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第1部
TAKE21 衝撃2 後編
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小夜はビックリした。
「え…なん…」
「小夜の家、確かここらへんだなって思って少し寄ったんだ。」
亜門は眉を潜めて男を見た。
「…誰、お前?」
「え…はい!はじめまして!!明神慶介って言います!!えっと…あなた?」
慶介と名乗った男はファミレスで会った亜門を覚えていなかったようだ。
小夜は慌てて亜門の袖を引っ張った。
「前言ってた!ファミレスの!世華の!!」
そのワードが揃って、亜門もピンと来た。
小夜は亜門の陰に隠れながらも慌てたまま喋った。
「ど…うして、ここに?」
「うん…実はあれからすごい考えて…記憶がないって聞いてすっごくビックリしたし、どうしたらいいのかわかんなかったけど…記憶がなくて大変だろうなって思って…だから、」
慶介は凛々しく言い切った。
「俺でよかったら、協力するよ!!昔の話とかしてさ!!」
「…………え?」
小夜はワッと嬉しい気持ちが広がった。
(よかった!!素直に打ち明けてよかった!!)
小夜は亜門の陰から出てきて、慶介の手を両手で取った。
「ありがとう!!ありがとう!!」
小夜は心底、ホッとした。
今まで手探りで不安だったのが、これで少し光が見えたような気がした。
慶介もそんな小夜の様子を見て優しく笑った。
「うん。小夜の役に立てるなら嬉しいよ!!よかったらいつでも言って?」
「ありがとう…えっと…その…」
「明神慶介。俺のことは『慶介くん』って呼んでた。」
「…うん!!ありがとう!!慶介くん!!」
小夜はありったけの感謝を述べていると亜門は小夜の首根っこを掴んで自分のところに引き寄せた。
小夜の手は慶介から離れる。
亜門は目を細めたまま、慶介を見た。
「…で、お前は何?小夜の中学の時の同級生なのか?」
「…え?いえ……ではなくて、」
「違う?」
「…実は、小夜と付き合ってたことがありまして…」
「「はあ?」」
小夜も亜門も慶介の言葉に絶句した。
小夜はパクパクと口を動かすが声になってない。
「さ…小夜の、元カレ?」
「…そうなりますかね。中3の春までですけど…」
亜門も瞬きすらままならないほど固まった。
慶介は二人の衝撃に気付かず、話を進めた。
「小夜、悪いけど今日はもう行かないといけないんだ?俺、連絡先変わったから教えて?」
「えぇ!?…あ、うん。」
小夜はそこでようやく動けて、スマホを取り出した。
お互いの連絡を交換して慶介は「うん、」と頷いた。
「ありがとう!また連絡するね!」
「……う…うん。」
スマホを振って、慶介は爽やかな笑顔でその場を立ち去った。
小夜と亜門は橘が立ち去って残された時よりも更に呆然と立ち尽くした。
小夜はいつも以上に他人事だと感じた。
「…どういうことですか?」
「…や、俺が聞きてぇし…。」
小夜は交換したばかりのアカウントを見て「…ですよね。」と 呟いた。
「あー、まー、そのー、よかったじゃん?昔の手掛かり掴めそう…で?」
亜門は一切、小夜の方を見ようとしない。
「…亜門?」
「…俺、帰るわ。」
「へ?」
亜門は小夜を見ないまま、歩き出した。
小夜は反射で追いかけた。
混乱している中、一人にされたくなかった。
「いや、待ってよ!!」
「…なんでだよ。橘も解決したし、お前帰れよ。」
亜門は前を向いたまま、足を止めない。
「いや…でもさ、」
「てか橘の件も俺はいまいち納得してねぇから、今日はお前から離れとくわ…」
「…亜門、なんか怒ってる?」
「怒ってねぇよ。」
「なんか変じゃない?」
「変じゃねぇ。」
「じゃあこっち向いてよ!!!」
小夜は亜門の前に立ちはだかった。
せっかく記憶喪失以前を掴んで、落ち着けると思った矢先の驚き。
そして亜門の態度で小夜は余計に不安になっていく。
「どうしたの?変じゃないなら、しばらくは一緒にいてよ!!」
小夜は気が落ち着くまで、亜門に話を聞いてもらいたかった。
しかし亜門は小夜の肩を持って、ゆっくりと小夜を退かした。
「…悪い。なんか、今は無理…。」
亜門は小夜を横切って歩いていった。
しばらくして小夜が振り返った先には、少し遠退いた亜門の背中。
小夜の記憶の奥がチリッと痛む。
ーーー『小夜…俺はあいつの…』
ドクン…
ドクン…
橘の時と同じ。
いつの出来事かわからないが、それが誰かという事は、なんとなくわかる。
"彼"と亜門の背中がダブる。
「待って…行かないで…待って!!!―――――っ、斗真ぁ!!!!」
亜門の胸に
小夜の頭に
突風と大きな衝撃が真っ直ぐと突き抜けた。
辺りは静かなはずなのに自分の心臓の音でやけに耳障りだ。
亜門は少し離れた先にいる小夜を見た。
「…小夜。いま……なんて?」
◇◇◇
今日の休み時間の時、尚太が小夜に中学時代の写真を見せた時のこと。
『ほら。こっちが波古山さんで…これが俺!!』
『…………硲くん?』
『なんだ?』
『この…亜門の隣にいる人…誰?』
『ん?あぁ!!これが斗真さんだよ!!鬼原斗真さん!!』
ドクン…
ドクン…
私は…
この人を見たことがある。
「え…なん…」
「小夜の家、確かここらへんだなって思って少し寄ったんだ。」
亜門は眉を潜めて男を見た。
「…誰、お前?」
「え…はい!はじめまして!!明神慶介って言います!!えっと…あなた?」
慶介と名乗った男はファミレスで会った亜門を覚えていなかったようだ。
小夜は慌てて亜門の袖を引っ張った。
「前言ってた!ファミレスの!世華の!!」
そのワードが揃って、亜門もピンと来た。
小夜は亜門の陰に隠れながらも慌てたまま喋った。
「ど…うして、ここに?」
「うん…実はあれからすごい考えて…記憶がないって聞いてすっごくビックリしたし、どうしたらいいのかわかんなかったけど…記憶がなくて大変だろうなって思って…だから、」
慶介は凛々しく言い切った。
「俺でよかったら、協力するよ!!昔の話とかしてさ!!」
「…………え?」
小夜はワッと嬉しい気持ちが広がった。
(よかった!!素直に打ち明けてよかった!!)
