D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第十一章

与えた傷と自分の傷

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「ヨンさんレイさんお疲れ様。予定通り後半はリーシャさんとポリンさんを入れます」
 俺は更衣室に設置されたボードに二名の名前とフォーメーションを書きながら言った。
「後半も1-4-4-2ですが中盤は台形にしましょう。2TOPがリーシャさんとポリンちゃん。リストさんが中盤に降りて右サイド。ハイボールの逃げ道にもなって下さい。ダリオさんが左で、ボランチはマイラさんとクエンさんの横並びで」
 実は試合前に告げていた通りの交代ではあったが、俺は注意点を思い出して貰う為に敢えて説明を行った。
「ドワーフ代表は少なくとも2点穫らないといけません。多少、強引でも中央を狙ってくるだろうからボランチ二枚はそこを絶対に空けないで。奪ってはサイドを使って追加点を狙いましょう。じゃあキャプテン」 
 俺はまたシャマーさんに場所を譲る為に一歩下がろうとした。だがあの腕章を左腕に付けたキャプテンは素早く腕を俺の右肩にかけると、中央へ連れて行った。
「円陣組も~! コーチもスタッフも!」
 シャマーさんがそう呼びかけると選手達が一斉に立ち上がり、何名かが残った俺の左肩に殺到した。
「え?」
「あら? どうもですわ」
 結局、俺の反対側の肩を得たのは意外にもムルトさんだった。これで俺は両CBに挟まれた訳だが、座っていた位置を考えれば当然とも言える。てかレイさんじゃなかったのか……いやレイさんいない!?
「後半も闘って勝つよ。。怪我しちゃったボナザの分もね。ワン、ツー、スリーの後『ボナザ!』で行こう。いいね? ワン、ツー、スリー……」
「「ボナザ!」」

 シャマーさんが短くカウントし、全員が負傷したGKの名前を叫んで円陣を解いた。選手たちは再びナリンさんに背中を叩かれながらコンコースへ向かう。
「シャマーさん、燃やすの上手いなー。」
 更衣室に残った最後の一人になりながら、俺はボソッと呟いた。シャマーさんは大学アーロンの講師もしているくらいだから知的で冷静なタイプのキャプテンになると思っていたが、案外闘将タイプなのかもしれない。
「ほんまやね。聞いててウチの身体も熱くなったわ」
「へ!?」
 すぐ近くで声がして、慌てて振り返る。するとそこには濡れた髪から滴を垂らし、熱くなった身体をバスタオル一枚だけで隠した、半裸のレイさんの姿があった。

「レイさん何その格好!?」
「何って……。出番も終わったしお先にお風呂頂いただけやけど?」
 いやまあ確かにHTハーフタイムにシャワー浴びる選手もいるけどさ!
「人前に出るのはちゃんと着替えてからにしなさい!」
 俺は急いでレイさんから目を逸らし、もっと大きなタオルやコートやベンチウォーマーを探そうと辺りを見渡す。
「着替えるつもりやで。ここ、更衣室やし。下着とかそこやし」
「ああ、それで……っと!」
 反射的にレイさんの言う方向を見ようとして理性がストップをかけ、首を強引に真下へ向ける。
「ドワーフの技術ってスゴいんやね。魔法も使ってへんのにすぐ暖かいお湯が出たわ」
 レイさんはそう言いながら俺の横を通り、自分のロッカーの前らしい場所へ移動する。
「後半はポリンやんな? はよ着替えて応援したらんと!」
 そんな声に続いて鼻歌が聞こえる。少し視線を上げたら、ナイトエルフの美少女が着替えを行っているのが見えてしまう! 俺は意志の力を総動員して下を向きつつ、何か言って気を紛らわせようとし……
「あれ? レイさん……傷!?」
 彼女の脹ら脛に走る、ミミズ腫れのような真新しい傷に気がついた。
「え? 無いよそんなん! てかショーキチにいさんこっちみんといて! えっちー!」
「いやレイさん!」
 俺は彼女の抗議を無視して前半のMVPの全身を見た。下着はもう身に纏い、タオルでその他の部分を隠そうとしているが、肩や背中の痣や膝付近の擦り傷が何カ所も目に入る。
「もう! すけべ」
「ふざけないでレイさん! この傷は……?」
 俺はレイさんの片腕を掴み、バスタオルをはぎ取った。そこにも青痣が見つかる。
「うわ……」
「今日のDFはまあまあ陰険やったわ。でもエルフvsドワーフ宿敵同士なんて、こんなもんやろ?」
 観念したレイさんは何でもない事のように話す。
「そんなでかい接触とかは無かったよね? それで……これ!?」
「1点目を穫った後はボールの無い所でずっと削ってきよったからね。まあエースの宿命やで」
 レイさんはそう言って肩をすくめる。その拍子に若い胸の膨らみが揺れて、俺は流石に目を逸らす。
「ごめん、なんか……」
 彼女たちがやっているのは肉弾戦を含むスポーツだ。正直、彼女らからすればこれくらいの負傷は負傷の中に含まれないのだろう。
 だが俺にはその心構えが足りてなかった。若い――てエルフはみんな俺より年上なんだけどさ――女性に身体を張って戦わせ、血を流させる事に。
「ウチは……たぶんボナザさんも含めてウチらはこれが好きでやってるねん。謝らんといてよ。それくらいやったら……えい!」
 レイさんは元気よく飛び上がり、濡れた下着姿で俺に抱きついた。
「『前半はよく頑張ったね! 惚れ直したよ!』って言って。ほんで、して?」 
 そして潤んだ瞳で見上げて言った。
「前半はよく頑張ったね! 惚れ惚れしたよ。怪我、ちゃんと治療士の所へ行って治してね」
 そう言うしかない自分の立場と狡さがつくづくイヤになる。だが俺は彼女を抱きしめ心を込めて唇を重ねた。レイさんの身体は少し冷たくなっていた。

第十一章:完
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