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第二十三章
選手としての大きさ
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「(ひっ、姫様大胆過ぎます!)」
「ええと、たぶんこうしたら……」
ひっ、という言葉だけ漏らした結果しゃっくりの様な息を吐いた俺に気づかずダリオさんは身体を斜めに倒して揺らす。その動作で重力に引かれたブラジャーの留め具がぶらり、と俺の前に現れた。
「つ、掴みました!」
俺は気を取り直しそれを必死にキャッチする。まさかお尻と下着に見とれて掴み損ねたりしたら自分で自分を許せない!
「ナイスです! テクニシャンですね!」
いや姫様、褒めるのは良い事ですけど状況と言葉!
「ただテクニシャンのショウキチさんでも次は難しいかもです」
ダリオさんは語弊のある言い方を継続しながら今度は反対に傾ける。
「あー、確かに」
彼女の言う事には一理ある。いやテクニシャンじゃなくてね? 留め具にはオスとメスがあって先に俺が掴んだのはオス側だ。いわゆるフック状になっている方で、重みも開放面もあるので揺らし易い。
一方、残ったメス側はドーム状に閉じていて重さもない。何かに引っかかったらなかなか外れないし、軽いので降っても降りてこない。
「ん! んんっ!」
ダリオさんは色っぽい呻き声を上げながら腰をくねらせる。その背中には下着の跡があって、短時間ではあるが締め付けはキツかったようだ。面会室で盗み聞きした内容ではないが、現段階ではまだダリオさんのお胸の方がレイさんよりボリュームがあるらしい。
実際、サッカードウにおいても現状ゲームメイカーとして上なのはレイさんではなくダリオさんの方だ。確かにその繊細なボールタッチ、瞬間的なスピード、アイデアにおいては既にレイさんはアローズ屈指の選手であり、将来的にはサッカードウ史上最高の選手になる可能性もある。
だがゲームやチーム状況を俯瞰で見る能力、DFを背負った時のプレイ、守備での貢献などではダリオさんが遙かに上だ。肉体的にも精神的にも、姫様の方が大人だというのもある。
故に監督がチームの屋台骨として超愛、もとい寵愛、いや重用か? できるのはダリオさんという事になる。選手としてのタイプの違いもあるが、まだしばらくは彼女を頼る事になるだろう。
「あの、ショウキチさん? 上下で色が違うのは上がレイさんのだからで、普段はちゃんと揃っているのですが……」
「はい! あ、いえ、それで悩んでいたのではなくて!」
お察しの通りサッカードウの事を考えて現実逃避していた俺ではあるが、ダリオさんは別の理由だと誤解して声をかけてきた。
「信じて頂けないのでしたら後でお見せしますね」
「結構です!」
「結構、攻めているのは手早く着替える可能性があったからで、普段はもう少し……」
「ちょっと手を入れます!」
駄目だ。これ以上話すと聞いてはいけない事を耳に入れる可能性がある。俺はダリオさんに断りを入れ、服と肌の間に左手を差し込んだ。
「あん! いやん!」
「ダリオさん変な声を出さないで下さい!」
「だってショウキチさんの手がくすぐったくて……」
そう、俺の手は必死に残りの留め具を探していた。ダリオさんの肌は少し汗ばんでしっとりしており、言葉とは裏腹に俺の指を歓待するように張り付いてきた。
それは先日触れたレイさんのお腹とは違った感触だ。あちらは若さと張り、こちらは潤いと滑らかさ、それは彼女らのプレイスタイルの違いでもあり……ってもう一度、サッカードウの事で気を逸らすのは無理か。
「うぅん……くぅっ……」
ダリオさんの声も色っぽい響きが増えており、俺に気を逸らせるつもりはさらさら無いらしかった。
「あの、お客様? もう到着しましたが……玄関前を何周かしていましょうか?」
「はぁい……お願い……します……」
乗用蛇さんの声が聞こえると、俺が口を開くより先にダリオさんが熱い吐息で応えた。もう着いてしまったか。だがもちろん、こんな状況では降りられないもんな!
