18 / 41
妙案?
しおりを挟む
「――それでね、蒔乃ちゃん。その時、そいつがいきなり――」
「ふふっ、面白いご友人ですね。それで、吉川先輩は何と――」
それから、数日経て。
オフィスにて、業務が一段落しぐっと背筋を伸ばしていると、少し後方から楽しそうな声が。確認するまでもないけど、我が社が誇る美男美女、吉川くんと降宮さんで。……いや、誇ってるかどうかは知らないけども。
ともあれ、楽しそうで何より。以前、吉川くんからのお誘いに関しご自身のお部屋で滅入ると言っていたけれど……でも、それはあくまでお誘いの話。吉川くんのことを嫌いじゃないとも言っていたし、こうして話している分には純粋に楽しんでいると――
――トントン。
「…………へっ?」
「――ちょっと古城先輩、まだあの人を落としてなかったんですか! いったいどれだけ時間があったと思ってるんですか!」
「……いや、僕じゃ落とせませんし、そもそもそのつもりもないですし。あと、落とすという表現はあまり宜しくないかと……」
それから、しばし経過して。
休憩中の近くにて、僕に詰め寄り矢継ぎ早に文句を紡ぐ可憐な女性。君島鈴奈さん――大卒一年目の新人さんで、大卒三年目の美男子たる吉川拓也くんにご好意を寄せていて。……いや、僕には無理ですし、そもそもそのつもりもないですし。あと、どれだけも何もまだ一週間くらいしか経ってないかと。
ところで、事の経緯はというと――数分前、オフィスにて軽く肩を叩く感触が。驚き見ると、そこには何とも不満そうな表情の君島さんのお姿が。そして、話があるから休憩時間にここに来るようにと……うん、説明するほどでもなかったかな? あと、もうここで確定なのかな? 僕らの落ち合う場所。
……ただ、それはともあれどのようなご用で……よもや、さっきの不満を言うためだけに呼び出したなんてことは――
「……まあ、正直のところさしたる期待もしてませんでしたが……そこで、私に妙案があります。それは――」
「…………へっ?」
「――それで、実は昨日、すっごく美味しいラーメン屋さんを見つけまして。これは、是非とも近い内に先輩と行きたいなぁと。あっ、もちろん先輩の料理が一番なのは言うまでもないですけど」
「あっ、いえお気になさらず。……それにしても、それほどに美味しいラーメン屋さんが……ですが、すみません。僕、ラーメンはそれほど――」
「はい、特に煮卵が絶品でして」
「それは是非とも行かねばなりませんね」
「卵への食い付きがすごい!!」
それから、数時間後。
降宮さんのお部屋にて、藹々とした雰囲気でやり取りを交わす僕ら。……そっか、絶品の煮卵……うん、それは是非とも賞味しなければ。
……ただ、それはそれとして……うん、どこで切り出そう。もちろん、なるべく早い方が良いのは分かっ――
「――ところで、真織先輩。何やら、今日も随分と楽しそうにお話ししていましたね、どこかの可愛くてあざとい後輩と」
「…………ああ、それはですね……」
そんな思考の最中、ふと花のような笑顔でそう口にする降宮さん。だけど、どうしてかその笑顔からは温度をまるで感じなくて……うん、ご覧になってたんだね……まあ、何となく気づいちゃってたけど。
……ただ、そういうことなら今回においては少し助かる。と言うのも――
「……あの、降宮さん。その……もし良ければ、一緒に遊びにいきませんか?」
「………………へっ?」
「ふふっ、面白いご友人ですね。それで、吉川先輩は何と――」
それから、数日経て。
オフィスにて、業務が一段落しぐっと背筋を伸ばしていると、少し後方から楽しそうな声が。確認するまでもないけど、我が社が誇る美男美女、吉川くんと降宮さんで。……いや、誇ってるかどうかは知らないけども。
ともあれ、楽しそうで何より。以前、吉川くんからのお誘いに関しご自身のお部屋で滅入ると言っていたけれど……でも、それはあくまでお誘いの話。吉川くんのことを嫌いじゃないとも言っていたし、こうして話している分には純粋に楽しんでいると――
――トントン。
「…………へっ?」
「――ちょっと古城先輩、まだあの人を落としてなかったんですか! いったいどれだけ時間があったと思ってるんですか!」
「……いや、僕じゃ落とせませんし、そもそもそのつもりもないですし。あと、落とすという表現はあまり宜しくないかと……」
それから、しばし経過して。
休憩中の近くにて、僕に詰め寄り矢継ぎ早に文句を紡ぐ可憐な女性。君島鈴奈さん――大卒一年目の新人さんで、大卒三年目の美男子たる吉川拓也くんにご好意を寄せていて。……いや、僕には無理ですし、そもそもそのつもりもないですし。あと、どれだけも何もまだ一週間くらいしか経ってないかと。
ところで、事の経緯はというと――数分前、オフィスにて軽く肩を叩く感触が。驚き見ると、そこには何とも不満そうな表情の君島さんのお姿が。そして、話があるから休憩時間にここに来るようにと……うん、説明するほどでもなかったかな? あと、もうここで確定なのかな? 僕らの落ち合う場所。
……ただ、それはともあれどのようなご用で……よもや、さっきの不満を言うためだけに呼び出したなんてことは――
「……まあ、正直のところさしたる期待もしてませんでしたが……そこで、私に妙案があります。それは――」
「…………へっ?」
「――それで、実は昨日、すっごく美味しいラーメン屋さんを見つけまして。これは、是非とも近い内に先輩と行きたいなぁと。あっ、もちろん先輩の料理が一番なのは言うまでもないですけど」
「あっ、いえお気になさらず。……それにしても、それほどに美味しいラーメン屋さんが……ですが、すみません。僕、ラーメンはそれほど――」
「はい、特に煮卵が絶品でして」
「それは是非とも行かねばなりませんね」
「卵への食い付きがすごい!!」
それから、数時間後。
