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第八章
緊急会議その4
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「人手がいるのでたぶん食堂や清掃や事務のスタッフを総動員してやることになると思うんだけど、選手以外のみんなでピッチを囲んでさ。ボールアウトになったらすぐに投げ入れるんだ。スローイン無しで」
「え? でもスローインとかFKとかってどっちのチームのボールとかあるじゃん?」
再び疑問を口にするサオリさん。実に有り難い。
「無いよ。先にボールを確保したもん勝ち」
「そんな無茶な! ダリオ姫、そうでしょ?」
どれだけ疑問を抱こうとサオリさんは選手ではない。で、ダリオさんに聞いてみたようだ。
「……なるほど。スローインやファウルがあって自チームFKの時ですら気を休める暇は無い。そういう形式の試合をして切り換えの早さと激しさ、集中力を高めようという練習なのですね」
だがダリオさんの回答はサオリさんの予想外だったようだ。スタイルを除きほぼダリオさんになりすます事ができたサオリさんだが、元監督で元キャプテンで背番号10番のエースで協会会長で王女をやってるダリオさんのドMっぷりまではトレースできてないようだった。
「そんな無茶な練習……」
サオリさんは呆れた様に首を縮めた。正に地獄のような、死の90分。だからデス90なのだ。
「ああ、確かに無茶だ。選手の疲労度から言って、一ヶ月に一度できるかどうか? だろう」
ザックコーチもやや呆れた声で言う。だが彼とナリンさんとジノリコーチには『デス90』の概念を伝えてはあった。
「地球にはこんな練習をさせる監督もいるよ」
と。そしてザックコーチには特に
「デス90を行える状態になったら教えて欲しい」
とお願いしてあった。
そしてその彼からのGOサインは、既に先日受け取っていたのだ。
「デス90に耐え強さ激しさ集中力を手に入れ、レイとポリンが上手く機能するのであれば……。ワシは引き分けどころか勝ちを狙えると思う」
厳しいコーチであり天才戦術家であり何よりも身内ドワーフチームを知り尽くしているジノリコーチの言葉は、何よりも説得力があった。その場にいる全員の覚悟が決まるのが見える気がする。
「ではやりましょう。アカサオは早速、ドワーフチームの視察へ。カンファレンスで会った時に心理戦をしかけられるかもしれない。監督やコーチ陣の心理分析もお願いします。ナリンさんはセットプレー、ニャイアーさんはボナザさんを集中的に強化して下さい。ザックさんとジノリさんはたった今からデス90に向けての準備を。ダリオさん、『飴と鞭』じゃないですが、デス90の後はちょっとしたご褒美を用意したいので相談を」
「了解!」
俺は機会を逃さず一気に指示を出す。皆が俺の言葉に頷き、何人かは立ち上がり早速部屋を飛び出して行った。
「ところでデス90の開催日は何時頃にするのだ?」
ザックコーチがジノリコーチとスケジュール帳を確認しながら問う。
「あー……。流石に選手のご家族に見せるには酷な風景ですからねえ。保護者会の後、監督カンファレンスの前ですかね」
つまり最長で今から2週間後となる。
「了解だ。せめてもの情け、その頃は身体が軽いように調整していこう」
そう返事するとザック、ジノリ両コーチは作戦室を出る。残ったのはダリオさんだけだ。
「なんとかなりそうですね」
「素敵……」
はい? 見るとダリオさんがまた潤んだ瞳でこちらを見ていた。
「見事な統率です。貴方を選んで良かった」
「いや、素晴らしいコーチに囲まれているだけですよ」
これは本音だ。
「ショウキチ殿、サッカードウの監督以外に、国の運営には興味ありませんか?」
「え? 国の!?」
急にどうした!?
「例えばですけど、私と結婚して王になり、愛の結晶が国を継ぎ……」
おおう!? 酔ってない筈のダリオさんが頬を赤く染めながら、かなりぶっ飛んだ事を言おうとしている!?
「王と言えばですが、これを見て下さい!」
これは不味い! 俺は話をぶった斬る為に懐からある紙を取り出した。
「はい? 婚姻届ですか?」
ちょっとダリオさんまでレイさんみたいなボケを!
