17 / 85
第十七話
しおりを挟む
「何だレトア卿?」
慌てる僕とは対照的にアーシュは胸ぐらを掴むレトア卿の手首を握り、落ち着いた様子でレトア卿に問いかける。
「何だ?じゃないだろう。君はカリーノ殿下に何をした?二日も食事も取らずに部屋に籠っているんだぞ」
レトア卿は落ち着いた口調のままアーシュに凄むが、アーシュは動じない。レトア卿の話す内容は僕も無関係ではないので胸が痛む。僕とアーシュの事後の姿をカリーノに目撃された日、気まずい気持ちを抱えながらめカリーノに話しをしに行ったが扉ごしに話したくないと拒絶されてしまった。昨日もカリーノの部屋に行ったものの反応がなく話が出来ていない。
「こんな手荒な真似をするなんて、らしくないんじゃないか?」
「王子と陛下が面会する重要な席だったのにカリーノ殿下が欠席したのだから、原因を作った君に怒って当然だろ!」
アーシュの言う通りレトア卿が手を出すことは珍しい。レトア卿はどちらかと言えば遠回しにチクチク嫌味を言うか陰でコソコソ工作をするタイプだ。
どうやら、今日の会談にカリーノが欠席したことで蚊帳の外の扱いになってしまったことを腹を立てているらしい。カリーノを心配している訳でなく、あくまで今後の権力争いに関わるからという理由はレトア卿らしく、一切同情はできない。
「レトア卿やめろ。カリーノのことはアーシュだけが悪いわけじゃない」
「そうですね。侍女の話ではヴィルム殿下の元から泣きながら戻ってきたみたいですからね。フィリアス卿と仲睦まじくしている様子でも見せつけたのですか?」
張り詰めた雰囲気の中、止めに入るとレトア卿の怒りの矛先が僕に変わり、以前の僕なら怒鳴りつける様な内容を敢えて言ってくる。僕はといえば、事実なので下品だと怒ることも出来ずに、押し黙ってしまう。
「まさか図星ですか。…はぁ、今まで散々フィリアス卿の匂いを撒き散らせておきながら抱かれていないと言い張っていたのに、妹君にわざわざその場面を見せるなんて、いい趣味をしていらっしゃる」
「これ以上殿下を侮辱する発言をするなら、ただじゃおかないぞ」
「あーあ、怖い怖い。そんなに大切なお姫様なら早々にうなじを噛ん番になっていれば良かったのではないか?発情期の度に抱いてマーキングするだけだから、王子の様な横槍が入ったんだろ。」
レトア卿が僕を卑下すると、アーシュもレトア卿の首元を掴み凄む。
前からレトア卿にアーシュの匂いがすると言われるのは嫌味の一種だと思っていた。レトア卿は、今なんと言った?
「発情期の度に抱く?」
「私に絡んでいる暇があるなら、カリーノ殿下を立ち直らせる方法を考えたらどうだ?
ヴィル、それについては説明させて欲しい」
僕がレトア卿の言葉を反芻すると、アーシュは掴んでいたレトア卿の胸ぐらを離し、首元にあったレトア卿の手も振り解く。レトア卿に冷たく吐き捨ててから、僕の肩を掴み優しく話す。
「言われなくてもそうしますが、フィリアス卿がフォローしているということは、お姫様は本当に抱かれていないと思っていたんですか?なんて滑稽んぐっ」
「黙れ。これ以上話すなら、もう二度と口を聞けない様に顔面の骨を砕いてやろうか」
高らかに僕を侮辱するレトア卿の顔面をアーシュが鷲掴みする。そのまま手に力を入れているので、レトア卿が苦しそうにアーシュの腕をはたく。
「大丈夫だから、アーシュ手を離してやれ。」
「ヴィル…」
「説明するのだろ?場所は執務室でいいだろ?」
僕の制止にアーシュが戸惑いつつレトア卿の顔面を離す。その顔にはアーシュの手形が赤く残っていて見ているだけで痛そうだ。よく見るとレトア卿は涙目になっているが、レトア卿は放置し僕は説明を聞くためにアーシュを促し執務室に向かった。
慌てる僕とは対照的にアーシュは胸ぐらを掴むレトア卿の手首を握り、落ち着いた様子でレトア卿に問いかける。
「何だ?じゃないだろう。君はカリーノ殿下に何をした?二日も食事も取らずに部屋に籠っているんだぞ」
レトア卿は落ち着いた口調のままアーシュに凄むが、アーシュは動じない。レトア卿の話す内容は僕も無関係ではないので胸が痛む。僕とアーシュの事後の姿をカリーノに目撃された日、気まずい気持ちを抱えながらめカリーノに話しをしに行ったが扉ごしに話したくないと拒絶されてしまった。昨日もカリーノの部屋に行ったものの反応がなく話が出来ていない。
