小沢機動部隊

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小沢機動部隊

小沢機動部隊

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海軍戦力のほとんどをハワイ沖にて喪失したアメリカ海軍はもはや西海岸の防衛すら危うい状況に陥った。
また、悪いことにハワイ沖での大惨敗を聞かされたルーズベルト大統領は持病が悪化し1944年”8月6日”に息を引き取った。
臨時で副大統領であったトルーマンが大統領の職務を引き継ぐことになるが、もはやできることは少ない。
それでもトルーマンは心の中で”対日戦の継続”を考えていた。
既に、欧州戦線ではフランスに上陸を果たし少しづつであるが前進している。
ソ連もモスクワやスターリングラードが陥落してもなお、決死の抵抗を見せており欧州戦線では価値が濃厚であったのだ。
(わざわざ日本と単独で講和を結んでやらなくても、ドイツを倒した後になぶり殺せばいいだけだ…)
だが、日本はそう甘くなかった。
ハワイ沖海戦が終結してからわずか1か月後に”日本海軍の大機動部隊が西海岸へ侵攻中!”という旨が哨戒にあったていたスタージョーンからもたらされた。
これに、日本軍が行動を起こすのは航空機などの補充が完了してからであり、それは3か月後だと考えていたトルーマンは仰天してしまい、即座に日本政府に停戦を申し入れた。
この時、小沢機動部隊の艦上にはハワイ基地から艦載した紫電改二や飛燕などが満載されており、その航空兵力は1429機にまで回復していたのである。
3カ月と言うのは新たに艦載した航空機の搭乗員たちに着艦訓練を施すための帰還だったのだ。
これは一種の脅しであったが、もし停戦が発せられなかった場合小沢機動部隊はパナマ運河やサンディエゴを空襲する気でいたのである。


1944年12月8日。
この戦争が始まってちょうど3年が経つこの日、日本の大艦隊が停泊する真珠湾の鎮守府でホノルル条約が締結された。
この条約では日本による東南アジアおよびビルマの所有権が与えられ、ハワイ以西の諸島を全て併合。
また、中国大陸における日本の正当性を承認する形でまとまった。
賠償金は無かったものの、この日を持って日本は最大の国難を脱したのである。


「終わった、か」
小沢は誰もいない真珠湾の司令部でそう独り言を吐いた。
思えば、彼が顔見知りであった搭乗員はほとんどいない。
何人も何人も散華していった。
戦争とはそういう物だと片づけることもできたが、小沢には出来なかった。
そんな時、不意に扉が開いた。
「久しぶりだね、小沢さん」
南雲であった。
「南雲さん、お久しぶりです」
南雲は小沢の対面に座った。
「私の代わりにこの重責を引き受けてくれて本当に感謝している。ありがとう」
南雲はまず頭を下げた。
「そんな…頭を上げてください。南雲さんが指揮を執っていても…」
ここで小沢は言葉に詰まった。
”何かが”引っかかったのだ。
「俺が指揮をしていたら、搭乗員たちを無下に死なせさらにはこの国を亡国に導いていたかもしれない、いや、導いていた。俺からすれば小沢さんはこの国の救世主であり、俺にとっての救世主だったんだ」
南雲は言いたいことを言ってすっきりしたのか、会釈して部屋を出ていった。
再び誰も居なくなった連合艦隊司令部。
(これで、良かったのだ…)
小沢は心の底からそう思えた。
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みんなの感想(10件)

かーくん_猫好き

この作品の南雲さんまとも。やっぱり年功序列ではなく適材適所だよね。

2025.05.15 ypaaaaaaa

そうですよね…

解除
かーくん_猫好き

英米といえども、多数の機体及びパイロットの補充は大変。
日本もパイロットの命を守る対策はいろいろと頑張って下さい。(パラシュートや防弾装甲とか)
航空戦はやはり数が必要なので。

2025.04.22 ypaaaaaaa

それはそうですね

解除
かーくん_猫好き

紫電改二でいいので、零戦との完全更新を進めてほしい。
古い零戦によるパイロットの消耗は止めないと、だだですら貴重なパイロットがすり減ってしまう。

2025.04.17 ypaaaaaaa

それはその通りです

解除

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