D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第二十章

ゴブリン代表流観戦

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「ゴブリンチームか……。監督、どうする? 始めて良いか?」
 彼女らを見上げて動きを止めてしまったのは俺だけではなかった。ザックコーチもウォーミングアップの準備を止め、俺の横まで走ってきて確認を口にする。
「ええ、始めてしまってください。冒頭30分程度は公開する約束ですし、その公開相手は記者や監督に限る、選手はダメだ、て決まりもありませんし」
 問題は観られている選手達だが、彼女らもそんなに柔な精神豆腐メンタルではないだろう。実際に試合が始まってしまえば、このフィフティフィフティスタジアム――ドワーフのミスラル・ボウルやインセクターのストーンフォレストとはまた違った圧迫感がある――を埋め尽くした観客から注目や罵声を浴びるのだ。ゴブリンチーム程度の視線がなんだと言うのだ。
「よーし、いつも通りいくぞ!」
「「はい!」」
 俺の指示を聞いたサックコーチが吠え、選手が応えた。彼女たちも気合い十分だ。さあ、ヤジでも冷やかしでもどんと来い!

「おお、すげエ!」
「上手いなア!
「いまの見たカ?」
 数分後。上から飛んできたのは、まるで一般客のような素直な感想だった。ピッチではアップを終えたアローズがサッカーバレーをやっている。これもまた精神的なアイスブレイクと身体を解す為のもので、言ってみれば準備体操の延長みたいなものだが、一応ボールは扱っている。
「トラップが柔らかいナ!」
「くるっとやった、くるっとやったゾ!」
 だがゴブリン代表の選手たちは、その程度の風景やテクニックで大騒ぎしていた。確かにエルフはボールテクニックではリーグ上位の方で、小鬼ゴブリンたちはそうではないが。
 しかしまあ……そこまで騒ぐほどのモンかね?
「ダリオ選手のサイン、貰えないかナ……」
 それはもう選手じゃなくてファンなのよ!?
「落ち着きナ! 明日はアイツラをぶちのめすんだゾ?」
 ミーハー感満々で騒ぐ小鬼女子の中、独り静かに見ていた長身のゴブリンが周囲を一喝した。
「それにサッカードウはダンスじゃなイ! どんな形でもゴールを奪えば良いんダ!」
 カーリー選手だ。ゴブリン代表異色のリベロ、歴代最高のDF。彼女がいるからこそ代表は久方ぶりの1部昇格を成し得た。
「そして、最後に相手より1点でも多く取ったチームが勝ツ!」
 ただそのメンタルは間違いなくゴブリンサッカードウ選手のそれだ。普通、DFやGKの選手は
「自分たちが無失点で終われば、少なくとも負けはない」
と言った言い回しを――サッカー雑誌とかを読んだ俺調べ――する。
 しかしカーリー選手はキッパリと
「相手より1点でも多く取る」
と宣言した。それがゴブリンサッカードウのDNAなのだろう。
「(やだ、カッコイイ……)」
 俺はその風景を見ながら思わず心の中で賞賛してしまった。始めて映像で見た時から思っていたが、彼女はまあまあのイケメンゴブリンだ。ゴブリンと言えば小柄で性格の悪さが表情に出た顔、というイメージがあるだけに、背が高く落ち着き払った雰囲気で知性も感じさせる瞳をしているというだけでかなりの美人に見える。
 その上、今の彼女はスタンドに腰掛けながら次の対戦チームを視察しつつ、キャプテンらしくチームメイトに檄を飛ばした。
「チームのジャージを着て高い所から相手チームを見下ろし、エースとかキャプテンっぽくなんか良い感じの事を言う」
というのは俺が学生時代にやっておきたかった事のベスト5に入るのだ。
「ショーキチ、そろそろだろ?」
 屋上で弁当を食べる、と文化祭でバンドをする、どちらが4位でどちらが5位かを考えていた俺にステフが話しかけてきた。練習を公開する時間は終わったので、アローズ関係者以外を退場させようという意味だ。
「あ、もうそんな時間か。じゃあ行こうか」
 基本的には追い出す際の声かけも残ったヤツがいないかの巡回もスタジアムの警備員さんがやってくれる事である。しかしアウェイの地において現地の従業員さん――例えそれがガンス族やインセクターの様な真面目な種族であっても――を完全に信頼する事はできないし、魔法を使われでもしたら暴き難い。
 なので、練習中にあまりする事がない俺とステフが警備員さんに協力する、という名目で従事するのだ。
「すみません、そろそろ公開時間終了なので退場願えますか?」
 なんとなく流れで俺がゴブリン代表の選手達の方へ行き、工事現場で交通を誘導する人の様に出口の方へ腕を振りながら言った。
「お、オウ!」
「アタシらも戻って準備だナ!」
 鉱山に住む妖精たちは以外と素直に従って席を立つ。何の絡みも無いという事は、俺はアローズの監督ではなく警備員の一人くらいに思われているのかな? ちょっと寂しいなあ。
「あ、お前ハ!?」
 しかし、ただ1名だけが足を止め俺の顔を見て驚きの声を上げた。
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