小沢機動部隊

ハワイ沖決戦

ハワイ防衛軍

真珠湾の連合艦隊司令部は第三八機動部隊の出撃をかなり早い段階で察知していた。
「アメリカの大艦隊がサンディエゴを出港いたしました！目標は十中八九ここです！」
情報参謀の中島の気迫にも小沢は動じない。
「なぜそのようなことが分かった？」
中島は堂々と答えた。
「アメリカ軍の暗号はかなり手強いものがあります。ですが、空母の呼び出し符号であったり通信量は誤魔化せません。今回は、通信量が増大し空母の呼び出し符号も探知できましたので”十中八九ハワイにアメリカ艦隊が来る”と判断いたしました」
この説明を聞くと小沢は是非もなく頷いた。


第三八機動部隊がハワイを目指して進撃しているということはすぐに日本軍全体に共有された。
各地の前線は”ハワイ以外でも何か動きがあるかもしれない！”として厳戒態勢が執られた。
ただ、一番緊張していたのは言わずもがなハワイである。
ハワイには7万の陸軍に1400機の基地航空隊、そして連合艦隊のほぼ全戦力が集結していた。


ハワイ防衛軍


第七方面軍
司令官：山下奉文大将
参謀長：八原博通少将
麾下兵力：第三師団、第百一師団、第一八師団、第九師団、第二混成旅団、横須賀海軍特別陸戦隊（兵力7万名、野砲452門、戦車320両）


連合艦隊
司令長官：小沢治三郎大将
参謀長：大西瀧次郎中将
麾下兵力：第一航空艦隊、第二航空艦隊、第三航空艦隊、第二護衛航空戦隊、第一艦隊（詳細は”艦隊整理”を参照）


ハワイ基地航空隊
司令官：戸塚道太郎中将
参謀長：辻正信少将
麾下兵力：紫電改二336機、紫電改183機、疾風306機、戦爆飛燕（金星エンジン搭載型）168機、艦攻天山72機、艦爆彗星102機、陸攻銀河121機、重爆飛龍81機


ハワイ防衛力は格段に強化されており、目玉は新型陸攻の銀河と飛龍であった。
両機は双発機で銀河の方は1トン爆弾を抱えての急降下爆撃が行える。
また、三式戦飛燕も重要な戦力であった。
陸軍はすでに誉エンジンを搭載した新型機である疾風の大量生産を開始しており、飛燕は次第に行き場を失っていた。
飛燕自体は液冷エンジンの不調から金星エンジンに変更されていたが、性能はむしろ向上し疾風が登場するで各所で連合軍機と鎬を削っていた。
そんな飛燕だったが、流石にスクラップにするのはもったいが無かった。
そこで陸軍は飛燕を少し改造し、戦闘爆撃機としたのだった。
陸戦では250㎏爆弾を抱えての急降下爆撃が度々行われたが、海戦では500㎏爆弾による反跳爆撃の方が効果が出る。
そのため、ハワイ基地航空隊に配属されている168機の飛燕の搭乗員たちは反跳爆撃を訓練を受けていたのである。