D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

文字の大きさ
308 / 700
第十七章

エルフの準備とインセクターの用意

しおりを挟む
「前半、苦しい展開だけどよく同点に追いついてくれた。特にティアさんとユイノさん、ミスがあってもそれを引きずらず奮闘してくれたね。皆も彼女たちを見習って、リバウンドメンタリティで!」
 着替えが終わって入った所でまず俺は前半を総括した。
「ミス? なんだっけ?」
「そんなのあったかなー」
 ティアさんとユイノさんは頭上にはてなマークを浮かべてそう応える。前言撤回、彼女たちの真似は無理です。
「はい、それはそれで! 相手は表情に出ないし何をしてくるか分からないけど、こちらがやる事は変わらないから。冷静にフォローし合える距離を考えて、熱い気持ちでボールに全てをぶつけて! 技術もサッカードウに賭けるパッションも絶対に君たちの方が上だから! やれるね?」
「「はい!」」
 呼びかけに、選手達は熱い声で応えた。別に闘争心が全てではないが、インセクターの様にまったく感情が読めない相手と試合をしているとどうにも調子が出にくい場合がある。俺は戦術よりハートに訴えかけるスピーチをして、キャプテンに場を譲った。
「えー前半、私もミスしたけどショーちゃん庇ってくれませんでしたー」
「なっ!?」
 円陣を組んで早々に、シャマーさんが恨みがましそうに言った。恐らく失点シーンの事だろう。
「あ、本当なのだ!」
「冷たい男だにゃん!」
 アイラさんマイラさんもそれに追従する。
「いや、アレはユイノさんとまとめて言ったつもりというか……」
「キャプテン、寂しくて泣きそうですー」
 嘘付けそんなエルフか! と思ったが言及しなかったのは事実だ。
「それはその、ごめ……」
「私はこの寂しさをプレーでインセクターへぶつけます! みんなも、自分の中の気持ちを、どんな種類のモノでも良いから沸き立たせて出そう! 3、2、1、『気持ち』で行くよ? 3、2、1……」
「「気持ち!」」
 俺が謝る間も無くシャマーさんが言葉を続け、俺以外の全員が声を合わせた。
「ベンチも声を出すので! あとインセクターのシステム変更に併せて指示を出すのでベンチの声も聞いて!」
 ナリンさんがそう声を張り上げつつ、出て行く選手の背中をバンバンと叩いて送る。
「あーシャマーさん……。あの、その……」
「大丈夫! ただの冗談じゃよ」
 ジノリコーチは一時、ロッカールームへ持ち帰っていた台の上から降りながら呟く。
「だと良いのですが」
 俺はため息を吐きながら呟く。女性の集団を率いる上で『公平感』というのは非常に重要で、今の『庇う』だけではなく『注意する』というのですら配分を考えないと、
「あの子ばかり指導されてズルい不公平
という声が上がったりするくらいなのだ。
 その辺り、十分に気を使っていた筈なんだけどなあ。相手がシャマーさんだと、つい抜けてしまうな……。
「それよりもそいつ、頼むぞ?」
 ジノリコーチは台を指さし部屋を出て行く。
「え? また俺!?」
 と周りを見渡すも、中にはもう俺しかいない。
「ってグズグズしている時間は無かった!」
 ベンチへ戻ってする仕事もあるし、いつまでもエルフのいない更衣室に残っていると何を言われたものか知ったもんじゃない!
「これもうちょっと軽いのに交換できないかな」
 俺はジノリコーチ乗り台、通称ジノリ台――いま名付けた――を抱えながらコンコースへ向かって行った……。

「来たか……」
 後半開始早々、インセクターはフォーメーションを変えてきた。スタートの1433から3TOPの両WGが中盤に降りIHと並ぶ14141の形だ。
「来ました。堅そうでありますね……」
 ナリンさんが同意して呟く。一般的にサッカーである横幅を守るには4人必要とされており、その人数が揃ったラインが2本。そしてその隙間を埋めるボランチと最前線に残るFWがそれぞれ1名。攻撃面では苦しいが、ゾーンDFにおいては最も守備が安定すると考えられているシステムで正直、俺たちも練習している並び方だ。
 だがそれを、先に相手に披露されるとは思ってもみなかった。
『まだ同点の状態でアレをしてくるとはのう! ま、それだけワシらのオーバーロードを恐れているということじゃな!』
 ジノリコーチは何やら嬉しげに話しながら作戦ボードをあれこれと動かしている。
「ジノリコーチはインセクターの弱気の現れ、と推測されているでありますが」
 ナリンさんはジノリコーチの言葉を伝えてくれたが、完全に同意しているという訳ではなさそうだった。
「弱気は別にして、中盤の数を同数にして数的不利を解消して、かつエリアを効率的にカバーして守備の安定を図る、というのは理に適っています」
 そう返答しつつ、俺自身もやや腑に落ちない感覚を覚えていた。インセクターの有利な点はメンタルに左右されない所、意思伝達が完璧で試合中でも柔軟に立ち位置を変更しシステムの噛み合わせで優位に立つ所である。
 だが今回は精神的に受け身な変更であるし、しかも後半開始からという極めて分かり易いタイミングでの変化だ。全く彼女等らしくない。
『決めにかかるなら、これでどうじゃ!』
 ジノリコーチは遂に手を止めて作戦ボードを俺たちに見せた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...