D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第三十五章

伝説と巨人

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「地震!? このタイミングで!?」
 俺は情けない声を上げながら周囲を見渡す。この異世界、地震がない訳ではないだろう温泉とかあるし。だがエルフの居住範囲では経験した事がなかった。
「タオルはどこだ?」
 誰かに見られる筈もないのだが、それでも裸で走り回るには抵抗がある。俺は湯船から出つつ横のテーブルに置いてあったバスタオルを手に取り、急いで腰に巻いた。
「クラブハウスの方はどうなんだ!? あと街の方も!」
 俺は修理から戻った魔法のランタンを手に取り、シソッ湖の方へかざした。が、当然の事ながら近くに光源がある方が遠くの夜景は確認し辛い。
「馬鹿だな俺、えっと……」
「ショーキチさん、それ持とうか?」
「あ、ありがとうございます!」
 俺は自分の背後にいたエルフにランタンを預け、手を望遠鏡のように丸めてその中を覗き込んだ。レンズはなくとも余計な光を妨げ焦点を併せやすくなるので意味はあるんだよね!
「何か見える?」
「いや、火の手とかは上がってないですし建物の崩壊も別に……」
「ふーん。ほうかい?」
「いやそんな冗談を! って、ええ!?」
 不謹慎な言葉にツッコミを入れようと振り返り、そこで俺は初めて気づいた。
「ば、バートさん!?」
「僕もいるよ!」
 振り向いた先には、ニッコリと微笑む若々しいエルフと、身を屈めなんとか視線を併せようとする巨人族の娘の姿があった!

 その場にいたのはかつての名選手にしてデニス老公会の長老でもあるバートさんと、スワッグの幼なじみにしてアローズの宣伝広報部員でもあるノゾノゾさんという奇妙なコンビだった。
「なぜここに!?」
「例のイベントの為だよ!」
「僕は彼女の案内と、預かってきた寝具とか衣服のお届け!」
 デイエルフはある書簡を手に、ジャイアントは布の山を指先に――今のノゾノゾさんは巨人族本来のサイズで、魔法のアイテムで縮んではいない。あの大地の振動は、彼女の足音だったのだ――持って振りながら言った。
「イベント……ああ! それはありがとうございます! ですがこんな時にここにこなくても!」
 彼女が言うイベントとは、エルドワクラシコの前日に行われる式典の事だ。エルフとドワーフそれぞれのOGが集まりトークショーも行ったりするイベントで、バートさんはそれに招待された元選手の1エルフ、ノゾノゾさんはそれの司会進行を担当する予定だ。
「ドワーフ戦がマンデーナイトに設定されたので、その前にイベントを仕込めるようなった」
と述べていた例の件である。
「ちょっと早く着いちゃって暇してたし……ショーキチさんの顔も見たかったしね!」
「観れたのは顔だけじゃなかったけどね!」
 バートさんが舌を出しながらそう言うと、ノゾノゾさんは意味深に微笑みながらそれに続いた。
「はあ」
「そうだね。ショーキチさん前より身体、引き締まった? 良い感じ……だね」
「え? 前も裸、見たの!?」
 そんなエルフと巨人の会話を聞いて、俺は身をぶるっと震わせる。そうだ、今は湯上がりで腰にタオルを巻いただけの状態だった!
「うん。ショーキチさんを誘拐した時、まだ意識がない彼を脱がせてね……」
「うんうん」
「ちょっとその話ストップ! 俺は今も裸なんです! お二方、あっち向いてください! てか服を来てから行くので先に家の中で待ってて!」
 何やら怪しい新事実が判明しそうだがその告白を止め、俺は彼女たちに退去を依頼する。これがアニメで俺が女の子なら
「きゃーエッチ! 出て行って!」
で画面が切り替わるのだが……そう便利にはいかない。
「はーい」
「ねえ、待ってる間にさっきの話を聞かせて?」
「バートさん変な事を教えないでくださいね! あ、ノゾノゾさん部屋へ入る時は小さくなって!」
 歩き出した両者の背中へ俺はそんな声をかける。バートさんとノゾノゾさんは同時にこちらを向いてウインクし、その場を去った。
 何とも変な状態になったな……あと寒いな……。

「改めまして……。バートさん、お久しぶりです。ノゾノゾさん、色々とありがとうございます」
 着替えを終えた俺は船の食堂で座って待っていたバートさんとノゾノゾさんにまず、そう言った。ここ数日お久しぶりです、とかお世話になってますとかそんな事ばかり言ってるな。だいぶビジネスマンぽくなってるぞ俺。
「うん、会いたかったよショーキチさん! わざわざ私を呼んでくれて嬉しい」
「僕と君の仲だよ、気にしないで」
 どちらも俺に好意をみせつつ隣に牽制を送るという器用な真似をしてくる! これは難しい事になりそうだぞ……。
「エルフ代表の伝説的な選手の『みなさん』をお招きできる事になって、本当に嬉しく思いますよ」
 とりあえずバートさんの方へそう返す。現在、俺の前にいるのは彼女だけだがイベントの為には当然、他の元選手達も呼んでいる。
 確かにデニス老公会とは不幸なすれ違いがあったが、彼女たちが築いてきたアローズ栄光の歴史にケチをつけるつもりなどさらさらない。だからいま俺が言った事は本心なのだ。
「ノゾノゾさんはイベントの司会進行なので、OGの皆さんと仲良くやって下さいね! とりあえず、バートさんとはもうお近づきになってるみたいで幸いです」
 一方アローズのイベント周りの人員は、実の所まだステフ、スワッグ、ノゾノゾさんに頼り切りである。裏方さんは育っているらしいが、人前に出て話すとなるとこの三名に絞られる。
 それで今回はノゾノゾさんが担当するのだが、見た所バートさんとの間に少し火花が散ってそうにも見える。つまり……後に言った方の言葉は俺の本心ではなかった。
「ショーキチさんの顔を見るだけでも良かったけど、せっかくだから仕事の話もしようか?」
「お、いいね! あまり遅くならない程度に」
 そんな俺の苦心を知らずか、エルフとジャイアントはそう話を合わせた。これは拒否できない流れだな!?
「ええ、じゃあ軽く」
 俺は心の中でため息を吐きながら、テーブルにメモや筆記用具を並べた……。
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