D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第六章

軍隊チームと狼と懐かしのハーフ

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 ノートリアスの士官さんが語った歴史、現状は俺達の間に重く染み込んでいった。寿命の長いエルフのナリンさんやステフにはノトジアで兵役を過ごした友が何名もいるらしく、既知の情報ではある。だが大洞穴という地下にいたナイトエルフの三名には初めて知る内容だった。
「驚いたっすね……」
「……そうでござるな」
 基地に入った直後は『軍服ミリタリー萌えでござる!』と違う方向で盛り上がっていた両者も真面目な顔になっている。レイさんに至っては俺の右手を痛いくらいの力で握っている。
 個人的には旅の計画を行っていた際、ノトジアの話を聞いた時から絶対に最後はここにしようと思っていた。そして三名の様子を見て、連れてきて良かったと思う。
「ありがとうございました」
 俺はレイさんの手を優しく外し、説明を終えた士官さんに右手を差し出す。それを見た士官さんはいそいそとガントレットを外した。
「こちらこそ」
 そう言いながら出された手は毛皮に覆われ、爪は長く尖っていた。その剣呑な見た目に反して、握ると肉球が柔らかかった。
 ガンス族だ。犬頭人身の狼人間。サッカードウで言えば献身的な動きと組織力で上位に喰らいつき、年間順位4位に位置する強豪チームの。
「記者会見を観ました。今年のアローズは手強そうですね。ウチのチームとやる時はお手柔らかにお願いします」
 声は笑っているが顔が仮面で隠れているので本心は分からない。仮面……そう考えれば彼の仮面は狼を模したのではなく素顔に近いのかもしれないな。
「それはどちらのチームですか?」
 握手した手を戻しながら問う。士官さんはガントレットを付け直し、敬礼しながら言った。
「もちろん、今はノートリアスの方です!」
と。

 どちらのチームですか? と訊ねたのには訳があった。実はノトジアにもサッカードウのチームがあり、一部リーグに参加しているのだ。
 その名は士官たちの敬称と同じく『ノートリアス』。リーグで、そしてこの大陸で唯一の種族混成チームであり毎年コンスタントに5~9位に位置する中堅チームでもある。
 その構成員は漏れなくノトジアの兵士だ。と言っても軍務の合間での参加ではない。彼女らは基本、六ヶ月の勤務と三ヶ月の公休を繰り返すシフトについており、その三ヶ月の非番中にサッカードウの選手をしているのだった。
 と言う形式上、登録選手はかなり流動的だ。シーズン頭にいた選手が最終節にいる可能性は殆ど無いし(たまに自己裁量権の高い士官が休みを調整して再登録する事はある)、任務で緊急召集されて直前で抜ける選手もいる。非番の筈だけどね。
 そんなシステム普通に考えれば不公平(他の種族はシーズン開始時の登録選手だけでやりくりする決まりだ)だしややこしくもあるが、そこはノトジアへの恩義とノートリアスの存在意義――サッカードウの選手寿命を兵役ですり減らしてしまう事の補填や軍の士気など――で許されている。
 ガンス族のサッカードウチームはたいていのシーズンでノートリアスより順位が上だ。だが俺達を案内した士官さんがノートリアスの方を応援すると言ったのは、やはり兵士としてのプライドや愛着があるからだろう。 
 最後に俺は
「手加減なんてする余裕はありませんよ。特に何をしてくるか分からないチームに対しては、ね」
と答えて彼と分かれた。
 ノートリアスの士官さんは笑わなかった。何をしてくるか分からない相手と日々、戦っているからだろう。

 城壁を後にした俺達は全員で郊外へ向かった。チームを分けて片方にノートリアスチームやキャンプ地の視察やをして貰う事も考えたが、いま見た選手がアローズとの試合で出てくる保証はないし、宿舎や練習場にだってそれほど選択肢がある訳でもない。なんと言ってもここは軍事基地なのだ。
 そんな訳で全員で歩いて目的地である農場についた。砂漠とはそれなりに距離はあるがまだ砂っぽい大地一面に、地球で言うリンゴのような果物の木が広がり、赤い実をつけている。鳥類果物の専門家であるスワッグ曰く、もう少しで収穫の時を迎えそうだ、とのこと。
 農場の真ん中にある邸宅へ続く登り道へ入ると、青い空と赤い果実の海に飲み込まれたような気分になった。
 互いに励まし合いながら全員で坂を登りきる。何故だか誰もスワッグの背に跨がって楽をしようと言い出さなかった。へとへとになりながらも邸宅の庭の前に着き、門を開ける。庭はなかなかの広さだが、声を張れば中まで届きそうな程度だ。
 訪問予定や来意はずっと以前に伝えてあったが、こんな大人数になるつもりはなかった。静かに暮らす『彼女ら』を驚かせてはいけない。俺は呼吸を整えると農場の住人へ呼びかけた。
「ルーナさーん! きーたーよー!」
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