「車回しみたいなモノがあるんすかね」
だが俺はその流れでやや冷静になって呟いた。いわゆるホテルの玄関にあるようなスペースだろう。カーテンで見えないから分からないが。
丸い、ロータリー交差点の様な所をぐるぐる回る大きな蛇……。ウロボロス――自分で自分の尻尾にかじりつき輪のようになっているシンボル――が脳内に浮かんだ。
「えっ? ええ……うんっ」
ダリオさんはややうわずった声で返答した。引き続き左腕で胸を抑え右手を下について身体を支え、やや俯き加減でくすぐったさに耐えている。どうやらかなり限界の様だ。早く終わらせないと!
「あ、掴みました! じゃあこれで、と」
幸い、遂に俺の左手がもう一つの留め具を発見し、無事二つを繋ぎ合わせた。勢いでドレスの後ろも閉め、合図にダリオさんの肩を軽く叩く。
「きゃあ!」
「はい!?」
俺が肩を叩いた瞬間、ダリオさんは声を上げビクン! と身体を跳ね上げた。俺、そんなに強く叩いてないよな!?
「どうしました?」
「いえ、大丈夫です……」
ダリオさんは少しの間、荒い息を吐いていたがすぐに呼吸を整え、鞄がらハンカチを取り出して汗を拭いた。
「空気を入れますね」
くすぐられて暑くなっていたのだろう。俺は彼女に断ってカーテンを開けた。途端に風が吹き込み、いつの間にか中に充満していた熱い空気を吹き飛ばす。
「あ、涼し……でか!」
まず肌に触れた清涼な空気に驚き、ついで目に入った宿舎の大きさに驚愕する。本当に地球にあるホテルのような宿舎は純粋に建物もだが入り口もデカい。トロールやミノタウロスも宿泊するんだから当然と言えば当然か。
「ありがとうございます。ショウキチさん、行きましょう」
俺がザ・ウォーマー・ワンに見とれている間にダリオさんが普段の様子を取り戻し、乗用蛇さんと俺に声をかけた。ふう、なんとかなったな。
「ご利用、ありがとうございました~」
最後まで気のよい巨大な蛇が玄関で俺とダリオさんを降ろし、頭を下げて去っていく。その姿を見送ってから俺たちは中へ入って行った。
「ええと、たぶんこうしたら……」
ひっ、という言葉だけ漏らした結果しゃっくりの様な息を吐いた俺に気づかずダリオさんは身体を斜めに倒して揺らす。その動作で重力に引かれたブラジャーの留め具がぶらり、と俺の前に現れた。
「つ、掴みました!」
俺は気を取り直しそれを必死にキャッチする。まさかお尻と下着に見とれて掴み損ねたりしたら自分で自分を許せない!
「ナイスです! テクニシャンですね!」
いや姫様、褒めるのは良い事ですけど状況と言葉!
「ただテクニシャンのショウキチさんでも次は難しいかもです」
ダリオさんは語弊のある言い方を継続しながら今度は反対に傾ける。
「あー、確かに」
彼女の言う事には一理ある。いやテクニシャンじゃなくてね? 留め具にはオスとメスがあって先に俺が掴んだのはオス側だ。いわゆるフック状になっている方で、重みも開放面もあるので揺らし易い。
一方、残ったメス側はドーム状に閉じていて重さもない。何かに引っかかったらなかなか外れないし、軽いので降っても降りてこない。
「ん! んんっ!」
ダリオさんは色っぽい呻き声を上げながら腰をくねらせる。その背中には下着の跡があって、短時間ではあるが締め付けはキツかったようだ。面会室で盗み聞きした内容ではないが、現段階ではまだダリオさんのお胸の方がレイさんよりボリュームがあるらしい。
実際、サッカードウにおいても現状ゲームメイカーとして上なのはレイさんではなくダリオさんの方だ。確かにその繊細なボールタッチ、瞬間的なスピード、アイデアにおいては既にレイさんはアローズ屈指の選手であり、将来的にはサッカードウ史上最高の選手になる可能性もある。
だがゲームやチーム状況を俯瞰で見る能力、DFを背負った時のプレイ、守備での貢献などではダリオさんが遙かに上だ。肉体的にも精神的にも、姫様の方が大人だというのもある。
