連合艦隊司令長官、井上成美

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開戦前夜

総理大臣、山本五十六

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1月19日。
大和視察を終え、長門に帰ってきた井上はいつも通り執務をこなしていた。
そんな時電話がなる。
「井上です…。それは本当ですか?分かりました。支度をしてすぐ行きます。」
井上は慌てて支度をして執務室を出ていく。
米内の伴侶である米内まさが天に昇ったのだ。


米内邸は沈痛な雰囲気が漂っていた。
「山本さん。米内さんは…。」
「今は1人の方がいいだろう。」
山本はそうとだけ言った。


待合室で山本と井上は米内を待っていた。
「米内さん、やっと調子を取り戻してきたんだがな。」
山本はどこか悲しそうに言った。
米内は現在、第4艦隊司令に着任していた。
「米内さんなら大丈夫です。彼はそんなにもろくない。」
井上の確固たる声色で言った。
「うれしいことを言ってくれるな。」
部屋の扉が開き米内が入ってきた。
「まさは最期に俺に悔いの無い生き方をしろと言いやがった。だから俺は決めた。この命果てるまで国家に報じる!」
米内は悲しそうな雰囲気を漂わせなかった。
「そうですか!それなら米内さん。海軍大臣になってください。」
米内はおろか井上も驚いた。
「実は陛下が私に大命降下なされ内々に総理大臣就任が決まってしまいまして、海軍大臣をだれにするか困っていたんです。」
米内はたまげた様子だったが笑いはじめた
「相変わらず突拍子もないことを言うなお前は!分かった!この米内、海軍大臣を立派に勤め上げる所存!」
そうして3月4日には山本内閣が成立。
対米戦争回避を掲げ動き始めたのだった。


井上はこまの通夜に参加した後、小沢と交渉していた。
「どうかお前の所の樋端をこっちに回してくれないだろうか。」
小沢は苦い顔をする。
「あいつは俺に航空戦のイロハを教えてくれた先生でもある。みすみす手放すわけには行かない。」
「それは十分理解している。だが、今の連合艦隊には彼が必要なんだ。」
井上はまっすぐ小沢を見る。
「頼む…!」
小沢は黙り込んだがすぐに口を開く。
「分かった。それなら樋端をそっちに送ってやる!だが、もし樋端を雑に扱ったら取返しに行くからな!」
後日、樋端は連合艦隊航空乙参謀に着任した。


井上が樋端を欲しがった理由、それは上海事変に起因する。
上海事変では陸海共同航空隊の陸攻と軽爆が大戦果を挙げたがその要因の1つに樋端の生み出した”樋端ターン”があった。
1回目の上海爆撃は海軍戦闘機隊の護衛があったものの上海だけに構っているわけにもいかず、空母航空隊が離れたため陸攻隊だけでの爆撃を余儀なくされた。
そして、当時高雄航空基地の副司令であった樋端が敵戦闘機の燃料が途切れるまでは逃げるようにターンし燃料が切れ始めたころを狙って爆撃を敢行する”樋端ターン”により大戦果を挙げたのだ。
これに井上は樋端の大きな可能性を感じたのだった。
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