D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

文字の大きさ
406 / 700
第二十三章

蛇の穴の入り口

しおりを挟む
 結局、ギリギリまで貯まっていた雑務を処理しグレートワームへ移動するのは試合前日の朝となった。
「ほな、きいつけてな。これ、暇な時にいただいてー」
 王城のテレポート発着場でお土産が入ったらしい袋を手渡しながら、レイさんがそう言う。
「ありがとう、レイさん。ダリオさんもお達者で」
 魔法陣にはエルフサッカードウ協会会長として見送りに来たダリオさん、そしてレイさんもいた。姫様は公務で遠征に参加できないのでせめて会長としての激励を、レイさんは俺を心配して無理矢理でも付いてくると主張したのを宥めて、ならばせめてテレポート直前まで壮行を、という流れからである。
「ええ。ショウキチ殿もご安全に。シャマー、手抜かりはないように」
「大丈夫だよー。お土産は勝ち点3で良いよね?」
 ダリオさんに念を押されたシャマーさんはアウェイへ向かうサポーター同士の挨拶の様な言葉を返した。
「じゃあ、そろそろ」
 見送るのは2名、見送られるのも俺とシャマーさんの2名だけだ。直前になったので代表チームのスタッフ――外交官特権に近い恩恵を得られるがその申請は非常に面倒くさい――としてではなく、一般旅行客として俺たちだけで向かう。
「はーい! じゃあ詠唱始めるから下がってー」
 シャマーさんがそう宣言し、王家の正式な姫であるダリオさんと高校ではオタサーオタクサークルの姫みたいになっているレイさん、二名の姫が後ろへ下がった。
 魔法陣が光を発し、俺たちを包み始める。
「そちらもがんばって下さいね!」
「ショー……チにいさん……たら感想……てなー!」
 呪文が完成する直前、レイさんが何か叫んだ。その言葉を明確に認識できないまま、俺の周囲は真っ白に染まった。


「はい、到着ー」
 いつもと同じような感覚といつもと同じシャマーさんの声がして、瞬間移動の魔法は今回も無事に終了した。
「はあ~~。これ慣れる事あるんですかね?」
 俺はテレポートの度に感じる恐怖を訴えながら恐る恐る目を開け、まずは自分の全身を見渡す。手足は増えても減ってもいないし、体毛や羽根や触手が増えてもいない。そーっと股間の様子も伺うが、性別が反転TSしたりもしていないようだ。
「ショーちゃんは恐がりね。私は頻繁に飛んだり、アレしたりしてるけど事故なんて殆どないよー」
 シャマーさんはそう言いながら近寄り、俺の視線を追って股間を凝視する。
「アレって何ですか? てか見ないで下さい!」
「えーだって瞬間移動による勃起症状とかあれば知りたいしー」
「ありませんし女の子が勃起とか言うんじゃありません!」
 俺がそう叫ぶと同時に、部屋の両開きのドアが自動で開いた。今更ではあるが、瞬間移動した先の部屋は魔法陣以外何もない白い壁のドームだ。
「ぼっ……何を言っているのですか!?」
 そこに現れたのは警官の様な制服を来た、二足歩行する両手両足のある人間大の蛇だった。
「い、いえ! 何でもないです! アナタは?」
「入国管理官のブレーナです。貴方たちは本日ゼロハチマルマル到着予定のショーキチ様とシャマー様ご夫妻ですね?」
「えっ? 違います!」
「そーでーす!」
 シャマーさんがそう言いながら俺と腕を組み応えると、ブレーナさんとやらはアイシャドウが引かれた目を大きくパチクリと見開いた。
 驚いた事にその蛇、ゴルルグ族のブレーナさんは女性の税関員的存在の様だ。そしてあまり驚かない事に、シャマーさんは俺たちを夫婦として登録していた様だった。
「どちらなんです?」
「ちょっと待って下さい」
 俺はブレーナさんに詫びを入れて少し後ろに下がると、シャマーさんに囁いた。
「(シャマーさんまた勝手なことを……)」
「(ごめーん! でもその方が審査とか早いのよー)」
 本当だろうか? と疑いの目でシャマーさんの顔を見るも、彼女のニコニコとした笑顔は微塵も崩れなかった。ここであれこれ言うのも時間の無駄だな。
「すみません、夫婦です」
「分かりました。ではこちらへ」
 ゴルルグ族の女性は舌打ちし――たように聞こえたが、恐らく実際は蛇としての舌の構造からからそう聞こえただけと思いたい――ながらそう言い、先に立って歩き出した。
「ショーちゃん、入国審査が始まるまでに蛇を抑えてね?」
 ドームと同じく真っ白で味気ない廊下を進みながらシャマーさんが囁いてきた。
「蛇をおさ……なんですか?」
 蛇を押さえる? ゴルルグ族を制圧して強行突破するのか? 俺が訊ね返すと、キャプテンはまた例の部分を指さして言う。
「装置で身体の隅々まで調べられるからさー。小さくしておかないと、凶器と見做されて没収されちゃうかもよー?」
 蛇って股間の事かい!
「そんなに危なくないしそもそもおっきくなってません!」
 テレポートの度におっきくなってたらこの商売大変やないかい!
「ご静粛に!」
 騒ぎを聞いた文字通り蛇の囁きのような声でブレーナさんが俺たちを咎めた。
「すみません……」
「分かれば宜しい。で、ご夫婦ということでしたら、どうぞこちらへ」
 税関職員さんは幾つか並んだドアの一つを開き、中へ俺たちを誘導した。そしてその中の風景を見て、俺は大いに驚かされる事となる。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...