45 / 57
皇国ノ興廃此ノ一戦二在リ
しおりを挟む
19時45分。
ハワイ沖にて一度は行われることはないと断言された戦艦同士の決戦が始まろうとしていた。
戦力差は日本海海戦時より深刻であり、山口から砲戦の指揮を任された伊藤誠一中将が事に当たろうとしていた。
「尾張の46㎝砲でのアウトレンジ戦法が最適か。」
伊藤が参謀に聞く。
「そうでしょうな。我々の目的はあくまで時間稼ぎ。敵さんを足止めし続ければ勝ちです。」
参謀長の森下信衛も同意する。
「だが…おそらく理想通りにはならんだろうな。」
「まあ、敵さんの新型戦艦は速度では尾張を超えていますからね。」
「そうだな。では、南雲さんには接近してくる重巡以下の敵艦を相手してもらおう。」
「伝達しておきます。」
森下が通信室に降りていく。
「それでは、全艦砲戦用意!」
「長官、そろそろです。」
黒島はそう報告した。
「そうか。ではz旗を掲揚せよ。そして各艦に発令。皇国ノ興廃此の一戦二在り。」
山口は据わった目をしながら言った。
「砲撃開始!」
その声と共に尾張が火を噴いた。目標は先頭の戦艦だった。
「あれは形からキングジョージ5世ですな。」
森下は報告から推察した。
「そうならば姉妹の戦いか。面白い。」
そう言っていると弾着した
「初弾!至近弾多数!なれど命中なし!」
「さすがに初弾命中は厳しいか。」
「それでも我々はあと少しの間、一方的に砲撃できます。」
「その間にできるだけ敵の戦力を削れればいいが…。」
伊藤は2射目の爆炎を見ながら言った。
南雲は急接近してくる敵艦を相手していた。
「敵重巡15隻接近!」
南雲はその報告を聞いて命令を下す。
「軽巡艦隊は突進し、超甲巡と重巡は砲戦用意!」
「「「はっ!」」」
その時、けたたましい爆音とともに火柱が上った。
「報告します!尾張が放った砲弾がキングジョージ5世の弾薬庫に直撃!その直後撃沈したということです。
「分かった!我々も負けていられないな!」
敵艦隊の先頭艦撃沈は艦隊の士気を大いに盛り立てた。
天をも突き破るほどに。
水上で砲撃戦が始まっているころ、水中でも戦いが始まっていた。
護衛艦が不足気味になっていた米海軍を狙って板倉率いる15隻の潜水部隊が進出した。
「指令!敵艦射程に入りました!」
「よし!魚雷全門、発射用意!」
板倉はそう命令した。
彼の乗っていた伊400型は世界最大の潜水艦の名にふさわしく、一度に放てる魚雷も多くなっていた。
それが15隻で郡狼の如く目標の敵艦に向けて発射した。
「5・4・3・2・1・弾着!」
爆発音がいくつか聞こえた。
今は彼らに戦果を確認することはできない。
ただ決戦に少しは貢献できたと思うだけで満足だった。
ハワイ沖にて一度は行われることはないと断言された戦艦同士の決戦が始まろうとしていた。
戦力差は日本海海戦時より深刻であり、山口から砲戦の指揮を任された伊藤誠一中将が事に当たろうとしていた。
「尾張の46㎝砲でのアウトレンジ戦法が最適か。」
伊藤が参謀に聞く。
「そうでしょうな。我々の目的はあくまで時間稼ぎ。敵さんを足止めし続ければ勝ちです。」
参謀長の森下信衛も同意する。
「だが…おそらく理想通りにはならんだろうな。」
「まあ、敵さんの新型戦艦は速度では尾張を超えていますからね。」
「そうだな。では、南雲さんには接近してくる重巡以下の敵艦を相手してもらおう。」
「伝達しておきます。」
森下が通信室に降りていく。
「それでは、全艦砲戦用意!」
「長官、そろそろです。」
黒島はそう報告した。
「そうか。ではz旗を掲揚せよ。そして各艦に発令。皇国ノ興廃此の一戦二在り。」
山口は据わった目をしながら言った。
「砲撃開始!」
その声と共に尾張が火を噴いた。目標は先頭の戦艦だった。
「あれは形からキングジョージ5世ですな。」
森下は報告から推察した。
「そうならば姉妹の戦いか。面白い。」
そう言っていると弾着した
「初弾!至近弾多数!なれど命中なし!」
「さすがに初弾命中は厳しいか。」
「それでも我々はあと少しの間、一方的に砲撃できます。」
「その間にできるだけ敵の戦力を削れればいいが…。」
伊藤は2射目の爆炎を見ながら言った。
南雲は急接近してくる敵艦を相手していた。
「敵重巡15隻接近!」
南雲はその報告を聞いて命令を下す。
「軽巡艦隊は突進し、超甲巡と重巡は砲戦用意!」
「「「はっ!」」」
その時、けたたましい爆音とともに火柱が上った。
「報告します!尾張が放った砲弾がキングジョージ5世の弾薬庫に直撃!その直後撃沈したということです。
「分かった!我々も負けていられないな!」
敵艦隊の先頭艦撃沈は艦隊の士気を大いに盛り立てた。
天をも突き破るほどに。
水上で砲撃戦が始まっているころ、水中でも戦いが始まっていた。
護衛艦が不足気味になっていた米海軍を狙って板倉率いる15隻の潜水部隊が進出した。
「指令!敵艦射程に入りました!」
「よし!魚雷全門、発射用意!」
板倉はそう命令した。
彼の乗っていた伊400型は世界最大の潜水艦の名にふさわしく、一度に放てる魚雷も多くなっていた。
それが15隻で郡狼の如く目標の敵艦に向けて発射した。
「5・4・3・2・1・弾着!」
爆発音がいくつか聞こえた。
今は彼らに戦果を確認することはできない。
ただ決戦に少しは貢献できたと思うだけで満足だった。
36
あなたにおすすめの小説
大日本帝国、アラスカを購入して無双する
雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。
大日本帝国VS全世界、ここに開幕!
※架空の日本史・世界史です。
※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。
※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。
大日本帝国領ハワイから始まる太平洋戦争〜真珠湾攻撃?そんなの知りません!〜
雨宮 徹
歴史・時代
1898年アメリカはスペインと戦争に敗れる。本来、アメリカが支配下に置くはずだったハワイを、大日本帝国は手中に収めることに成功する。
そして、時は1941年。太平洋戦争が始まると、大日本帝国はハワイを起点に太平洋全域への攻撃を開始する。
これは、史実とは異なる太平洋戦争の物語。
主要登場人物……山本五十六、南雲忠一、井上成美
※歴史考証は皆無です。中には現実性のない作戦もあります。ぶっ飛んだ物語をお楽しみください。
※根本から史実と異なるため、艦隊の動き、編成などは史実と大きく異なります。
※歴史初心者にも分かりやすいように、言葉などを現代風にしています。
【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記
糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。
それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。
かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。
ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。
※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。
戦神の星・武神の翼 ~ もしも日本に2000馬力エンジンが最初からあったなら
もろこし
歴史・時代
架空戦記ファンが一生に一度は思うこと。
『もし日本に最初から2000馬力エンジンがあったなら……』
よろしい。ならば作りましょう!
史実では中途半端な馬力だった『火星エンジン』を太平洋戦争前に2000馬力エンジンとして登場させます。そのために達成すべき課題を一つ一つ潰していく開発ストーリーをお送りします。
そして火星エンジンと言えば、皆さんもうお分かりですね。はい『一式陸攻』の運命も大きく変わります。
しかも史実より遙かに強力になって、さらに1年早く登場します。それは戦争そのものにも大きな影響を与えていきます。
え?火星エンジンなら『雷電』だろうって?そんなヒコーキ知りませんw
お楽しみください。
世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記
颯野秋乃
歴史・時代
1929年に起きた、世界を巻き込んだ大恐慌。世界の大国たちはそれからの脱却を目指し、躍起になっていた。第一次世界大戦の敗戦国となったドイツ第三帝国は多額の賠償金に加えて襲いかかる恐慌に国の存続の危機に陥っていた。援助の約束をしたアメリカは恐慌を理由に賠償金の支援を破棄。フランスは、自らを救うために支払いの延期は認めない姿勢を貫く。
ドイツ第三帝国は自らの存続のために、世界に隠しながら軍備の拡張に奔走することになる。
また、極東の国大日本帝国。関係の悪化の一途を辿る日米関係によって受ける経済的打撃に苦しんでいた。
その解決法として提案された大東亜共栄圏。東南アジア諸国及び中国を含めた大経済圏、生存圏の構築に力を注ごうとしていた。
この小説は、ドイツ第三帝国と大日本帝国の2視点で進んでいく。現代では有り得なかった様々なイフが含まれる。それを楽しんで貰えたらと思う。
またこの小説はいかなる思想を賛美、賞賛するものでは無い。
この小説は現代とは似て非なるもの。登場人物は史実には沿わないので悪しからず…
大日本帝国視点は都合上休止中です。気分により再開するらもしれません。
【重要】
不定期更新。超絶不定期更新です。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
天竜川で逢いましょう 〜日本史教師が石田三成とか無理なので平和な世界を目指します〜
岩 大志
歴史・時代
ごくありふれた高校教師津久見裕太は、ひょんなことから頭を打ち、気を失う。
けたたましい轟音に気付き目を覚ますと多数の軍旗。
髭もじゃの男に「いよいよですな。」と、言われ混乱する津久見。
戦国時代の大きな分かれ道のド真ん中に転生した津久見はどうするのか!!???
そもそも現代人が生首とか無理なので、平和な世の中を目指そうと思います。
帝国夜襲艦隊
ypaaaaaaa
歴史・時代
1921年。すべての始まりはこの会議だった。伏見宮博恭王軍事参議官が将来の日本海軍は夜襲を基本戦術とすべきであるという結論を出したのだ。ここを起点に日本海軍は徐々に変革していく…。
今回もいつものようにこんなことがあれば良いなぁと思いながら書いています。皆さまに楽しくお読みいただければ幸いです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる