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開発
重点開発エンジン
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総力戦航空機の要求性能は以下の通りであった。
総力戦航空機
速度:時速550㎞以上
武装:20㎜機銃4挺か12.7㎜機銃6挺
装備:250㎏爆弾を抱いての急降下爆撃、800㎏爆弾、800㎏航空魚雷
航続距離:最低600海里
かなり無茶な要求に見えるが、実際はそうでもない。
まず、東条英機は”格闘戦の時代は去った!”と明言し、この総力戦航空機に関して言えば要求される格闘性能が大きく引き下げられていた。
既に欧米では翼面荷重などが増加傾向にあることを東条はしっかり把握していたのである。
(格闘戦はいわば名人芸だ…確かに初めの内は圧倒できるかもしれないが、優秀な搭乗員を消耗するとまともに戦えなくなるというのはかなり困る!)
東条はあくまで先輩の永田鉄山が提唱した総力戦経済の観点からそう考えた。
戦時になると、軍民問わず熟練の者が消耗していく。
補充されるのは新米ばかり。
新米に”熟練者同様の事をやれ!”と言うのはいささか酷な話である。
これは航空機にも言えることであり、戦闘機に置いて最も顕著だったのだ。
その代わりと言っては何だが、武装はかなりの重武装が要求されている。
また、250㎏爆弾を抱いての急降下爆撃や800㎏航空魚雷を抱いての雷撃。
そして最低600海里を超える航続距離が要求されている。
開発は各航空機メーカーと統合航空本部傘下の統合航空技術廠が行うことになるが、三菱は開発から外されていた。
三菱にはこの総力戦航空機に搭載される予定である火星エンジンの開発に全力を注ぐことが求められていたのである。
火星エンジンはすでに骨子が出来上がっており、試作の段階で1400馬力と言う高出力を発揮できていた。
統合航空本部はこれに目を付け、この火星エンジンを重点開発エンジンに指定。
このエンジンは三菱のエンジンであることから、統合航空本部(以下、航空本部)は三菱の負担を減らすために開発から外したのだ。
三菱側としては自分たちのエンジンが認められたからこそ、開発から外されたのだから複雑な心境である。
それでも仕事はやってもらわねばならない。
航空本部は1938年末までに火星エンジンの馬力を1700馬力に引き上げることが要求されていた。
また、できればエンジン直径を小さくし燃費を向上させる…。
など多々要求があり、三菱は期待の開発を行わなくてもてんてこ舞いの忙しさとなった。
だが遅延は許されない。
既に機体を開発している企業などは1700馬力エンジンが手に入ることが前提で設計を行っているためだ。
三菱の多忙は終わりそうもない。
総力戦航空機
速度:時速550㎞以上
武装:20㎜機銃4挺か12.7㎜機銃6挺
装備:250㎏爆弾を抱いての急降下爆撃、800㎏爆弾、800㎏航空魚雷
航続距離:最低600海里
かなり無茶な要求に見えるが、実際はそうでもない。
まず、東条英機は”格闘戦の時代は去った!”と明言し、この総力戦航空機に関して言えば要求される格闘性能が大きく引き下げられていた。
既に欧米では翼面荷重などが増加傾向にあることを東条はしっかり把握していたのである。
(格闘戦はいわば名人芸だ…確かに初めの内は圧倒できるかもしれないが、優秀な搭乗員を消耗するとまともに戦えなくなるというのはかなり困る!)
東条はあくまで先輩の永田鉄山が提唱した総力戦経済の観点からそう考えた。
戦時になると、軍民問わず熟練の者が消耗していく。
補充されるのは新米ばかり。
新米に”熟練者同様の事をやれ!”と言うのはいささか酷な話である。
これは航空機にも言えることであり、戦闘機に置いて最も顕著だったのだ。
その代わりと言っては何だが、武装はかなりの重武装が要求されている。
また、250㎏爆弾を抱いての急降下爆撃や800㎏航空魚雷を抱いての雷撃。
そして最低600海里を超える航続距離が要求されている。
開発は各航空機メーカーと統合航空本部傘下の統合航空技術廠が行うことになるが、三菱は開発から外されていた。
三菱にはこの総力戦航空機に搭載される予定である火星エンジンの開発に全力を注ぐことが求められていたのである。
火星エンジンはすでに骨子が出来上がっており、試作の段階で1400馬力と言う高出力を発揮できていた。
統合航空本部はこれに目を付け、この火星エンジンを重点開発エンジンに指定。
このエンジンは三菱のエンジンであることから、統合航空本部(以下、航空本部)は三菱の負担を減らすために開発から外したのだ。
三菱側としては自分たちのエンジンが認められたからこそ、開発から外されたのだから複雑な心境である。
それでも仕事はやってもらわねばならない。
航空本部は1938年末までに火星エンジンの馬力を1700馬力に引き上げることが要求されていた。
また、できればエンジン直径を小さくし燃費を向上させる…。
など多々要求があり、三菱は期待の開発を行わなくてもてんてこ舞いの忙しさとなった。
だが遅延は許されない。
既に機体を開発している企業などは1700馬力エンジンが手に入ることが前提で設計を行っているためだ。
三菱の多忙は終わりそうもない。
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