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予感
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「それで、舞子ちゃんが私のアイスを食べちゃって。だから、それから三日くらい口を聞いてあげなかったの」
「……そ、そっか……」
それから、しばらくして。
思い出したら再び込み上げてきたのか、たいそう不服そうな表情で告げる結菜ちゃん。……そ、そっか……うん、食べ物の恨みは恐ろしいね。まあ、仲直りしたみたいなので良かったけど。
ともあれ、しばしこうして色んなこと――主に文寺家での生活について話を聞かせてくれる結菜ちゃん。もちろん、みんなとトランプやボードゲームで遊んでいる時も楽しいけど、こうして二人というのは今までなかったからすごく新鮮で――
「……それでさ、真織。さっきも聞いたと思うけど……最近、なにかあった?」
「……へっ? あっ、いやほんとになにも――」
「……彼女と上手くいってない、とか?」
「……っ!! ……それは」
すると、控えめに……それでも、じっと僕の瞳を見つめそう問い掛ける結菜ちゃん。そして、思う。今日、僕と二人になりたかったのは、これを聞くためなんじゃないかと。……ただ、いずれにせよ――
「……そう、だね。でも、僕のせい……全部、僕のせいだから」
「……全部?」
「そう、全部」
そう、弱々しい口調で答える僕。すると、怪訝な表情で尋ねる結菜ちゃん。……まあ、そういう反応にもなるよね。きっと、こういう……いや、恋愛方面に限らず友人、家族など全ての関係において不和が生じた際、一方が全面的に悪いなんてことはほぼないだろうし。
だけど、今回はそのほぼない場合で。別に、喧嘩したわけじゃない。そもそも、僕に喧嘩するような熱量なんてない。ただ、僕が――
「……真織がそう言うなら、責任に関しては部外者の私からは何にも言えない。でも……だったら、別れた方が良いんじゃない? その彼女のためにも、真織のためにも」
「……そう、だよね」
そう、控えめながら明確な意思を宿し告げる結菜ちゃん。……うん、返す言葉もないや。痛いところをついてくるなぁ、結菜ちゃん。
……そう、結菜ちゃんの言葉は紛うことなき正論――僕はともかく、彼女の……君島さんのことを思うなら別れるのが正解――きっと、これ以上の選択なんてどこにもない。
『――結局、真織さんは私のことなんて見てくれてないんだよね。こうして身体を重ねていたって、貴方の瞳には他の誰かが映ってる』
一ヶ月ほど前、毛布の中にて告げられた言葉。思わず戦慄を覚えるほどの、底知れぬ闇を宿した瞳で。
……だけど、その言葉自体に驚いたかと言えばそうでもなく――彼女がそのように思っていたこと、そして僕がそのように思わせてしまっていたことは流石に分かっていたから。そして、このままでは彼女をいっそう傷つけてしまうだけ――なので、彼女のことを思うなら結菜ちゃんの言う通り別れるのが正解――もちろん、これで償いになんてならないけど、これ以外の選択なんてきっとない。
……だけど、そういうわけにもいかなくて。君島さん自身が僕を見限り、他の誰かを好きになるのならそれが良い。彼氏の言い分として相当に酷いと我ながら思うけれど……それでも、彼女のことを思ってもそれは本当に喜ばしいことで。
……だけど、少なくとも今のところそんな兆候はまるでない。ならば、僕も君島さんを好きに――君島さんと同じ種の感情を以て、僕も真摯に彼女を愛さなければならない。それは、彼氏として当然の責務ということもあるけれど、それ以上に……そうしなければ、きっと取り返しのつかないことになってしまう――そんな悍ましい予感が、いつからかずっと僕を囚えて離さないから。
「……そ、そっか……」
それから、しばらくして。
思い出したら再び込み上げてきたのか、たいそう不服そうな表情で告げる結菜ちゃん。……そ、そっか……うん、食べ物の恨みは恐ろしいね。まあ、仲直りしたみたいなので良かったけど。
ともあれ、しばしこうして色んなこと――主に文寺家での生活について話を聞かせてくれる結菜ちゃん。もちろん、みんなとトランプやボードゲームで遊んでいる時も楽しいけど、こうして二人というのは今までなかったからすごく新鮮で――
「……それでさ、真織。さっきも聞いたと思うけど……最近、なにかあった?」
「……へっ? あっ、いやほんとになにも――」
「……彼女と上手くいってない、とか?」
「……っ!! ……それは」
すると、控えめに……それでも、じっと僕の瞳を見つめそう問い掛ける結菜ちゃん。そして、思う。今日、僕と二人になりたかったのは、これを聞くためなんじゃないかと。……ただ、いずれにせよ――
「……そう、だね。でも、僕のせい……全部、僕のせいだから」
「……全部?」
「そう、全部」
そう、弱々しい口調で答える僕。すると、怪訝な表情で尋ねる結菜ちゃん。……まあ、そういう反応にもなるよね。きっと、こういう……いや、恋愛方面に限らず友人、家族など全ての関係において不和が生じた際、一方が全面的に悪いなんてことはほぼないだろうし。
だけど、今回はそのほぼない場合で。別に、喧嘩したわけじゃない。そもそも、僕に喧嘩するような熱量なんてない。ただ、僕が――
「……真織がそう言うなら、責任に関しては部外者の私からは何にも言えない。でも……だったら、別れた方が良いんじゃない? その彼女のためにも、真織のためにも」
「……そう、だよね」
そう、控えめながら明確な意思を宿し告げる結菜ちゃん。……うん、返す言葉もないや。痛いところをついてくるなぁ、結菜ちゃん。
……そう、結菜ちゃんの言葉は紛うことなき正論――僕はともかく、彼女の……君島さんのことを思うなら別れるのが正解――きっと、これ以上の選択なんてどこにもない。
『――結局、真織さんは私のことなんて見てくれてないんだよね。こうして身体を重ねていたって、貴方の瞳には他の誰かが映ってる』
一ヶ月ほど前、毛布の中にて告げられた言葉。思わず戦慄を覚えるほどの、底知れぬ闇を宿した瞳で。
……だけど、その言葉自体に驚いたかと言えばそうでもなく――彼女がそのように思っていたこと、そして僕がそのように思わせてしまっていたことは流石に分かっていたから。そして、このままでは彼女をいっそう傷つけてしまうだけ――なので、彼女のことを思うなら結菜ちゃんの言う通り別れるのが正解――もちろん、これで償いになんてならないけど、これ以外の選択なんてきっとない。
……だけど、そういうわけにもいかなくて。君島さん自身が僕を見限り、他の誰かを好きになるのならそれが良い。彼氏の言い分として相当に酷いと我ながら思うけれど……それでも、彼女のことを思ってもそれは本当に喜ばしいことで。
……だけど、少なくとも今のところそんな兆候はまるでない。ならば、僕も君島さんを好きに――君島さんと同じ種の感情を以て、僕も真摯に彼女を愛さなければならない。それは、彼氏として当然の責務ということもあるけれど、それ以上に……そうしなければ、きっと取り返しのつかないことになってしまう――そんな悍ましい予感が、いつからかずっと僕を囚えて離さないから。
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