連合艦隊司令長官、井上成美

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”明治の頭”からの脱却

渡洋爆撃

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1937年7月7日、北京郊外の盧溝橋で日中両軍による武力衝突が発生した。
これは現地の司令官の間で停戦にこぎつけたものの、ついに8月13日に国民党軍が上海の日本人租界に攻撃を開始した。


「これは困ったな…。」
山本は海軍大臣としてこの困難な事案に当たらねばならなかった。
「すでに台北陸海共同航空隊は出撃準備が完了しております。ですので上海に渡洋爆撃を仕掛けるべきです。」
井上の提案に山本は驚いた。
「確かに陸攻なら上海に届くだろうが戦闘機隊は届くまい。まさか、陸攻隊を丸裸のまま出すつもりか?」
これに対して井上は首を横に振る。
「我々には龍驤、加賀、鳳翔があります。そこから96式艦戦を護衛として出撃させれば良いのです。」
山本ははっとした。
「分かった。では出撃を命令する。だがあくまで軍事関係の物だけだ。民間人を攻撃ては欧米が噛みついてくるだろうからな。」
「はっ!」


「我々の目標は上海の国民党軍だ。特に飛行場は真っ先に潰しておく必要がある。それを念頭に作戦を遂行するように。」
隊長からの訓示が終わり、それぞれが陸攻隊に乗り込んでいく。
といっても今回出撃するのは陸攻隊だけではない。
陸軍に譲渡され、改修された97式軽爆撃機も12機出撃する。
97式軽爆撃機は魚雷搭載能力を代償に防護機銃、装甲版を強化していた。
こうして合計45機に及ぶ大編隊が高雄航空基地から出撃した。


「攻撃隊、見えました!」
見張り員の声に長門に座上していた井上はすぐに命令を下す。
「各空母に通達!戦闘機を増槽の上、出撃せよ!」
この命令の5分後に加賀から1番機が発艦した。
それを皮切りに合計35機の96式艦戦が発艦し攻撃隊の編隊に加わっていった。


上海では凄惨な戦いが続いていた。
現地の守備に就いていた特別陸戦隊は4千名程度だったのに対し、国民党軍は10倍の4万名で攻撃を行った。
陸戦隊は激しい抵抗を続けていたがじりじりと後退を余儀なくされていた。


「陸軍はまだ来ないのか?」
となりに居た戦友に話しかける。
「今、全力でこっちに向かってるとよ。あと3日待てば到着するはずだ。」
「3日間もここを守れるのだろうか?」
それは誰もが心配していたことだった。
「まぁ、先のことを考えても仕方ないな。」
気を紛らわすために空を見ると飛行機の編隊が見えた。
「おい!あれ見ろ!」
戦友も空を見あげる。
「あれは…日の丸が見える!友軍機だ!」
こうして渡洋爆撃は開始された。


現地の国民党軍は大混乱に陥った。
日本軍がいきなり80機もの大編隊を出撃させてくるとは思わなかったからだ。
それでも迎撃機を出撃させる。
米国から輸入されたカーチス・ホークスⅡ戦闘機12機が上空に舞い上がったが、たちまち96式艦戦35機に撃破される。
そして陸攻隊は正確に照準を行い、飛行場や軍需工場そして砲兵隊等を破壊した。


この渡洋爆撃の成功は国内に宣伝されたばかりか、各航空基地に発破をかけ陸軍戦闘機に護衛された陸攻と軽爆が次々に渡洋爆撃を実施。
国民党軍がその対応に追われている間に上海に陸軍4個師団が上陸。
これを受け、上海を攻撃していた国民党軍は撤退を余儀なくされ10月4日にいわゆる第2次上海事変は終結した。
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