故に監督がチームの屋台骨として超愛、もとい寵愛、いや重用か? できるのはダリオさんという事になる。選手としてのタイプの違いもあるが、まだしばらくは彼女を頼る事になるだろう。
「あの、ショウキチさん? 上下で色が違うのは上がレイさんのだからで、普段はちゃんと揃っているのですが……」
「はい! あ、いえ、それで悩んでいたのではなくて!」
お察しの通りサッカードウの事を考えて現実逃避していた俺ではあるが、ダリオさんは別の理由だと誤解して声をかけてきた。
「信じて頂けないのでしたら後でお見せしますね」
「結構です!」
「結構、攻めているのは手早く着替える可能性があったからで、普段はもう少し……」
「ちょっと手を入れます!」
駄目だ。これ以上話すと聞いてはいけない事を耳に入れる可能性がある。俺はダリオさんに断りを入れ、服と肌の間に左手を差し込んだ。
「あん! いやん!」
「ダリオさん変な声を出さないで下さい!」
「だってショウキチさんの手がくすぐったくて……」
そう、俺の手は必死に残りの留め具を探していた。ダリオさんの肌は少し汗ばんでしっとりしており、言葉とは裏腹に俺の指を歓待するように張り付いてきた。
それは先日触れたレイさんのお腹とは違った感触だ。あちらは若さと張り、こちらは潤いと滑らかさ、それは彼女らのプレイスタイルの違いでもあり……ってもう一度、サッカードウの事で気を逸らすのは無理か。
「うぅん……くぅっ……」
ダリオさんの声も色っぽい響きが増えており、俺に気を逸らせるつもりはさらさら無いらしかった。
「あの、お客様? もう到着しましたが……玄関前を何周かしていましょうか?」
「はぁい……お願い……します……」
乗用蛇さんの声が聞こえると、俺が口を開くより先にダリオさんが熱い吐息で応えた。もう着いてしまったか。だがもちろん、こんな状況では降りられないもんな!
「車回しみたいなモノがあるんすかね」
だが俺はその流れでやや冷静になって呟いた。いわゆるホテルの玄関にあるようなスペースだろう。カーテンで見えないから分からないが。
丸い、ロータリー交差点の様な所をぐるぐる回る大きな蛇……。ウロボロス――自分で自分の尻尾にかじりつき輪のようになっているシンボル――が脳内に浮かんだ。
「えっ? ええ……うんっ」
ダリオさんはややうわずった声で返答した。引き続き左腕で胸を抑え右手を下について身体を支え、やや俯き加減でくすぐったさに耐えている。どうやらかなり限界の様だ。早く終わらせないと!
「あ、掴みました! じゃあこれで、と」
幸い、遂に俺の左手がもう一つの留め具を発見し、無事二つを繋ぎ合わせた。勢いでドレスの後ろも閉め、合図にダリオさんの肩を軽く叩く。
「きゃあ!」
「はい!?」
俺が肩を叩いた瞬間、ダリオさんは声を上げビクン! と身体を跳ね上げた。俺、そんなに強く叩いてないよな!?
「どうしました?」
「いえ、大丈夫です……」
ダリオさんは少しの間、荒い息を吐いていたがすぐに呼吸を整え、鞄がらハンカチを取り出して汗を拭いた。
「空気を入れますね」
くすぐられて暑くなっていたのだろう。俺は彼女に断ってカーテンを開けた。途端に風が吹き込み、いつの間にか中に充満していた熱い空気を吹き飛ばす。
「あ、涼し……でか!」
まず肌に触れた清涼な空気に驚き、ついで目に入った宿舎の大きさに驚愕する。本当に地球にあるホテルのような宿舎は純粋に建物もだが入り口もデカい。トロールやミノタウロスも宿泊するんだから当然と言えば当然か。
「ありがとうございます。ショウキチさん、行きましょう」
俺がザ・ウォーマー・ワンに見とれている間にダリオさんが普段の様子を取り戻し、乗用蛇さんと俺に声をかけた。ふう、なんとかなったな。
「ご利用、ありがとうございました~」
最後まで気のよい巨大な蛇が玄関で俺とダリオさんを降ろし、頭を下げて去っていく。その姿を見送ってから俺たちは中へ入って行った。
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