D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第十三章

オークのクッキング

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「ようあんちゃん、元気しているか?」
「こんにちは、ショーキチ監督」
 集団の最後に現れたのはサンダー監督とペイトーン選手だった。今回はキックオフセレモニーという訳でもないが二人は今日も一緒だ。前に俺自身も言っている通り、一番上手い選手と監督の関係が上手くいっているチームは強い。オーク代表はその点では全く問題ないようだ。
「どうもです」
 とは言えこの二人からはさっきまでの選手達のような視線を感じない。どうやら監督と人妻ペイトーン選手は俺の子種を狙うメンバーに入っていないようだ。
「こちらこそどうもだ。あんちゃんの姿を見て、悪ガキども選手たちもやる気100倍って感じだ。今日は良い練習ができそうだぜ」
「それは良かったです……ね?」
 なるほど、ご褒美についてただ話で聞くよりも、実際に目で見た方が意欲が沸く……みたいな話か。まあ実物を前にすると意識して固くなって逆効果とかそのご褒美が他ならぬ俺自身だとかいろいろ言いたい事もあったが、背後に更なる一団を目にして俺は別の事を口にした。
「ね? そちらは?」
 サンダー監督とペイトーン選手の後ろにはメイド服を着た様々な外見の女性達がいた。
「おう。このお転婆達がショーキチ監督ご所望のブツだ」
 その言葉を聞いてサンダー監督、言い方! と思いつつマジマジとみてしまう。可愛い系、お姉さん系、地雷系……見た目は色々だが、耳や肉付きの良さに所々オークっぽさを感じる。
「え!? じゃあこの方々が……」
「そう! オーク自慢の美女コック軍団だ!」

 開幕戦で俺たちは賭をした。リーシャさんとペイトーン選手はそれぞれの呼び名について。サンダー監督が勝ったら、オークは俺の子種をゲットする。では俺は?
「でしたらオーク代表のコックを頂くのはどうでしょう?」
 キックオフセレモニーから帰還して作戦室で行った最初のミーティングで、ナリンさんはそう提言した。
「オークのコック!? ナリンさん何を言って……」
「なるほど! それは妙案じゃな!」
「いいね! 僕もそうなると嬉しいよ!」
 ジノリコーチとニャイアーコーチも一斉に同意する。
「いや、それはどうかと……」
 一方のザックコーチはやや顔を赤らめてやや否定的だ。ちなみにあと一人というか二人で一人、アカサオはスカウティングの仕事でここにはいない。
「そうですよ! オークのコックって……」
 コックってアレでしょ? いわゆる一つのその、男性の……の隠語で子種が出てくる……。
「あ、ショーキチ殿はご存じではないのですね! オークは美食家で有名で、代表のコックは全種族を見渡しても指折りの料理の名手なんです」
 ナリンさんは笑顔で凄い事を言う。いやオークって美食家というより誰でも食べちゃう悪食家なんじゃ……って料理の名手?
「腕前もそうじゃが、単純にもう何名かコックが必要じゃろう。最近、食堂も忙しいんじゃろ?」
「そうですよザックコーチ。奥方の為だ、遠慮することは無いさ」
 ジノリコーチとニャイアーコーチがそう言うと、ザックコーチは恥ずかしげに鼻の頭をポリポリと掻いた。
「確かに人員が増えると女房も助かるが、監督の賭でこっちが得をするというのも……」
「あの、皆さんが言ってるコックってオークの身体の一部ではなくて、料理人とかシェフとかですか?」
 俺がそう訊ねると皆は何を当たり前の事を? と言った顔になった。
「何を言っているんだい?」
「むしろ他に何かあるなら教えて欲しいくらいじゃが?」
 いやごめんなさい言えません! でもずっと子種とか異種族交配とかの話題をしてきたから、そっち方面と思うじゃん!
「ラビンさんの料理の腕前や栄養の知識は素晴らしいものです。ですが彼女一人にかかる負荷が多過ぎるのは問題ですし、スタッフにも多様な種族が増えてきたのでメニューにもレパートリーが必要かと」
 焦る俺を後目にナリンさんが冷静な解説を続ける。確かにステフの演出部長の件と同様、一人の責任と負荷を減らすのは現在の大事な課題であるし、スタッフ全体の満足度を上げるのも重要事項だ。
「なるほど。そういう事でしたか。ではそれで決定で。すぐに連絡を入れましょう」
 俺が内心の羞恥を隠してそう宣言すると、ジノリコーチが慌てて口を開いた。
「いや、賛成しておいて何じゃが、あっさり決めて良いのか? お主の賭なんじゃぞ?」
「俺だって食事はとりますし恩恵は受けます。それに『トレーニング・栄養補給・休養』が大事な柱だ、てのは前に言った通りですから」
 これは正直、変な事を考えてた照れ隠しもあるが本音でもある。
「ショーキチ殿は本当に選手、スタッフ思いなんですよ」
「にゃりん……」
 ナリンさんが自分の事のように笑顔でそう言うと、ニャイアーコーチが複雑な顔をした。恥ずかしさを感じている俺と奥さんが絡む事で恐縮するザックコーチを含めて複雑な顔だらけだ。
「そうか! そうと決まれば新メニューが楽しみじゃの!」
 そんな中ではジノリコーチの純粋な顔だけが救いだった……。

