らなくなったというわけではなく、むしろそれまで以上――それこそ、毎日のように作るようになって。と言うのも……まあ、あの祖父母が僕のために料理を作るわけなんてないから。冷蔵庫に最低限の食材だけ用意して、その中で後はご自由にという感じで。……まあ、お陰さまでその中で工夫して作る術も身に着けられたから、そういう意味ではプラスにもなったのだけど。
ちなみに、高校ではバイトをしていたので、祖父母曰くもう自分の分は自分でどうにか出来るでしょ、とのことで僕の分の食材が用意してもらえることもなく。なので、自分の経済力に応じ必要な食材を選ぶ術も身について。なので、僕としてはプラスの要素が多かったんだけど……それでも、やっぱり一人じゃ――
「……それにしても、先輩と結婚したら毎日こんな美味しい料理が食べられるんですね……はぁ、幸せ」
「……へっ? いえ、結婚などせずともご希望とあらばいつでもお作りしますよ? 降宮さんに食べていただけるのは、僕としても甚く幸せなことですし」
そんな追憶の中、不意に届いた降宮さんの言葉。だけど、僕と結婚するなんて愚かしいことこの上ない選択などせずとも、ご希望とあらばいつでも作る所存で。
と言うのも、このお部屋に来た時は毎回のように料理を作っているけれど、その度に降宮さんはまるで初めて食べたかのような本当に幸せそうな表情を見せてくれるから。そんな彼女の表情を見てると、むしろ僕の方が幸せで胸がいっぱいになって。なので、彼女がご希望とあらばいつでも――
「……先輩って、時々ほんとにとんでもないこと言いますよね。まさかとは思いますが、他の人には言ってないですよね? 特に、女の人に」
「…………へっ? いえ、言ってませんけども……」
すると、どうしてか睨むように僕を見つめそんなことを問う降宮さん。……いや、言ってませんけども。そもそも、他に言う相手もいませんけども。
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