D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第十章

一週間の始まりは謝罪から

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 監督カンファレンスから数日後。作戦室にはアホウのリゾートを堪能しオフ明けの軽い練習を終えた明るい顔の選手達と、渋い顔の俺がいた。
 ドワーフとのプレシーズンマッチは今週末だ。今日はコンディション調整で強度の低い練習だが、明日からは通常のメニューを開始する事になる。
 そんな状況下で実は今日、選手達に良くない報告をする必要がある。コーチ陣に相談した所、正直反対の声もあった。だが俺は監督として責任をとる選択をした。
「ドワーフ戦までの日程はこの通り。相手がドワーフである事を意識し過ぎず、日々の練習に集中するように。学校帰りのポリンとレイも極力、遅れないようにして下さい」
 作戦室のスクリーンに写したスケジュールを説明しながらナリンさんが言う。そう、今日はポリンさんとレイさんもいる。というかここからドワーフ戦までは、なるべく彼女達も漏らさず練習に参加して貰う予定だ。
「では今日の最後に……ショーキチ殿から大事なお知らせです」
 ナリンさんが俺に話を振り、脇に下がった。一つ頷いて俺は中央へ歩み口を開いた。
「みんなの顔を見るに、充実したバカンスを行えたようだね。良かった。俺達も監督カンファレンスで素晴らしい成果を上げた。いずれみんなにも還元できると思う。一方で……」
 報告は悪いものであればあるほど、早くする必要がある。俺は覚悟して言葉を続けた。
「大きな失敗もあった。何人かには話したことがあると思う『センシャ』て儀式の廃止。前々からそれを考えていて会議て訴えたけど、この提案は受け入れて貰えなかった。つまり今シーズンも負けたら水着になって相手チームの馬車を洗って貰う必要がある」
 みんなに頭を下げて続ける。
「力至らず……申し訳ない」
 下を向いた姿勢だからみんなの顔は見えない。だが確実に失望させてしまった筈だ。
「はあ?」
 ほらやっぱり。
「それが『大事なおしらせ』てやつか?」
 ティアさんが呆れた声で言った。
「あ……うん」
「お前バカなの?」
 いやお前じゃなくて監督、な?
「あのね、監督。センシャだってサッカードウ選手の大事な仕事だよ?」 
 ユイノさんが同情するような、諭すような口調で言った。なんか彼女からだと絶妙に自尊心が傷つくな。
「え、でも嫌じゃないの?」
「自慢じゃないけど今まで何百回やってきたっと思うんすかー!」
「本当に自慢じゃないけどね!」
「それな!」
 ヨンさんが言い放ちリーシャさんが突っ込むと作戦室が笑いに包まれた。違う表情なのはきょとんとしたレイさんたちナイトエルフと、ひきつった顔のムルトさんだけだ。
「そうなの……か? あ、でもせめてものお詫びに、身体が冷えなくて露出度も低い布面積の多い色気の無い水着をチームで買おうと思ってまして」
 俺はムルトさんの顔が更にひきつるのを見ながら言う。
「それは要らないんじゃないかな」
「え? なんで?」
 ボソっと呟くルーナさんに問いかける。
「だってリゾートに行ったみんな、だいたい向こうで水着買ったし」
「は? なんで? 向こうも夏じゃないでしょ?」
 確かにアホウ、ビーチでのお祭り騒ぎでも有名な観光名所だがそれは夏だけの話で、普通に冬は寒い筈だが。
「ホテルの屋内型プールでのんびりしたり……。その格好でエステを受けたりしたのだ!」
「すっごく可愛い水着を買ったのにゃん!」
 アイラさんマイラさんが思い出してニコニコしながら告げる。
「そうそう、買ったー!」
「ガニアさんDFの癖に割と攻めてたよね」
「私も。持って帰ったの見たら旦那が……」
 作戦室はたちまち姦しい喧噪に包まれた。その混乱と俺の脳内パニックが収まらない中、すっと一本の腕が上がった。
「はい、しつもーん! ウチらそのセンシャてやつをやったことがないねんけど」
 レイさんだ。そうか、ナイトエルフは地下ではゴルルグ族と限定的にサッカーの方をしてて、そっちではセンシャは無いんだ。
「あ、そうだよね。じゃあナイトエルフさんにはチームが用意する……」
「せっかく初体験するかしれんセンシャやし、盛れる水着きてやりたいやん。買いに行きたいしつき合ってくれん?」
 何を言い出すんですかこの娘は!
「「おおうー!」」
 レイさんのお願いを聞いた選手たちがシットコムコメディ洋ドラで挿入される歓声のような声を漏らした。
「そりゃそうよねー。まさかショーちゃん、未成年に一人で水着を買いに行かせるような無責任なこと、『監督』ならしないわよねー」
 ここまで趨勢を見守っていたシャマーさんが口を開いた。まるで最終ラインで守備をしながらここぞで攻撃参加するリベロのように。
「いやでもそれは俺じゃなくても……」
「か・ん・とく! か・い・もの! つ・き・あえ!」
 俺の反論を制して、ティアさんが節をつけて叫ぶ。その叫びはすぐさま数人にフォローされ、チャントのようになる。
「「か・ん・とく! か・い・もの! つ・き・あえ!」」
 作戦室は防音が効いている為に音はそれほど響かない。だがチャントを繰り返しながら飛び跳ねる選手数名が出るに至って、流石にうるさくなってきた。
「分かった! 行きます、行きますから!」
「ひゅー!」
 根負けした。俺は降参するように両手を上げ、眉間を押さえるナリンさんと一緒に前のドアから退散しようとする。
「あ、ショーちゃん! リゾート行ってない私も水着無いし、一緒に行くから」
「実は公務で忙しかった私もです」
 逃げ出そうとする俺の肩を掴み、シャマーさんが言う。それにダリオさんも追従する。
「わたくしは約束通りですので」
 その横を早足でムルトさんが通り過ぎた。
「あら監督? ムルトとも約束を?」
「いやそっちは違うタイプの約束でして……」
 もう説明する気力もあまり残っていない。そしてとどめがきた。
「ショーキチ兄さん! 買い物デート、楽しみやな!」
 レイさんだ。流石にみんなの手前、抱きつきはしないが肩から俺の胸に体当たりしニヤニヤ笑う。
「う……解散解散! 明日も練習、遅刻しないでね!」
 俺はそれだけ叫ぶと逃げるように前のドアから出た。
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