D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

文字の大きさ
296 / 700
第十七章

各々の扱い

しおりを挟む
「あ、ショーキチ殿ー! 中におられたのですね!」
 インセクターの公開練習が終わり、交代でアローズが入ってきた。引率してきたナリンさんが記者席の俺たちを見つけて大きく手を振る。
「はいー! ザックコーチ、忙しいですがアップとリーシャさんの件、お願いします」
 前半はナリンさんに後半はザックコーチに言いつつ、俺は下まで降りてピッチの脇で草むしりをしているグランドキーパーさんへ近づいた。
「ステフ、VVV作戦の方はどう?」
「ステフ? はてワシはグランドキーパー一筋500年の老婆で、そんなKKE、可愛い賢いエルフとは何の関係もないのじゃが……」
 そう言って振り向いたグランドキーパーさんの顔には、見覚えのあるシャマーさんのマスクが被せてあった。
「はあ。でもそのマスク知ってる気がするんすよ」
「ああ、これがあると花粉や草の切れ端を吸い込まなくて楽なんじゃよ」
「ふーん」
 俺は感心した様に頷きながら、自称老婆の後頭部をチョップした。
「いて! あ、マスクが!」
 その衝撃で長い嘴とゴーグルが地面に落ち、慌てたステフの顔が現れる。
「何すんだよショーキチ!」
「グランドキーパー一筋500年のお婆さんはどうした?」
「あっ!」
 立ち上がって俺に抗議しかけたステフは慌てて腰を曲げ、マスクを被る。
「こんな婆になんとご無体な……」
「ここで遊んでいるという事は、収穫なしか」
「いや、お前もずっと見ていただろ? 女王は来ないし残留粒子も殆どないし、お手上げだ」
 老婆はあっさりとマスクを剥ぎ、ステフに戻って言った。
「まあ今回は諦めるかなあ」
「それよりお前、よくあたしに気付いたな!」
 ステフは曲げていた腰を延ばし、背伸びしながら訊ねる。
「ああ。先に練習していたチームのコーチが、草刈りの人に変装して残って次のチームの練習を盗み見る、て作戦があってさ。怪しい動きをしている奴がいないかチェックしてたんだよ、っと!」
 そのままステフが手を伸ばしてきたので、俺は彼女の腕をひっぱりストレッチを手伝いながら応えた。
「あーきくきくありがと! その代わりと言ってはなんだけどよ! あ、あの蠍の彼女……あー蠍のポーズ!」
 今やステフは片足で立ち、後ろに振り上げたもう片方の足を威嚇する蠍のように擡げながら話していた。
「ケンドール選手だろ? 彼女は駒じゃないな。自分なりの意思と言うか……思考みたいなものを感じる」
 俺は先ほどの前日練習で見たケンドール選手の顔を思い出した。彼女も身体については他のインセクターと大差がなく無理矢理直立二足歩行している蠍といった感じだが、頭部が割と人間的というか肌が赤い事を除けば切れ目の美しい女性だった。
 ちょうど、インセクターの女王の様に。
「もしかしたら女王のフェロモン、全員が嗅ぎ取っているんじゃなくて、蠍の彼女みたいな頭良さそうなのだけが反応している可能性もあるよな?」
 ステフの言い方は相手へのリスペクト敬意を大いに欠いているが、一理あった。ケンドール選手はその姿が他のインセクターとは一線を画するだけでなくボランチ――ポルトガル語で『舵』の意味で、文字通りチームの舵取りをするポジションだ――でもある。女王の指示を彼女が受け取り、それをチームに伝達する形をとっている可能性があるかもしれない。
「そうだな。となるとフェロモンの放出パターンも、拡散式ではなくて一点放射式かもしれない。そうなると検出は更に難しくなる。一方でVVV作戦に頼らず、ケンドール選手の動きで可変システムの動向を読む手段がとれるかもしれない、て事か」
 俺は右手で匂いが漂うイメージを空中に描きながら呟いた。
「そういう訳よ! なんか作戦の存在意義が怪しくなってくるけどな!」 
 ステフは気恥ずかしさを誤魔化すように笑って言った。
「怪しいと言えばこのマスクもだし! てかさ、こんなマスクがあるなら、アタシが鼻に管を刺して液体を流し込む必要ってあ……」
「いや、ありがとうステフ! これはこれで作戦を考え直すよ! じゃあ!」
 ちょっと色々と気付いたかもしれない。俺は礼を言うと、急ぎその場を離れて練習に合流する事にした。
「おおい、ショーキチ! 話はまだ途中だぞ!」
 そんなステフの声は、残念ながら俺の耳には届かなかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...