「えっと、俺が勝った時に雇わせて貰えるコックさんをわざわざ連れて来て下さったんですか?」
 と言う訳で現在。俺は彼女の言う『オーク自慢の美女コック軍団』とやらを見ながら、サンダー監督に質問していた。
「ああ。あんちゃんだって景品を見た方がやる気出るだろ!? あと好みとかわかんねーからさ! 一度、品定めして貰おうかと思って!」
「品定めって……」
 サンダー監督は現代日本の倫理観ではかなり危険な事をさらっと言う。しかしまあ異世界のオークさんにそんな事を言っても始まらない。
「どうだ? 気に入りそうな子、いるか?」
「みんなほっぺたが落ちそうなご馳走を作ってくれるんですよ」
 サンダー監督とペイトーン選手が楽しそうにコックさん達を紹介する。片親はオークだがもう片方の親がよほど美形揃いなのだろう、正直、気に入りそうな子はたくさんいる。
 いや大事なのは見た目じゃなくて料理の腕だけど!
「調理技術についてはそちらの推薦を信じますよ。後は人柄と言うか、エルフの国で暮らして働くことに抵抗が無い方を選びたいですが……それも勝ってからで。負けたら意味ないですし」
 見た目で選ぶとかそういう事はしたくないし問題だしね!
「あんちゃんは固いな! 出る前に負けること考えるバカがいるかよ!」 
 サンダー監督はイノキさんの名言めいた事を言いながら俺の肩を叩くと、その勢いのまま腕を掴んで引き寄せた。
「(人柄はみんな良いぞ? 尽くすタイプばっか選んだ。料理だけじゃなくて、夜の妙技も凄いぞ?)」
 彼女はそっと俺の耳元で囁いた。
「(はぁ!?)」
「(勝っても負けても、お前の子種はオークが頂く)」
「なっ!?」
 驚いて距離を取って彼女の顔を見ると、サンダー監督は得意げにニッコリと笑った。
「じゃあなあんちゃん! 行くぞペイトーン!」
「はい! ショーキチ監督、リーシャちゃんによろしくです」
 二匹のオークはそう言ってその場を去り、オーク自慢の美女コック軍団が投げキッスやウインクをしながらその後に続く。メディア連中も彼女たちを追って行ったので、その場には呆然とした俺だけが残される事となった。
「サンダー監督……あんたってオークは……」
 彼女は俺が思ってたよりも策士だったようだ。闘う前に既に一本取られた状態で、俺は開幕戦を迎える事となった……。

第十三章:完
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