「違います、これを出しちゃって良いかですよ!」
「あ!」
その紙を見てダリオさんの気持ちが秒で鎮火していくのが分かった。それは、そのくらい強烈なモノだった。
「え? でもスローインとかFKとかってどっちのチームのボールとかあるじゃん?」
再び疑問を口にするサオリさん。実に有り難い。
「無いよ。先にボールを確保したもん勝ち」
「そんな無茶な! ダリオ姫、そうでしょ?」
どれだけ疑問を抱こうとサオリさんは選手ではない。で、ダリオさんに聞いてみたようだ。
「……なるほど。スローインやファウルがあって自チームFKの時ですら気を休める暇は無い。そういう形式の試合をして切り換えの早さと激しさ、集中力を高めようという練習なのですね」
だがダリオさんの回答はサオリさんの予想外だったようだ。スタイルを除きほぼダリオさんになりすます事ができたサオリさんだが、元監督で元キャプテンで背番号10番のエースで協会会長で王女をやってるダリオさんのドMっぷりまではトレースできてないようだった。
「そんな無茶な練習……」
サオリさんは呆れた様に首を縮めた。正に地獄のような、死の90分。だからデス90なのだ。
「ああ、確かに無茶だ。選手の疲労度から言って、一ヶ月に一度できるかどうか? だろう」
ザックコーチもやや呆れた声で言う。だが彼とナリンさんとジノリコーチには『デス90』の概念を伝えてはあった。
「地球にはこんな練習をさせる監督もいるよ」
と。そしてザックコーチには特に
「デス90を行える状態になったら教えて欲しい」
とお願いしてあった。
そしてその彼からのGOサインは、既に先日受け取っていたのだ。
「デス90に耐え強さ激しさ集中力を手に入れ、レイとポリンが上手く機能するのであれば……。ワシは引き分けどころか勝ちを狙えると思う」
厳しいコーチであり天才戦術家であり何よりも身内ドワーフチームを知り尽くしているジノリコーチの言葉は、何よりも説得力があった。その場にいる全員の覚悟が決まるのが見える気がする。
「ではやりましょう。アカサオは早速、ドワーフチームの視察へ。カンファレンスで会った時に心理戦をしかけられるかもしれない。監督やコーチ陣の心理分析もお願いします。ナリンさんはセットプレー、ニャイアーさんはボナザさんを集中的に強化して下さい。ザックさんとジノリさんはたった今からデス90に向けての準備を。ダリオさん、『飴と鞭』じゃないですが、デス90の後はちょっとしたご褒美を用意したいので相談を」
「了解!」
俺は機会を逃さず一気に指示を出す。皆が俺の言葉に頷き、何人かは立ち上がり早速部屋を飛び出して行った。
「ところでデス90の開催日は何時頃にするのだ?」
ザックコーチがジノリコーチとスケジュール帳を確認しながら問う。
「あー……。流石に選手のご家族に見せるには酷な風景ですからねえ。保護者会の後、監督カンファレンスの前ですかね」
つまり最長で今から2週間後となる。
「了解だ。せめてもの情け、その頃は身体が軽いように調整していこう」
そう返事するとザック、ジノリ両コーチは作戦室を出る。残ったのはダリオさんだけだ。
「なんとかなりそうですね」
「素敵……」
はい? 見るとダリオさんがまた潤んだ瞳でこちらを見ていた。
「見事な統率です。貴方を選んで良かった」
「いや、素晴らしいコーチに囲まれているだけですよ」
これは本音だ。
「ショウキチ殿、サッカードウの監督以外に、国の運営には興味ありませんか?」
「え? 国の!?」
急にどうした!?
「例えばですけど、私と結婚して王になり、愛の結晶が国を継ぎ……」
おおう!? 酔ってない筈のダリオさんが頬を赤く染めながら、かなりぶっ飛んだ事を言おうとしている!?
「王と言えばですが、これを見て下さい!」
これは不味い! 俺は話をぶった斬る為に懐からある紙を取り出した。
「はい? 婚姻届ですか?」
ちょっとダリオさんまでレイさんみたいなボケを!
「違います、これを出しちゃって良いかですよ!」
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