D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第二十三章

倉庫でこそこそ

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 俺とぶつかってきた何かはそこそこの勢いで倉庫のマットの上に倒れ込んだ。
「なっ……レイさ……レイ君とやらか!? 大丈夫か、怪我はないかい!?」
 建屋の中は薄暗く物も生物も様子がはっきりと分からない。しかしぶつかって来たのがレイさんで、彼女が俺の上に跨がっているのは匂いや感触で分かった。
「こんな時も自分じゃなくてこっちの心配? でもまあ、ありがとう。大丈夫やで。そやけどどしたん、エルフやのに見えへんの?」
 この状況を笑うような声が頭上でした。そうだ、俺は今エルフに変装中でエルフならこの程度の暗闇、昼間も同然だった。
「いや、見えているよお! だがその、見えない角度がだねえ……」
「それもそうやね。ほな触って確かめてみる?」
 そう言うとレイさんは俺の左手を取り、自分のシャツの下へ引っ張っていった。
「なっ!?」
 どうやら下のボタンも外しているらしい。俺の手は何の障害もなく彼女のお腹付近の肌に触れる。
「どない?」
「いや、その、君、こんな事をしてはいけないよ!」
「なんで?」
「君はその、将来もある子供で……」
 言いながらも俺はパニック状態だった。理由は二つある。一つは、レイさんが学校でこういう事の常習者だとしたら大変だからだ。未成年らしいおつき合いや恋は大いに結構、しかしただれた不適切な関係を結んだり年上を誑し込んだりしていればいずれ大きな傷を負うだろうし、勉学にも差し障る。彼女には後悔や黒歴史のない、楽しい学生生活を送って欲しい。
 もう一つには、彼女が親御さんから預かった大切なお子さんであるからだ。アローズのスカラーシップなら健全に育ててくれるだろう、任せても大丈夫だ、と思われたから託された……のだと思う。なのに不良にしてしまったら、彼ら彼女らの信頼を裏切る事になる。
「ほな、もう子供じゃなくしちゃう?」
「いやそういう意味では!」
 レイさんはそう問いかけながら俺の手を更に上へ誘う。エルフも人間と同じで腹の上には一番下の肋骨、いわゆる季肋部がありその上には下から二番目の肋骨、三番目の肋骨と続きその上には……
「あ、胸を触るには下着が邪魔やね。先に外そ」
「いや外さないで!」
 無慈悲にレイさんが呟き、俺は慌てて制止の声を上げた。肋骨で時間を稼いでも事実は覆らない。腹の上は胸だ。今でも十分だが日々まだまだ成長中らしいレイさんの胸が存在している。
「外さへんほうがええの?」
「うん!」
「そっか! ショーキチにいさんはつけたままのほうが興奮するタイプやったんや」
「違います! ……って、ん!?」
「あっ」
 そこでレイさんは失言に気付いて動きを止めた。
「『ショーキチにいさん』って、変装に気付いてた!?」
「あ、しもたな。うん」
 彼女の返答を聞き、俺は思わず脱力して床に……倒れてたわ。最初から寝てたわ。
「え、何で? いつから?」
「ボーンさんとリバーさんの息子のスワ夫。つまり『骨川ス○夫』やろ? ウチの漫画喫茶にもあったしなあ」
 気を取り直して質問する俺にレイさんはすぐ答える。そうだった。彼女の実家は大洞穴、まれに地球の物が漂流してくるナイトエルフの生息地にある漫画喫茶だった。そりゃドラ○もんの知識があってもおかしくない。
「他にも『サッカー代表チーム』言うたけど気にしてへんかったし、運動器具の話に異様に喰いついたし」
 そうだね。この世界の種族は基本『サッカードウ』だし、そこまで体育教育に興味ないもんね。
「それにな。おんなが惚れたおとこの声、忘れる訳ないやん」
 レイさんは甘い声でそう言うと、優しく俺の唇に唇を重ねた。
「むー! ちょっと待って! あんなに声を作ったのにバレてたの!? しかもほぼ最初の最初から!?」
 俺は慌てて彼女を引き離し、問う。
「うん。だって世界で一番、甘い音やもん」
 いや知らんし。
「えーじゃあ殆ど意味なかったじゃん……」
 俺は再び力を失い床に……倒れたままだった。
「そやで? てかこっちも質問させてや。なんで意味のない変装までして学校視察へ来たん?」
 こういう時の子供はトコトン無邪気で無慈悲だ。だが俺にはその情け容赦ない質問に怒る気力も無かった。
「いや、その、レイさんが真面目に勉強しているか……不良になっていないか心配で」
 ここまで無様を晒してしまったらもう隠しても無意味だろう。俺は諦めて真相を告げた。
「え? ウチが心配やったん? 男子と悪さしてへんか嫉妬してくれたん!?」
 その答えは今まで彼女の口から聞いたことがないような、嬉しそうな声だった。
「嫉妬という訳ではないけど」
「ウチがショーキチにいさん以外とこんなことする訳ないやん! あと勉強の方も……『炎よ』」
 言葉の最後でレイさんが何か呟くと、暗闇にぱっと色とりどりの鬼火の様なモノがいくつも浮かび上がり倉庫内を照らした。
「おお!」
 その眩しさに目を細めながらも俺は驚きの声を漏らす。
「魔法とかもちょっとづつ覚えてるで」
「すげえ!」
 その火を見ながらふと、俺もこの学院へ通ったら魔法を覚えられたのではないかと考える。ほら、異世界転移者は実は魔力がカントナエリック、いやカンストしているみたいな設定あるあるだし。
「素晴らしい成果です! レイさんって、いままで魔術の勉強は一切していない所からでしたっけ……」
 そう質問しながらレイさんの方を見上げて、俺はとんでもない事に気付く。彼女はいまなお俺の上に跨がったままで、制服のシャツは僅か二つのボタンだけで止められ胸の谷間とお腹が露出しており、スカートも太股のはるか上まで上がっている。そしてそんな艶やかな姿を魔法の炎が照らし、官能的に演出している。
「そやけど? あー」
 察しの良いレイさんは中途半端だった問いに答えつつ、俺の態度にも気付いてしまった。俺が顔を赤らめ、目を背けていることにも。
「どないしたん、ショーキチにいさん?」
 レイさんはそう言ってニッコリ笑った。その表情はまさに学園カーストトップ、捕食者の頂点プレデターの顔だった。
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