高貴なオメガは、ただ愛を囁かれたい【本編完結】

きど

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第七話

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「ふあっ…んっ」

唇を舌でこじ開けられ、抵抗しようと舌で押し返すも、絡め取られ蹂躙される。そのまま歯列をなぞられ、舌先で上顎をくすぐられれば快感で頭が痺れてくる。

「んっ…んっ」

キスを喜ぶ気持ちの中、このままでは体までも反応してしまうと思考力が落ちた頭で悟る。そして、体を離そうとアーシュの肩を拳で叩くも、びくともせず、逆にアーシュは僕の頭の後ろに手を回し押さえつけ、口付けをさらに深くしていく。

「ふっ…んっ…はっ」

深夜の静寂の中、唇を貪る水音が淫靡に響く。その音にも反応し、体の中心に熱がどんどん集まる。すると前も後ろももっと強い快感を期待して切なく疼く。少しでも快感を得ようと無意識に自分の膝をすり合わせてしまう。頭は熱く痺れぼうっとしていき、快感に飲まれガクガク震える。

「はっ…んっ…あぁっ」

足で立っていられなくなり、腰が抜けた僕をアーシュが抱き支える。僕の膝の間に足を入れ、太腿で僕の中心を刺激する。すると快楽を待ち望んでいたそこは、従順に反応してしまう。口と中心を責めたてられ、僕の体は呆気なく絶頂を迎える。

「ん…やっ…もう…やめて」

口付けが終わり、目には涙が溜まる。そのまま蚊の鳴くような声でアーシュに懇願する。僕の顔を見たアーシュは息を飲み、僕の意思を無視して、太腿で摩るのを辞めない。足が動くたび衣擦れの音がし、無言の僕たちにはそれがやけに大きく聞こえた。
前が果てたら、次は後ろが物足りないとひくつき、愛液が溢れるのが自分でも分かる。

「もっ…やだぁ…いやっ…」

絶頂を迎え敏感になった体に絶えず刺激を受けることが限界に達し涙が溢れ出てくる。

「あなたって人は…。」

「くぅ…ひっ…ん」

それを見てアーシュが足を止め親指で僕の眦に触れ、涙を拭われる。そして先程までの冷え切った瞳から一変し優しい笑顔を向けてくる。泣いたことが悔しくて、僕は漏れそうになる嗚咽を必死に押し殺す。

「なっ…やめっ」

「あんまり暴れると、落ちますよ。腰が抜けて歩けないでしょうから、部屋まで運びます。」

唐突に横抱きにされ暴れる僕に、アーシュがさらりと言う。部屋までお姫様抱っこなんてされたら、僕の心臓が持たない。不埒なことをされ、もう痛いくらいに拍動しているのに。そう思いアーシュの胸を手で押す。

「あまり暴れるなら、大人しくなる様にもう一度キスしましょうか?」

立ち止まり僕の顔を覗き込み、そう言う。

ダメ。これ以上されたら、好きな気持ちに蓋ができなくなる。

僕はアーシュの胸に顔を埋め、「早く連れて行け。」と言うので精一杯だった。

* * *

部屋に着くとアーシュは、ゆっくりと僕をベッドに下ろす。顔を見られたくなくて俯く僕の顎に手をかけ上を向かせる。

「キスで腰が抜けたお子ちゃまなんですから、大人しく寝ててください。」

「なっ」
幼子に諭す様に言われ、僕の反発心があおられる。

「お前の指図は受けない。」

「…はぁ。わかりました。」

僕の言葉に大きなため息を付き、致し方ないといった様子で言ったと思ったら、ベッドに座っていた僕を押し倒す。

「よけろっ。離れろっ。」

「少し黙って」

「いっ…」

そのまま上に覆い被さられ、退かせようと胸を押し返していると、アーシュが夜着の合わせを引っ張る。アーシュが短く言葉を吐いた後、僕の首の付け根に痛みが走る。数秒してから、噛みつかれたことを理解した。

「…。首筋に噛み跡こんなものをつけた人を抱く男はいませんよ。」

アーシュは口を離すと満足気に噛み跡を撫でる。赤く充血しているのか撫でられるとピリピリした痛みが走り反論する気が萎んでいく。

「痛めつけたい訳ではなく、あなたを誰にも触らせたくなかった。あなたは私の大切な番だから。…だから、もう今日はおやすみになってください。」

僕が珍しく反論せずにいると、アーシュが噛んだ理由を言い聞かせる。そして額にキスをしてから僕に布団をかける。

権力のためじゃなく、愛のためにこの言葉を囁いてくれたのなら、どんなに嬉しかったか。

そんな事を思うと鼻の奥がツンとする。複雑な気持ちをアーシュに悟られない様にアーシュがいる方の逆側に寝返りをする。

「もう寝る」

「分かりました。おやすみなさい。」

声が震えない様に短く言うと、アーシュが頭を撫でてから離れていく。ガチャリと扉が閉まる音が聞こえると同時に精一杯我慢していた涙が堰を切って溢れ出す。

「ふっ…んぐ」

しばらくして泣き疲れた僕はそのまま眠りに落ちた。

* * *

「…で、…まっ…」

廊下から聞こえてくる喧騒で目が覚めた。昨晩泣いたせいか瞼が少し腫れぼったく、頭もじんじん痛む。そんな中、寝室の扉が強めにノックされる。カリーノのかと思い返事をしてしまったので、入ってきた人物に驚く。

「朝早くに失礼するよ。今日は私の遊学に付き合ってくれないか?ヴィルム王子。」

もう準備が整っている王子が爽やかに言う。

「殿下、無理はなさならないでください。」

王子の後ろに居るアーシュが何故か頭を抱え、そう言った。







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