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第2部
TAKE30 偽りの瞬間 前編
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(電車の……接触…事故?)
小夜はその言葉を口にした幸人から目を離せずにいた。
「接触事故……ってどこで…?」
それから小夜はようやくそう言えた。
幸人は亜門から視線を外し、小夜を見た。
「場所は…噂が色々飛び交ってて定かじゃないが、ここの隣の駅で起こったって説が強い。」
「隣の…駅?」
それは小夜の衝突事故があった場所と同じである。
小夜は亜門を見た。
亜門は真面目な顔を崩さず、ゆっくりと小夜に向かって頷いた。
(亜門は…知ってたんだ。)
思えば事故直前の記憶が蘇って亜門にそれを言った時、亜門とそんな会話をしていたのを思い出した。
―――……
『……ホントか!?いつ!?それは一体何月何日!!??』
『そ…そこまではわからないけど…とっても暑い…夏の日だったんかな?』
『…小夜?』
『何?』
『…いや、なんでもねぇ。』
―――
(私は斗真を知っているかもしれない…。私は事故の時、斗真と一緒だったのかもしれない…。)
少しずつ繋がっていく。
しかしその分、少しずつ見えないものも増えていく。
「波古山…何の目的で話を聞きたがったのかわかんねぇからお前が満足したかわかんねぇが…俺は話せるだけを話したぞ。」
「……あぁ。」
「だから答えろ。死んだ理由はなんだ?」
亜門は一瞬目を伏せ、そして小夜と幸人を見た。
妙な緊張が走る。
「あれは……事故だ。」
「は?」
幸人は眉間に皺を寄せた。
「ただの事故か?」
「俺はそう聞いてる。」
「誰から?」
「警察。」
亜門はもう空のコップを意味なく触った。
「事故の次の日、事情聴取で呼ばれてな。斗真の不注意による不慮な事故って聞いた。」
「……なんだよ。ただの偶然の事故なのか?」
「一体どんなことを期待してたんだ?」
「…別に期待とかはねぇよ。こっちがいつか鬼原と本気で戦ってみてぇと思った矢先の死だったからよ…気になっただけだよ。なんつーか…完全不燃焼っつーか?」
グー…
深刻な会話の分、よく響いた。
亜門と幸人は小夜の方に顔を向けた。
「あ…アハハ。お腹空いちゃった……かな?」
顔を赤くして小夜は誤魔化しながら笑ったが、亜門はいつもの顔をして小夜を見た。
幸人はクククと声をこもらせながら笑った。
「ここ来てから飲み物以外なんにも注文してないもんな。なんか食おうぜ!!」
そう言って幸人はメニューを開いてくれた。
土曜日ということもあり、周りは混み出している。
目の前にご飯が並んだあと、幸人が隣にいる小夜と前にいる亜門をジーと見た。
「今更だけど、革城は波古山のどこが良かったわけ?」
小夜は咳き込んだ。
亜門は目を細めて幸人を見た。
「どっ…どこッッ…亜門のどこがいいかは…その……」
「小夜。沢田はからかってるだけだから、相手にしなくていい。」
亜門は黙々と食べ始めた。
幸人はニヤつきながら肘をついて、大袈裟に溜め息をついてみせた。
「あ~ぁ……つまんねぇなぁ、波古山は。余裕見せちゃって…」
小夜は両手で自分の頬を押さえた。
「…私、そういうの言われ慣れてないから。騒いでごめん。」
「普通はそうだろ。それに革城、良いこと教えてやろうか?」
「良いこと?」
幸人はますます楽しそうにした。
「コイツも先週は革城のこと言うと…」
「…ッッわー!!何言う気だ!?沢田黙れ!!!!言うな!!!!」
机を叩く亜門はすごい形相となって幸人に怒鳴った。
小夜はそれに驚いて呆気にとられた。
幸人は可笑しそうにケラケラ笑った。
「な?コイツだって余裕ないだろ?」
小夜もさっきの取り乱した亜門を思い出してクスクス笑った。
「うん!!沢田くんありがとう。良いもの見ちゃった!!」
亜門は真っ赤な顔を手で覆って「……最悪。」と呟いた。
小夜はそれを見て更に声を出して笑った。
亜門のリアクションが可愛く感じたし、亜門が幸人とも打ち解けているのが嬉しかった。
たわいない会話をしながら、ご飯を食べて過ごした。
まだ日は高かったが、三人はファミレスを出た。
「どうする?このあとシン達とかも呼んでどっか遊びに行くか?」
幸人は伸びをしながら、小夜と亜門に聞いた。
亜門は視線を下げて、少し悩んでいる。
「あー…どうしようか。てかシン達呼んだところでどこに行くんだ?」
「俺らの定番からいうとゲーセンかカラオケ。もしくはシンの家。」
会話の途中で小夜のスマホが鳴った。
見ると慶介からだった。
しかも電話である。
二人に「ごめんね。」と一言断ってから小夜は電話に出た。
「もしもし。」
『もしもし小夜?今何してた?』
『えっと…今は…』
チラッと亜門達を見てから、電話に戻った。
「今は友達と一緒にいるところ。」
小夜のその言葉を聞いたらしい幸人は亜門の肩に手を掛けて「友達だってさ。」と、またからかった。
亜門もそれに少し不機嫌そうにした。
『え~っと…じゃあ今から会えない…よね?』
「いや…まぁキリがいいところではあるけど…。」
『……出来たら会いたいんだけど?』
「え?」
『小夜にどうしても言いたいことがあって。』
「言いたいこと?何?」
『聞いてほしいから会いたい。そっちの用事終わってからで…遅くなってもいいから今日会えない?』
「……わかった!!いいよ!!」
『ほんと?』
「うん!!こっち終わったらまた電話する。」
『ありがとう!!じゃああとで。』
ツーツーツー…
電話を切ったあと、亜門はすぐに問いただした。
「……誰から電話?」
「慶介くん!!このあと会おうって!!」
「二人で?」
「え?うん。」
「…………へぇ?」
亜門は眉間に皺を寄せた。
小夜は驚いて目をパチパチと瞬きした。
「え?え?なんかマズかった?」
亜門の目がどんどん細くなる。
そんな二人の様子に幸人はたまらず笑った。
「革城、気にすんな。こいつヤキモチ妬いてんだよ、な?」
「えぇ!?ヤキモチッ!?」
小夜の勢いある返事に亜門は大きく溜め息をついた。
「ヤキモチ…ではない。」
「ほほー。違うと?」
「…」
ますます笑顔で絡んでくる幸人に亜門はますます息を吐く。
小夜は戸惑うように「えーっと…」と呟いて、提案した。
「亜門も…一緒に行く?」
幸人は亜門に向かって笑った。
「うわー…これが束縛の男か。やだやだ…」
「俺はなんも言ってねぇだろうが!!!!…小夜、別に大丈夫だから、気にせず明神のとこ行ってこい。」
小夜は亜門の言葉に笑顔で頷いた。
「うん!!ありがとう!!終わったら連絡するね!!」
小夜は亜門達に背を向けて歩き出したが、すぐにまた戻ってきた。
亜門を見ながら小夜はもう一度笑った。
「亜門がヤキモチ妬くようなことはないから!!大丈夫だからね!!」
小夜はそれだけ言って、行ってしまった。
小夜の姿が小さくなって、亜門は目を細めた。
「そんなこと言うなら、俺から離れるなよ…他の男のとこなんて行くな。」
「…………沢田。勝手に俺の吹き替えしないでくれる?」
「波古山が素直じゃねぇから代わりに言ってやってるだけだろ?」
「んなこたぁ頼んでねぇし、思ってもねぇよ。ただ…」
「ん?」
「小夜が何も考えてないっぽいのが心配なんだよ。俺がどんなにアイツを思ってるのかも…多分わかってねぇ。」
「…」
幸人は亜門のお尻を軽く蹴った。
「だから素直じゃねぇってんだよ。」
「……そうなんかもしんねぇ。」
亜門は小さく笑った。
そんな亜門に幸人もやれやれといった感じで笑った。
スマホを開いた幸人はメッセージを打ち始めた。
「まっ、シン達呼んで騒ぐか。波古山の失恋を祝して!!」
「フラれてねぇよ!!!!」
「…で、話変わるけど気になったから一応聞いていいか?」
幸人は突然、やけに真面目な顔となった。
「波古山がさっき言った『みょうじん』って……『明神慶介』って奴じゃ…ないよな?」
今度は亜門が真顔になった。
「……なんで?」
「いや…違ってたら良いんだけど。革城が会いに行ったっていう明神って奴は下の名前、慶介とは違うよな?」
「だからなんで?」
「…深い意味はねぇけど、一応確認。」
亜門は咄嗟に頭を働かせた。
幸人は以前ファミレスで慶介と話していたから知り合いであることは当たり前だ。
だけど幸人は何をこんなにも警戒しているのだろうか。
だからどこまで言えばいいのか。
(明神と繋がりがあるとわかったら小夜の元カレだってこともわかるか?
でもそしたら小夜が"世華の大和撫子"と気付かれるかも…
でも沢田にはもう小夜が記憶喪失であることを告白しても大丈夫なんじゃ……こいつも頭悪いわけでもないし協力してくれるかも…
いや、でも今はまだ……)
色々巡らせた結果、亜門はひとまず頷いた。
「……そうだよ。明神慶介って奴だ。」
「ふーん。革城とどんな関係?」
やはりそう聞かれるかと亜門は声をドモらせた。
「わ…わりと前からの…し、知り合いらしい。」
「知り合い?へぇー。」
幸人は宙を見上げて「前からの知り合いなら、まぁ大丈夫か。」と呟いた。
亜門は眉をひそめた。
「…何が"大丈夫か"なんだ?」
「いや…まぁそいつも俺は知り合いなんだが、なんつーか…読めん奴っていうか、手段選らばん奴というか…な…」
「…なんかマズイのか?」
「マズイのはアイツの繋がり。」
「は?」
「そいつ世華だけど、何故か黒高の奴らとも繋がってんだよ。」
「黒高!?」
「鬼原と黒高がやり合うって話を聞いたっつったろ?その情報、俺に回してきたのがその明神なんだよ。」
「…」
「なんか黒高を利用しては裏でコソコソしてるみたいだけど…よくわかんねぇ。俺もそんな仲良くないからな。裏で勝手にやってる分は俺も勝手にすれば?って感じだし。最近知り合ったんじゃねぇなら、革城も知ってるだろ。別に危なくねぇだろ?」
幸人は呑気に背伸びをした。
亜門はザワザワと胸が騒ぐ。
根拠もない直感だが…嫌な予感がする。
「…波古山?」
幸人の呼び掛けにも答えず、亜門はスマホを取り出した。
小夜はその言葉を口にした幸人から目を離せずにいた。
「接触事故……ってどこで…?」
それから小夜はようやくそう言えた。
幸人は亜門から視線を外し、小夜を見た。
「場所は…噂が色々飛び交ってて定かじゃないが、ここの隣の駅で起こったって説が強い。」
「隣の…駅?」
それは小夜の衝突事故があった場所と同じである。
小夜は亜門を見た。
亜門は真面目な顔を崩さず、ゆっくりと小夜に向かって頷いた。
(亜門は…知ってたんだ。)
思えば事故直前の記憶が蘇って亜門にそれを言った時、亜門とそんな会話をしていたのを思い出した。
―――……
『……ホントか!?いつ!?それは一体何月何日!!??』
『そ…そこまではわからないけど…とっても暑い…夏の日だったんかな?』
『…小夜?』
『何?』
『…いや、なんでもねぇ。』
―――
(私は斗真を知っているかもしれない…。私は事故の時、斗真と一緒だったのかもしれない…。)
少しずつ繋がっていく。
しかしその分、少しずつ見えないものも増えていく。
「波古山…何の目的で話を聞きたがったのかわかんねぇからお前が満足したかわかんねぇが…俺は話せるだけを話したぞ。」
「……あぁ。」
「だから答えろ。死んだ理由はなんだ?」
亜門は一瞬目を伏せ、そして小夜と幸人を見た。
妙な緊張が走る。
「あれは……事故だ。」
「は?」
幸人は眉間に皺を寄せた。
「ただの事故か?」
「俺はそう聞いてる。」
「誰から?」
「警察。」
亜門はもう空のコップを意味なく触った。
「事故の次の日、事情聴取で呼ばれてな。斗真の不注意による不慮な事故って聞いた。」
「……なんだよ。ただの偶然の事故なのか?」
「一体どんなことを期待してたんだ?」
「…別に期待とかはねぇよ。こっちがいつか鬼原と本気で戦ってみてぇと思った矢先の死だったからよ…気になっただけだよ。なんつーか…完全不燃焼っつーか?」
グー…
深刻な会話の分、よく響いた。
亜門と幸人は小夜の方に顔を向けた。
「あ…アハハ。お腹空いちゃった……かな?」
顔を赤くして小夜は誤魔化しながら笑ったが、亜門はいつもの顔をして小夜を見た。
幸人はクククと声をこもらせながら笑った。
「ここ来てから飲み物以外なんにも注文してないもんな。なんか食おうぜ!!」
そう言って幸人はメニューを開いてくれた。
土曜日ということもあり、周りは混み出している。
目の前にご飯が並んだあと、幸人が隣にいる小夜と前にいる亜門をジーと見た。
「今更だけど、革城は波古山のどこが良かったわけ?」
小夜は咳き込んだ。
亜門は目を細めて幸人を見た。
「どっ…どこッッ…亜門のどこがいいかは…その……」
「小夜。沢田はからかってるだけだから、相手にしなくていい。」
亜門は黙々と食べ始めた。
幸人はニヤつきながら肘をついて、大袈裟に溜め息をついてみせた。
「あ~ぁ……つまんねぇなぁ、波古山は。余裕見せちゃって…」
小夜は両手で自分の頬を押さえた。
「…私、そういうの言われ慣れてないから。騒いでごめん。」
「普通はそうだろ。それに革城、良いこと教えてやろうか?」
「良いこと?」
幸人はますます楽しそうにした。
「コイツも先週は革城のこと言うと…」
「…ッッわー!!何言う気だ!?沢田黙れ!!!!言うな!!!!」
机を叩く亜門はすごい形相となって幸人に怒鳴った。
小夜はそれに驚いて呆気にとられた。
幸人は可笑しそうにケラケラ笑った。
「な?コイツだって余裕ないだろ?」
小夜もさっきの取り乱した亜門を思い出してクスクス笑った。
「うん!!沢田くんありがとう。良いもの見ちゃった!!」
亜門は真っ赤な顔を手で覆って「……最悪。」と呟いた。
小夜はそれを見て更に声を出して笑った。
亜門のリアクションが可愛く感じたし、亜門が幸人とも打ち解けているのが嬉しかった。
たわいない会話をしながら、ご飯を食べて過ごした。
まだ日は高かったが、三人はファミレスを出た。
「どうする?このあとシン達とかも呼んでどっか遊びに行くか?」
幸人は伸びをしながら、小夜と亜門に聞いた。
亜門は視線を下げて、少し悩んでいる。
「あー…どうしようか。てかシン達呼んだところでどこに行くんだ?」
「俺らの定番からいうとゲーセンかカラオケ。もしくはシンの家。」
会話の途中で小夜のスマホが鳴った。
見ると慶介からだった。
しかも電話である。
二人に「ごめんね。」と一言断ってから小夜は電話に出た。
「もしもし。」
『もしもし小夜?今何してた?』
『えっと…今は…』
チラッと亜門達を見てから、電話に戻った。
「今は友達と一緒にいるところ。」
小夜のその言葉を聞いたらしい幸人は亜門の肩に手を掛けて「友達だってさ。」と、またからかった。
亜門もそれに少し不機嫌そうにした。
『え~っと…じゃあ今から会えない…よね?』
「いや…まぁキリがいいところではあるけど…。」
『……出来たら会いたいんだけど?』
「え?」
『小夜にどうしても言いたいことがあって。』
「言いたいこと?何?」
『聞いてほしいから会いたい。そっちの用事終わってからで…遅くなってもいいから今日会えない?』
「……わかった!!いいよ!!」
『ほんと?』
「うん!!こっち終わったらまた電話する。」
『ありがとう!!じゃああとで。』
ツーツーツー…
電話を切ったあと、亜門はすぐに問いただした。
「……誰から電話?」
「慶介くん!!このあと会おうって!!」
「二人で?」
「え?うん。」
「…………へぇ?」
亜門は眉間に皺を寄せた。
小夜は驚いて目をパチパチと瞬きした。
「え?え?なんかマズかった?」
亜門の目がどんどん細くなる。
そんな二人の様子に幸人はたまらず笑った。
「革城、気にすんな。こいつヤキモチ妬いてんだよ、な?」
「えぇ!?ヤキモチッ!?」
小夜の勢いある返事に亜門は大きく溜め息をついた。
「ヤキモチ…ではない。」
「ほほー。違うと?」
「…」
ますます笑顔で絡んでくる幸人に亜門はますます息を吐く。
小夜は戸惑うように「えーっと…」と呟いて、提案した。
「亜門も…一緒に行く?」
幸人は亜門に向かって笑った。
「うわー…これが束縛の男か。やだやだ…」
「俺はなんも言ってねぇだろうが!!!!…小夜、別に大丈夫だから、気にせず明神のとこ行ってこい。」
小夜は亜門の言葉に笑顔で頷いた。
「うん!!ありがとう!!終わったら連絡するね!!」
小夜は亜門達に背を向けて歩き出したが、すぐにまた戻ってきた。
亜門を見ながら小夜はもう一度笑った。
「亜門がヤキモチ妬くようなことはないから!!大丈夫だからね!!」
小夜はそれだけ言って、行ってしまった。
小夜の姿が小さくなって、亜門は目を細めた。
「そんなこと言うなら、俺から離れるなよ…他の男のとこなんて行くな。」
「…………沢田。勝手に俺の吹き替えしないでくれる?」
「波古山が素直じゃねぇから代わりに言ってやってるだけだろ?」
「んなこたぁ頼んでねぇし、思ってもねぇよ。ただ…」
「ん?」
「小夜が何も考えてないっぽいのが心配なんだよ。俺がどんなにアイツを思ってるのかも…多分わかってねぇ。」
「…」
幸人は亜門のお尻を軽く蹴った。
「だから素直じゃねぇってんだよ。」
「……そうなんかもしんねぇ。」
亜門は小さく笑った。
そんな亜門に幸人もやれやれといった感じで笑った。
スマホを開いた幸人はメッセージを打ち始めた。
「まっ、シン達呼んで騒ぐか。波古山の失恋を祝して!!」
「フラれてねぇよ!!!!」
「…で、話変わるけど気になったから一応聞いていいか?」
幸人は突然、やけに真面目な顔となった。
「波古山がさっき言った『みょうじん』って……『明神慶介』って奴じゃ…ないよな?」
今度は亜門が真顔になった。
「……なんで?」
「いや…違ってたら良いんだけど。革城が会いに行ったっていう明神って奴は下の名前、慶介とは違うよな?」
「だからなんで?」
「…深い意味はねぇけど、一応確認。」
亜門は咄嗟に頭を働かせた。
幸人は以前ファミレスで慶介と話していたから知り合いであることは当たり前だ。
だけど幸人は何をこんなにも警戒しているのだろうか。
だからどこまで言えばいいのか。
(明神と繋がりがあるとわかったら小夜の元カレだってこともわかるか?
でもそしたら小夜が"世華の大和撫子"と気付かれるかも…
でも沢田にはもう小夜が記憶喪失であることを告白しても大丈夫なんじゃ……こいつも頭悪いわけでもないし協力してくれるかも…
いや、でも今はまだ……)
色々巡らせた結果、亜門はひとまず頷いた。
「……そうだよ。明神慶介って奴だ。」
「ふーん。革城とどんな関係?」
やはりそう聞かれるかと亜門は声をドモらせた。
「わ…わりと前からの…し、知り合いらしい。」
「知り合い?へぇー。」
幸人は宙を見上げて「前からの知り合いなら、まぁ大丈夫か。」と呟いた。
亜門は眉をひそめた。
「…何が"大丈夫か"なんだ?」
「いや…まぁそいつも俺は知り合いなんだが、なんつーか…読めん奴っていうか、手段選らばん奴というか…な…」
「…なんかマズイのか?」
「マズイのはアイツの繋がり。」
「は?」
「そいつ世華だけど、何故か黒高の奴らとも繋がってんだよ。」
「黒高!?」
「鬼原と黒高がやり合うって話を聞いたっつったろ?その情報、俺に回してきたのがその明神なんだよ。」
「…」
「なんか黒高を利用しては裏でコソコソしてるみたいだけど…よくわかんねぇ。俺もそんな仲良くないからな。裏で勝手にやってる分は俺も勝手にすれば?って感じだし。最近知り合ったんじゃねぇなら、革城も知ってるだろ。別に危なくねぇだろ?」
幸人は呑気に背伸びをした。
亜門はザワザワと胸が騒ぐ。
根拠もない直感だが…嫌な予感がする。
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