真・八八艦隊

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開戦に向けて

次世代エンジン

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1941年はまさに日本にとって苦難の年に違いなかった。
軍部はすっかり対米英強硬路線となり、軍靴の音が軒先まで迫っている。
これは海の上にいた山本も肌で感じており、もはや開戦は不可避であると考えなくてはならなくなった。
(開戦したとして、空母の建造は思うように行っているから、おそらく勝敗の鍵は航空機のエンジンが握るに違いない!)
山本はそう思い立ち、海軍航空本部長の井上に催促の手紙を送った。
『何としてでも2年以内に信用に足る次世代エンジンを完成させて欲しい!』
ここで言う次世代エンジンとは18気筒エンジンの事であり、2000馬力エンジンの事でもあった。
この次世代エンジンの必要性は井上も認めており、実戦部隊の長である山本からもこのように言われてはやらない手は無かった。
ここで重要なのは”2年以内に”と”信用に足る”という要素である。
山本はあくまでこの2つを重視しており、裏を返せば少しエンジンが大きくなっても”構わない”と言っているのである。
現在、18気筒エンジンを開発しているのは中島と三菱である。
中島は栄を、三菱は金星と火星をそれぞれ18気筒化しようとしている。
重要なのは予想されるエンジン直径である。
中島は1180㎜、三菱は金星発展型を1230㎜、火星発展型を1370㎜で開発する予定だった。
これを見ると中島のエンジンは最も小型であるが、それは同時に信頼性や整備性、そして生産性が悪くなることを意味していた。
確かに平時ならばそれらの問題は熟練者と時間が解決するが、戦時となればそのようなことにはならない。
工場や整備現場には素人が溢れ、時間はない。
となると少し大きくなっても良いからしっかりとした生産性と信頼性を確保するべきだった。
井上はエンジン開発の旗振り役を担当している海軍航空技術廠の和田操に、”中島のエンジンにもう少し余裕を持たせろ”と命令し、和田はこれを遂行。
やはり、中島の技術陣は艦載機のエンジンを軒並み三菱に取られたのが悔しかったようでかなり無理をしていた。
開発していたエンジンは大量生産を前提にされておらず、もしこのエンジンを採用していれば前線部隊はエンジンの不調に悩まされたに違いなかった。
この知らせを聞いた山本は一瞬血の気が引いたが、中島の技術陣の気持ちも分からない物ではなく”今気づいただけで御の字だ”とした。
結局、中島のエンジンは三菱の小型エンジンと同じ1230㎜に拡大されることになる。
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