小夜は亜門の陰から出てきて、慶介の手を両手で取った。
「ありがとう!!ありがとう!!」
小夜は心底、ホッとした。
今まで手探りで不安だったのが、これで少し光が見えたような気がした。
慶介もそんな小夜の様子を見て優しく笑った。
「うん。小夜の役に立てるなら嬉しいよ!!よかったらいつでも言って?」
「ありがとう…えっと…その…」
「明神慶介。俺のことは『慶介くん』って呼んでた。」
「…うん!!ありがとう!!慶介くん!!」
小夜はありったけの感謝を述べていると亜門は小夜の首根っこを掴んで自分のところに引き寄せた。
小夜の手は慶介から離れる。
亜門は目を細めたまま、慶介を見た。
「…で、お前は何?小夜の中学の時の同級生なのか?」
「…え?いえ……ではなくて、」
「違う?」
「…実は、小夜と付き合ってたことがありまして…」
「「はあ?」」
小夜も亜門も慶介の言葉に絶句した。
小夜はパクパクと口を動かすが声になってない。
「さ…小夜の、元カレ?」
「…そうなりますかね。中3の春までですけど…」
亜門も瞬きすらままならないほど固まった。
慶介は二人の衝撃に気付かず、話を進めた。
「小夜、悪いけど今日はもう行かないといけないんだ?俺、連絡先変わったから教えて?」
「えぇ!?…あ、うん。」
小夜はそこでようやく動けて、スマホを取り出した。
お互いの連絡を交換して慶介は「うん、」と頷いた。
「ありがとう!また連絡するね!」
「……う…うん。」
スマホを振って、慶介は爽やかな笑顔でその場を立ち去った。
小夜と亜門は橘が立ち去って残された時よりも更に呆然と立ち尽くした。
小夜はいつも以上に他人事だと感じた。
「…どういうことですか?」
「…や、俺が聞きてぇし…。」
小夜は交換したばかりのアカウントを見て「…ですよね。」と 呟いた。
「あー、まー、そのー、よかったじゃん?昔の手掛かり掴めそう…で?」
亜門は一切、小夜の方を見ようとしない。
「…亜門?」
「…俺、帰るわ。」
「へ?」
亜門は小夜を見ないまま、歩き出した。
小夜は反射で追いかけた。
混乱している中、一人にされたくなかった。
「いや、待ってよ!!」
「…なんでだよ。橘も解決したし、お前帰れよ。」
亜門は前を向いたまま、足を止めない。
「いや…でもさ、」
「てか橘の件も俺はいまいち納得してねぇから、今日はお前から離れとくわ…」
「…亜門、なんか怒ってる?」
「怒ってねぇよ。」
「なんか変じゃない?」
「変じゃねぇ。」
「じゃあこっち向いてよ!!!」
小夜は亜門の前に立ちはだかった。
せっかく記憶喪失以前を掴んで、落ち着けると思った矢先の驚き。
そして亜門の態度で小夜は余計に不安になっていく。
「どうしたの?変じゃないなら、しばらくは一緒にいてよ!!」
小夜は気が落ち着くまで、亜門に話を聞いてもらいたかった。
しかし亜門は小夜の肩を持って、ゆっくりと小夜を退かした。
「…悪い。なんか、今は無理…。」
亜門は小夜を横切って歩いていった。
しばらくして小夜が振り返った先には、少し遠退いた亜門の背中。
小夜の記憶の奥がチリッと痛む。
ーーー『小夜…俺はあいつの…』
ドクン…
ドクン…
橘の時と同じ。
いつの出来事かわからないが、それが誰かという事は、なんとなくわかる。
"彼"と亜門の背中がダブる。
「待って…行かないで…待って!!!―――――っ、斗真ぁ!!!!」
亜門の胸に
小夜の頭に
突風と大きな衝撃が真っ直ぐと突き抜けた。
辺りは静かなはずなのに自分の心臓の音でやけに耳障りだ。
亜門は少し離れた先にいる小夜を見た。
「…小夜。いま……なんて?」
◇◇◇
今日の休み時間の時、尚太が小夜に中学時代の写真を見せた時のこと。
『ほら。こっちが波古山さんで…これが俺!!』
『…………硲くん?』
『なんだ?』
『この…亜門の隣にいる人…誰?』
『ん?あぁ!!これが斗真さんだよ!!鬼原斗真さん!!』
ドクン…
ドクン…
私は…
この人を見たことがある。
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