降宮さんのお部屋にて、藹々とした雰囲気でやり取りを交わす僕ら。……そっか、絶品の煮卵……うん、それは是非とも賞味しなければ。
……ただ、それはそれとして……うん、どこで切り出そう。もちろん、なるべく早い方が良いのは分かっ――
「――ところで、真織先輩。何やら、今日も随分と楽しそうにお話ししていましたね、どこかの可愛くてあざとい後輩と」
「…………ああ、それはですね……」
そんな思考の最中、ふと花のような笑顔でそう口にする降宮さん。だけど、どうしてかその笑顔からは温度をまるで感じなくて……うん、ご覧になってたんだね……まあ、何となく気づいちゃってたけど。
……ただ、そういうことなら今回においては少し助かる。と言うのも――
「……あの、降宮さん。その……もし良ければ、一緒に遊びにいきませんか?」
「………………へっ?」
0
あなたにおすすめの小説
出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜
泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。
ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。
モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた
ひよりの上司だった。
彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。
彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……
隣人はクールな同期でした。
氷萌
恋愛
それなりに有名な出版会社に入社して早6年。
30歳を前にして
未婚で恋人もいないけれど。
マンションの隣に住む同期の男と
酒を酌み交わす日々。
心許すアイツとは
”同期以上、恋人未満―――”
1度は愛した元カレと再会し心を搔き乱され
恋敵の幼馴染には刃を向けられる。
広報部所属
●七星 セツナ●-Setuna Nanase-(29歳)
編集部所属 副編集長
●煌月 ジン●-Jin Kouduki-(29歳)
本当に好きな人は…誰?
己の気持ちに向き合う最後の恋。
“ただの恋愛物語”ってだけじゃない
命と、人との
向き合うという事。
現実に、なさそうな
だけどちょっとあり得るかもしれない
複雑に絡み合う人間模様を描いた
等身大のラブストーリー。
譲れない秘密の溺愛
恋文春奈
恋愛
憧れの的、国宝級にイケメンな一条社長と秘密で付き合っている 社内一人気の氷室先輩が急接近!? 憧れの二人に愛される美波だけど… 「美波…今日充電させて」 「俺だけに愛されて」 一条 朝陽 完全無欠なイケメン×鈴木 美波 無自覚隠れ美女
恋は襟を正してから-鬼上司の不器用な愛-
プリオネ
恋愛
せっかくホワイト企業に転職したのに、配属先は「漆黒」と噂される第一営業所だった芦尾梨子。待ち受けていたのは、大勢の前で怒鳴りつけてくるような鬼上司、獄谷衿。だが梨子には、前職で培ったパワハラ耐性と、ある"処世術"があった。2つの武器を手に、梨子は彼の厳しい指導にもたくましく食らいついていった。
ある日、梨子は獄谷に叱責された直後に彼自身のミスに気付く。助け舟を出すも、まさかのダブルミスで恥の上塗りをさせてしまう。責任を感じる梨子だったが、獄谷は意外な反応を見せた。そしてそれを境に、彼の態度が柔らかくなり始める。その不器用すぎるアプローチに、梨子も次第に惹かれていくのであった──。
恋心を隠してるけど全部滲み出ちゃってる系鬼上司と、全部気付いてるけど部下として接する新入社員が織りなす、じれじれオフィスラブ。
〜仕事も恋愛もハードモード!?〜 ON/OFF♡オフィスワーカー
i.q
恋愛
切り替えギャップ鬼上司に翻弄されちゃうオフィスラブ☆
最悪な失恋をした主人公とONとOFFの切り替えが激しい鬼上司のオフィスラブストーリー♡
バリバリのキャリアウーマン街道一直線の爽やか属性女子【川瀬 陸】。そんな陸は突然彼氏から呼び出される。出向いた先には……彼氏と見知らぬ女が!? 酷い失恋をした陸。しかし、同じ職場の鬼課長の【榊】は失恋なんてお構いなし。傷が乾かぬうちに仕事はスーパーハードモード。その上、この鬼課長は————。
数年前に執筆して他サイトに投稿してあったお話(別タイトル。本文軽い修正あり)
ワケあり上司とヒミツの共有
咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。
でも、社内で有名な津田部長。
ハンサム&クールな出で立ちが、
女子社員のハートを鷲掴みにしている。
接点なんて、何もない。
社内の廊下で、2、3度すれ違った位。
だから、
私が津田部長のヒミツを知ったのは、
偶然。
社内の誰も気が付いていないヒミツを
私は知ってしまった。
「どどど、どうしよう……!!」
私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?
お前が欲しくて堪らない〜年下御曹司との政略結婚
ラヴ KAZU
恋愛
忌まわしい過去から抜けられず、恋愛に臆病になっているアラフォー葉村美鈴。
五歳の時の初恋相手との結婚を願っている若き御曹司戸倉慶。
ある日美鈴の父親の会社の借金を支払う代わりに美鈴との政略結婚を申し出た慶。
年下御曹司との政略結婚に幸せを感じることが出来ず、諦めていたが、信じられない慶の愛情に困惑する美鈴。
慶に惹かれる気持ちと過去のトラウマから男性を拒否してしまう身体。
二人の恋の行方は……
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる