D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

文字の大きさ
68 / 700
第五章

監視

しおりを挟む
 小屋の中に他の全員を残し、ステフは俺だけを伴って外へ出た。イリス村へ続く道からは、松明の群が迫ってきている。
「ショーキチ、弓だけ構えろ。まだ矢をつがえて張らなくて良いぞ。腕が疲れてぷるぷる震えると可愛いからな」
 ステフはそう助言しつつ笑ったが、俺の足の方は既に震えそうだった。松明の群は「武器を持った20名以上の人影」という明確な姿をとりつつあったからだ。
「ほう、そういう事ならなっ!」
 ステフは一瞬の動き炎と冷気を放つ剣を抜き放ち地面に刺した。続く動作でさっとマントを脱ぎ捨てたその両手には、いつの間にか投げナイフが3本づつ握られている。
「武勇伝武勇伝、デンデンデデンデン! にまた一つ加わるような戦いでも始めようか?」
 彼女は楽しそうに暴徒たちに語りかけた。そして誰から餌食にかけようかと悩む素振りを見せるが、俺は全然別の事で悩んでいた。
 いったいどうしてこんな事態になったんだ……?

~活動報告 二日目~

 その青年はイリスの村で最後の補給を行ったようだった。
「おめーさ、本当に山側を行くだか?」
「ええ。時間の短縮になりますし、それにナリスはエルフなので森の方が慣れてますから」
 青年は荷馬車の具合を点検している連れ合いの方を指さす。痩身なエルフ男性の中でもとりわけ華奢な部類に入りそうなその相棒――ナリスという名らしい――は、氷のような美貌を引き締め細かな部品までチェックしていた。
「だども……あっちの道は略奪隊が出るって言うだしなあ」
 村唯一の雑貨屋店主の言葉に、私の隣に潜む若者が身じろぎした。私は姿勢を崩し物音を立てそうな彼女をそっと支える。
「(狼狽えるな。エルフの方に気づかれるぞ)」
「(すみません!)」
 青年が店主に何か応えようと口を開きかけたタイミングで、エルフは美しい切れ目を青年の方へ向けて言った。
「ショー! いつまでぐずぐずしているんだ? 早く行くぞ!」
「分かった、すぐ行く! ありがとうございました、それでは」
 ショーと呼ばれた青年は店主に会釈すると、小走りでエルフに近づく。私はショーが隣に並んだ途端、ナリスが鋭い表情を一気に緩め優しく微笑んだ事を見逃さなかった。
 荷馬車が出発しある程度離れるのを待ち、私は今見た光景について"略奪隊"の皆に報告し、しばし冷静に話し合ったあと追跡を再開した。

~活動報告 三日目~

 あの人間とエルフ、二人の青年のコンビ――隊全体の合議により目標をナリショーと呼称する事が決定した――はまるで人目を避けるかのようにとりわけ小道を進み、我々が「風の舞台」と呼ぶ高台に到達した。
 時間は夕刻。彼らはそこをその日の宿営地と決めたようだ。
「確かに見晴らしは良いが……夜になると風が寒くないかな?」
 ショーは周囲を見渡し半信半疑な様子で荷物を解く。
「ほほう。人間がエルフ様に野営の事で意見するか?」
 気取った足取りでナリスがショーに近づくと、からかうような表情で彼の顔をのぞき込む。
「そういう言い方は止めろよ。俺はナリスが風邪をひくんじゃないか、心配しているだけだ」
 顔をジロジロ見られたショーが頬を赤らめそっぽを向く。
「それはありがたい。だったらいっそ……」
 ナリスはエルフ特有の音のしない歩みでショーの背後に近づき、一気に背中から抱き締めた。
「今晩はこうやって抱き合って寝るか?」
 きたこれ!
「ナリス! やめろよ、こんな見晴らしの良いところで……」
「大丈夫。これだけの山奥だ、誰も見ていないさ……」
 拙者たちが見ているでござるよ、デユフフ!
「ナリス、俺は……」
「しっ! 今は口を閉じて……」
 どうやって口を閉じさせるでござるか!?
「黙ってこの夕日を見ていよう……」
 ナリスはショーの顎を掴み、空の方へ向けた。日が落ちていくのを惜しんでいるのか、やがて降りる夜の帳が二人を世界から隠してくれるのを期待しているのか、彼らの真の内心は分からない。
 我々に分かるのはただ、「収穫の時はきた」それだけだった。今宵は大きな狩りになる。
 
 リストパイセンへ
 文中、冷静さを欠く表現が何点か見受けられたっす。提出の際は削除することをおすすめするっす。 クエンより。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...