D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第十七章

ムシ身中のエルフ

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 何度経験しても慣れない魔法によるテレポートを終え、俺達はインセクターの首都「チャプター」へ着いた。
「ようこそ、アローズの皆様」
 出迎えたのはなんと美しいエルフの女性で、着いた場所もまるで空港のカード会員専用ラウンジの様な――入った事がある訳ではない。スポーツドキュメンタリー番組で選手たちが寛いでいるのを見ただけだ――豪華で落ち着ける空間だった。
「久しぶりね、ラメラ。ボクシー女王もご健勝で?」
「お久しぶりですダリオ姫。ありがとうございます、女王はとても健康で姫とシャマーに会いたがっておいでです。あとショウキチ監督様とも。初めまして、案内役を承っておりますラメラと申します」
 例によって外交の初手をダリオさんに任せていた俺であったが、案内役さんの言葉の後半が自分へ向けられている事に気づき、慌てて彼女の手を握った。
「初めまして、ショーキチと申します。宜しくお願いします」
 前もって魔法による通信によって行われた打ち合わせでは女王との面会予定はなかったよな? あ、社交辞令か! と納得しながらも俺は案内役さんに会釈を返す。
 ラメラさんと言ったか……。いわゆる黒髪痩身ではないので、デイエルフではないようだ。初めて会った時のティアさんよりずっと薄い青色の髪に、金色の瞳。光って見えるのはその瞳だけでなく、綺麗に整った顔や肌全体だ。おそらくダリオさんやシャマーさんと同じ、魔法に長けたドーンエルフだろう。
「ではこちらへ」
 俺が失礼にならない程度に観察しつつ手を離すと、彼女はにこやかに微笑み選手達の前へ移動して先導を始めた。
「あの、ナリンさん……」
 俺は列が行き過ぎるのを待って、翻訳のアミュレットを外しつつ最後尾のナリンさんの隣に並ぶ。
「彼女、エルフなんですよね?」
「はい? ええ、そうであります。ドーンエルフの一族でありますよ?」 
 俺が急に日本語で聞いたからかナリンさんはやや驚きつつ応えた
「完全に100%エルフなんですよね?」
「ええ? それはどういう意味でありますか?」
「いや実は冬虫夏草みたいに、エルフにインセクターが寄生して乗っ取って操っているとかじゃ……」
 俺が推測を口にすると、ナリンさんは驚きでその切れ目を大きく見開いた後、ぷっと吹き出した。
「ぷっ、そ、そんな事ないでありますよ! ら、ラメラさんはエルフの両親から産まれた生粋のエルフで、じ、自分の意思でこちらへ移住し自分の意思で女王に仕えているでありま……す!」
 ナリンさんは上品に口元を隠しつつも、しかし笑いは抑えきれない様子で説明を続ける。
「まず、もともと優れた魔術の使い手でもあるボクシー女王とシャマーが昵懇の仲でありまして。その女王に、シャマーが友人のラメラを紹介したとかであります」
 おっと新情報。なんとウチのキャプテン、そんな所にも伝手があったか。しかし言われてみれば確かにさっきも
「女王がダリオ姫とシャマーに会いたがっている」
とか言ってたな。
「なるほど。それでエルフの方がここに住んでて、コーディネーターをしてくれているんですね」
「ええ。望んでされている事なので、心配ないでありますよ! それに……」
 ナリンさんは俺の耳元に口を寄せて言った。
「冬虫夏草は虫が寄生するのではなくて、虫に草が寄生する方でありますよ」
「えっまじ!?」
 驚く俺にナリンさんは手元からメモを取りだし、軽く図解して説明する。
「こんな感じに、虫の体から生えまして……」
「ああ、言われてみればそうか!」
 そもそも名前に虫と草が入っているもんな! しかしナリンさん、よくそんな事まで知っていたな!
「この世界にも似た植物がいるんですか?」
「ええ、たくさんいるでありまして、クラマ殿が『カンポー』と言って愛用されていたであります」
 艦砲!? なんだそれ? クラマさんはガル〇ンおじさんなだけでなく提督でもあったのか!? しかも何か、下半身が元気になりそうだな……。
「苦そうな顔をして良く飲んでいらしたでありますよ」
 そういうナリンさんの目は何か懐かしい風景を思い出しているかのようだ。その際の仕草を見て、それが『漢方薬』の事であると気づく。
「ああ、薬草の類か! そりゃそうだよな、こういう世界だからそういうのがメインで、しかも自然と暮らすエルフなら詳しくて当然……」
 当たり前の結論に達して、俺は変な想像をしていた自分が少し恥ずかしくなった。が同じ恥ずかしいならいっそ色々と考えてみるか!
「でしたら、本当に虫に寄生して……」
 操れるような植物をエルフが知っていれば、それをインセクターになんとか飲ませて……とまで考えて、あまりにも卑怯で倫理的にアウトなので即行で却下する。
「どうされました?」
「いえ、何でもないです!」
 割と何でも有り無法地帯な昔の南米サッカーでは、幾つかの色分けしたボトルに下剤入りの水を入れておき、自分たちはそれ手にしないように注意しながら相手チームに飲ませる、みたいな話も聞くが寄生はやり過ぎだろう。
 そもそも虫さん死んじゃうしね!
「あ、そろそろ街の中心部に到着するであります!」
 ナリンさんがそう言って前方を指した。当然だが俺はインセクターの国は初体験だ。俺はわくわくしながらチームに続いて建物へ入っていった。
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