「こんな手荒な真似をするなんて、らしくないんじゃないか?」
「王子と陛下が面会する重要な席だったのにカリーノ殿下が欠席したのだから、原因を作った君に怒って当然だろ!」
アーシュの言う通りレトア卿が手を出すことは珍しい。レトア卿はどちらかと言えば遠回しにチクチク嫌味を言うか陰でコソコソ工作をするタイプだ。
どうやら、今日の会談にカリーノが欠席したことで蚊帳の外の扱いになってしまったことを腹を立てているらしい。カリーノを心配している訳でなく、あくまで今後の権力争いに関わるからという理由はレトア卿らしく、一切同情はできない。
「レトア卿やめろ。カリーノのことはアーシュだけが悪いわけじゃない」
「そうですね。侍女の話ではヴィルム殿下の元から泣きながら戻ってきたみたいですからね。フィリアス卿と仲睦まじくしている様子でも見せつけたのですか?」
張り詰めた雰囲気の中、止めに入るとレトア卿の怒りの矛先が僕に変わり、以前の僕なら怒鳴りつける様な内容を敢えて言ってくる。僕はといえば、事実なので下品だと怒ることも出来ずに、押し黙ってしまう。
「まさか図星ですか。…はぁ、今まで散々フィリアス卿の匂いを撒き散らせておきながら抱かれていないと言い張っていたのに、妹君にわざわざその場面を見せるなんて、いい趣味をしていらっしゃる」
「これ以上殿下を侮辱する発言をするなら、ただじゃおかないぞ」
「あーあ、怖い怖い。そんなに大切なお姫様なら早々にうなじを噛ん番になっていれば良かったのではないか?発情期の度に抱いてマーキングするだけだから、王子の様な横槍が入ったんだろ。」
レトア卿が僕を卑下すると、アーシュもレトア卿の首元を掴み凄む。
前からレトア卿にアーシュの匂いがすると言われるのは嫌味の一種だと思っていた。レトア卿は、今なんと言った?
「発情期の度に抱く?」
「私に絡んでいる暇があるなら、カリーノ殿下を立ち直らせる方法を考えたらどうだ?
ヴィル、それについては説明させて欲しい」
僕がレトア卿の言葉を反芻すると、アーシュは掴んでいたレトア卿の胸ぐらを離し、首元にあったレトア卿の手も振り解く。レトア卿に冷たく吐き捨ててから、僕の肩を掴み優しく話す。
「言われなくてもそうしますが、フィリアス卿がフォローしているということは、お姫様は本当に抱かれていないと思っていたんですか?なんて滑稽んぐっ」
「黙れ。これ以上話すなら、もう二度と口を聞けない様に顔面の骨を砕いてやろうか」
高らかに僕を侮辱するレトア卿の顔面をアーシュが鷲掴みする。そのまま手に力を入れているので、レトア卿が苦しそうにアーシュの腕をはたく。
「大丈夫だから、アーシュ手を離してやれ。」
「ヴィル…」
「説明するのだろ?場所は執務室でいいだろ?」
僕の制止にアーシュが戸惑いつつレトア卿の顔面を離す。その顔にはアーシュの手形が赤く残っていて見ているだけで痛そうだ。よく見るとレトア卿は涙目になっているが、レトア卿は放置し僕は説明を聞くためにアーシュを促し執務室に向かった。
35
あなたにおすすめの小説
アルファだけど愛されたい
屑籠
BL
ベータの家系に生まれた突然変異のアルファ、天川 陸。
彼は、疲れていた。何もかもに。
そんな時、社の視察に来ていた上流階級のアルファに見つかったことで、彼の生活は一変する。
だが……。
*甘々とか溺愛とか、偏愛とか書いてみたいなぁと思って見切り発車で書いてます。
*不定期更新です。なるべく、12月までメインで更新していきたいなとは思っていますが、ムーンライトノベルさんにも書きかけを残していますし、イスティアもアドラギも在りますので、毎日は出来ません。
完結まで投稿できました。
婚約破棄?しませんよ、そんなもの
おしゃべりマドレーヌ
BL
王太子の卒業パーティーで、王太子・フェリクスと婚約をしていた、侯爵家のアンリは突然「婚約を破棄する」と言い渡される。どうやら真実の愛を見つけたらしいが、それにアンリは「しませんよ、そんなもの」と返す。
アンリと婚約破棄をしないほうが良い理由は山ほどある。
けれどアンリは段々と、そんなメリット・デメリットを考えるよりも、フェリクスが幸せになるほうが良いと考えるようになり……
「………………それなら、こうしましょう。私が、第一王妃になって仕事をこなします。彼女には、第二王妃になって頂いて、貴方は彼女と暮らすのです」
それでフェリクスが幸せになるなら、それが良い。
<嚙み痕で愛を語るシリーズというシリーズで書いていきます/これはスピンオフのような話です>
番を持ちたがらないはずのアルファは、何故かいつも距離が近い【オメガバース】
さか【傘路さか】
BL
全10話。距離感のおかしい貴族の次男アルファ×家族を支えるため屋敷で働く魔術師オメガ。
オメガであるロシュは、ジール家の屋敷で魔術師として働いている。母は病気のため入院中、自宅は貸しに出し、住み込みでの仕事である。
屋敷の次男でアルファでもあるリカルドは、普段から誰に対しても物怖じせず、人との距離の近い男だ。
リカルドは特殊な石や宝石の収集を仕事の一つとしており、ある日、そんな彼から仕事で収集した雷管石が魔力の干渉を受けない、と相談を受けた。
自国の神殿へ神が生み出した雷管石に魔力を込めて預ければ、神殿所属の鑑定士が魔力相性の良いアルファを探してくれる。
貴族達の間では大振りの雷管石は番との縁を繋ぐ品として高額で取引されており、折角の石も、魔力を込められないことにより、価値を著しく落としてしまっていた。
ロシュは調査の協力を承諾し、リカルドの私室に出入りするようになる。
※小説の文章をコピーして無断で使用したり、登場人物名を版権キャラクターに置き換えた二次創作小説への転用は一部分であってもお断りします。
無断使用を発見した場合には、警告をおこなった上で、悪質な場合は法的措置をとる場合があります。
自サイト:
https://sakkkkkkkkk.lsv.jp/
誤字脱字報告フォーム:
https://form1ssl.fc2.com/form/?id=fcdb8998a698847f
僕が死んだあと、あなたは悲しんでくれる?
いちみやりょう
BL
死神 × 不憫なオメガ
僕を大切にしてくれる青砥と、ずっと一緒に居られると思ってた。
誰も感じない僕のオメガのフェロモンを青砥だけはいい匂いと言ってくれた。
だけど。
「千景、ごめん。ごめんね」
「青砥……どうしたの?」
青砥は困った顔で笑って、もう一度僕に“ごめん”と謝った。
「俺、和樹と付き合うことにした。だから、ごめん」
「そんな……。もう僕のことは好きじゃないってこと?」
「……ごめん」
「……そっか。分かった。幸せにね」
「ありがとう、千景」
分かったと言うしか僕にはできなかった。
※主人公は辛い目に遭いますし、病気で死んでしまいますが、最終的に死神に愛されます。
無理です!僕は絶対にこんな屑駄目王子の嫁になりませんからね?
竜鳴躍
BL
見た目と才能を隠していた第二王子と第一王子の婚約者候補のラブコメ?王家ざまあ。番確定なのに未成熟で分かってない主人公(受)とすれ違いの攻。あげく第一王子は変装した弟に恋をするし、たいへんです。
※前半あらすじ?
「なんでウチは公爵なのぉ!?」ハイリ5歳は絶望した。ちょっと顔が綺麗なだけで傲慢な第一王子。外面が良いだけの悪魔の婚約者候補に選ばれてしまう。ハイリは男の子だけどΩでお嫁に行く。だから女の子に混じって、実家の爵位と年齢から選ばれてしまった。死にそうになったところを助けてしまったり、あまりのアホさにやらかす男を助けてしまい、なんとか自分だとバレないように裏工作するハイリ。見た目と才能をひた隠しにして、どうにかこうにか誰かに第一王子を押し付けようとするのだった。
☆短編になりました。
オメガなのにムキムキに成長したんだが?
未知 道
BL
オメガという存在は、庇護欲が湧く容姿に成長する。
なのに俺は背が高くてムキムキに育ってしまい、周囲のアルファから『間違っても手を出したくない』と言われたこともある。
お見合いパーティーにも行ったが、あまりに容姿重視なアルファ達に「ざっけんじゃねー!! ヤルことばかりのくそアルファ共がぁああーーー!!」とキレて帰り、幼なじみの和紗に愚痴を聞いてもらう始末。
発情期が近いからと、帰りに寄った病院で判明した事実に、衝撃と怒りが込み上げて――。
※攻めがけっこうなクズです。でも本人はそれに気が付いていないし、むしろ正当なことだと思っています。
同意なく薬を服用させる描写がありますので、不快になる方はブラウザバックをお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる