D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第二十一章

気になる木

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 あの気分悪いエルフに言われるまでもなく、俺は思い知っていた。ルーク聖林しょうりんの中――面会が始まる前より夜が深まり、暗さが増していた――を進むバートさんは、さっきから一度も振り返らず口もきかず前を歩くようになっている。
 やべ、みっともなく言い争ったので軽蔑されたかな……。まあ当然の結果とも言えるが。
「ショーキチさん、逃げないの?」
 しかし、何度か大きな木を回ったところでバートさんが遂に口を開いた。
「え? 俺が?」
「他に誰がいるのよ?」
「無理ですよ! 逃げるには走ったり飛び降りたりしなきゃいけないじゃないですか! 俺、こんな高い所の橋の上なんて、早歩きだってできませんからね!」
 俺がそう言うと何かが彼女のツボに入ったらしく、その長身を二つに折ってケラケラと笑い出した。
「橋の上で早歩きだって!」
「何がおかしいんですか! それに……もしこの状況で逃げちゃったら、バートさんの責任になるでしょ? アイツなら兎も角、そんな形でバートさんに迷惑をかけたくないですよ」
 本当ならこんな恩に着せるような言い方はしたくない。しかし笑われた事で少し、気分を害した俺はいつもの慎みを忘れて言ってしまった。
 って自分で『いつもの慎み』とか言うな!
「ははは……。やっぱりそうか。ショーキチさん、貴方はそういうタイプだよね」
「どういうタイプですか」
「だって最初の部屋から連れ出される時も『イヤだ! 説明があるまでここを一歩も動かないぞ!』みたいな抵抗はしなかったじゃない?」
 あーなるほど。あまり脱出の意欲がない囚人って言いたいんだな? その点については同意だ。無いのは意欲だけじゃなくて能力も、だけれど。
「あんな風に鮮やかに拉致されて遠い所に運ばれて、今さら『ここを動かない!』て叫んでも馬鹿みたいじゃないですか? 時間稼ぎにはなるかもしれないけど、それは何かの当てがある時にするもんですし」
 俺は正直な気持ちを口にした。するとバートさんは笑顔から急に真顔になって何か考え込んでいた。
「時間稼ぎかー。うん、そうだよね」
「え? 何がですか?」
 俺の質問に返答は無かった。代わりにバートさんはニコッと笑って俺の手を引き再び歩き出し、前を向いたまま宣言する。
「よし! じゃあちょっと早歩きして貰おー!」
「え!? 聞いてました? 早歩きすら無理だって……」
「ふふ、ここでじゃないよ! 絶情木でだよ!」

 絶情木。ジャバさんの口からその単語を聞いた時から少し不吉なモノを感じていたが、実際に目にした『ソレ』はむしろ暖かみを感じさせる、ただの大きな木だった。つまりこのルーク聖林のそこらじゅうにある、みたいなの。
「これが例のですか。ずいぶん想像と違いますね」
「そう、絶情木。どんな想像してたの?」
 え? 聞きたいの!? いやしかし俺の想像を細部に渡って口にするとセクハラになりかねないので、ややかいつまんで説明する事にする。
「『情』が『絶えた』木、ですよね? 何かこう三角木馬みたいな、情けも容赦もない拷問SM道具の類かと……」
「『三角木馬』って?」
 やっぱりそこ木になる、もとい気になりますよね!
「木をですね、三角に削ってその頂点を鋭角にしてですね……ん、だかで跨がらせて鼠径部を責めるというかですね」
「だかで、って何? 鼠径部?」
「あれ? 翻訳アミュレットの誤作動かな?」
 俺はとぼけるように首飾りを軽く何度か引っ張った。今さらだがこんな魔法の道具を取り上げないままでいてくれたのは僥倖だな。
「言葉で説明できないなら、指さしてくれても良いよ? はい」
 バートさんはそう言うと両手を腰のくびれの部分に当ててグイッと前に突き出した。
「無理無理!」
「えーっ? 裸でエッチな部分を責める道具の事を考えてたの!? ショーキチさん、やーらしー!」
 俺が顔を赤くして目を逸らすと、バートさんは大げさにはやし立てた。ってちょっと待て!
「いやバートさん聞こえてたでしょ! 分かってたでしょ!?」
「まいったなー。そんなやらしーショーキチさんと一緒に入るの、心配になってきたなー」
 一緒に入るって何処にだ!? SM倶楽部か!? そう言えば難○秘密倶楽部の会員証って本屋さんの会員証に擬態してて、電話番号は前後逆に書いてあるんだよ? 知ってた? 今は知らんけど。
 いやそんな事を思い出している場合じゃない!
「どうせ俺の寝てた部屋や老公会と会った所みたいに、木の中に部屋があるだけでしょ? 早く入りましょうよ!」
「……うん。そうだね」
 と、今度は急にシリアスな顔になってバートさんが頷いた。笑ったり真剣になったり表情が変わるのは年頃の女の子だからか。いや俺の推測が正しければ女の子という年齢じゃない筈だけど。
「じゃあ、こっちへ」
 バートさんはそう言うと絶情木に近づき、いつからか傍らにいたエルフの女性――木に寄り添うように、守るように立っている。彼女もツリーメイトという奴なんだろうか?――に頷きかける。それを受けそのエルフが樹皮に触れた。すると触れた部分が静かに割れ、暖かい光がその隙間から差し込んできた……。
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