高貴なオメガは、ただ愛を囁かれたい【本編完結】

きど

文字の大きさ
58 / 85
【ヤンデレβ×性悪α】 高慢αは手折られる

第十二話

しおりを挟む
熱気に包まれた部屋に水音が反響する。後ろから抱き抱えてくるフェナーラの心音や肌の温かさを背中に感じながら、体が芯から温まっていく。

「セラフ、気持ちいいか?」

フェナーラが私の腕を柔らかく撫でると、この男の動きに合わせて一際大きな水音が響く。

「んっ、ちょっと変な触り方しないでくれますか?」

私の指は水を掻き分け私の腕を撫でたフェナーラの手の甲を叩く。水の中だから、痛くはないだろう。それから、彼の腕の中から抜け体を反転させフェナーラと向き合う姿勢になる。バスタブに背を預け体を縮こませるように三角座りをする。

「別にやらしい触り方なんてしてないんだけどなー。セラフが敏感すぎるんだよ」

「それ以上、失言するなら蹴りますよ」

フェナーラにすごんでみても、この男は反省する様子もなく肩をすくめ飄々としている。

私にしかできないことと言っていたから、何かと思えば、まさか一緒に入浴することだったとは。男二人で入るには少々手狭なバスタブに身を寄せ合い入るハメになった。せめてもの救いは泡風呂だったことだ。向かい合わせになってもお互いの体を表面の泡が隠してくれる。

「あー悪かったよ。お詫びに、脚をマッサージしてやるよ。剣技で普段使わない筋肉使ったから、筋が張ってるだろ」

私が返事をする前にフェナーラは私の足を掴む。そしてふくらはぎの筋肉に指圧を加えていく。疲労して張っていた筋肉が優しく揉みほぐされる。

「んっ」

時折感じる指圧の痛みに小さな悲鳴が上がりそうになる。それを押し殺すと、かわりにくぐもった声があがる。
フェナーラの手は足裏と甲に移動し、凝り固まった筋肉をほぐしていく。足の指先まで丁寧に揉まれる。マッサージの心地よさに身を任せたいのに、私の体が邪な反応をする。体のある一点に熱が集まり始めているのだ。

「セラフ、太ももの方もマッサージするか?」

「いえ。もう大丈夫ですから。ありがとうございます」

さっきフェナーラを非難した手前、自分の体が反応していることが、ものすごく卑しいことの様に思った。だから、それを悟られないように三角座りをしなおそうとしたのに、フェナーラがそれを許さなかった。仕方ないのど私の足首を掴み離さないフェナーラに再度声をかける。

「もう大丈夫なので、脚を離していただけますか?」

「セラフ、顔が随分と赤いけど大丈夫か?もしかしてのぼせたか?」

バスタブの端と端では手が届かなかったからから、フェナーラが私の足の間に体を割り込ませ、ぐっと近づいてくる。

「ちょっと、待ってください」

これでは足を閉じることがはできないと、解放された足の膝を曲げフェナーラの体を挟むが私の制止など勿論聞いてはくれなかった。私の頬にフェナーラの手が添えられ、勃ち上がってしまった私の屹立にフェナーラの膝が触れる。フェナーラはニヤリと笑いながら、私の頬を指で撫ぜる。

「やっぱり敏感じゃん」

「これは、ただの生理現象です!最近、ご無沙汰だったので」

「そうなんだ。まあ、セラフも男だもんな」

フェナーラは私の脇に手を差し込み体を持ち上げると、フェナーラの膝の上に座らせる。
私の内腿に脈打ちながら硬く反りたつものがあたる。……これは

「あなただって、勃ってるじゃないですか!」

「そりゃ、セラフ好きな奴と風呂に入っているんだから、滾るに決まってるだろ」

「あなたって人は…ほんとにデリカシーがないですね」

「お上品じゃなくて、すみませんね。それよりセラフ、また勝負しないか?」

何とも思っていない相手から自分を見て反応したなんて言われたら、嫌悪感がわくはずだ。それなのに私はフェナーラからそう言われることが満更でもないから、困る。ベータなんて恋愛対象にすらならないのに。きっとフェナーラとは体の相性がいいから、絆されているだけだ、きっとそう。そうじゃなきゃ困る。

「今ここで出来る勝負なんてありますか?」

「あるよ。丁度二人とも勃ってるから、抜きあいして早くイッた方が負けっていうのは?まぁ、?」

多分、フェナーラは煽って私をのせたいのだと理解はしているが、煽るように言われカチンときた。アルファの私を侮辱しているのか?さっきはたまたま負けただけだ。そう思い腹の奥底からフツフツと怒りが湧く。

「当然ですよ。あなたとは男性経験の経験値が違いますから。で、抜きあいは相手のものを手でするということでよろしいでしょうか?」

「当然ねぇ。経験豊富な手管楽しみだな。うーん。本当は別のことで考えてたけど手でいいよ」

最初に手でと釘を刺しておいてよかった。でもそのせいかフェナーラの機嫌が悪くなった気がする。

「そうそう俺が勝ったら、セラフが恋愛対象をアルファにこだわる理由を教えて」

フェナーラはいつも私の触れられたくない部分をデリカシーなく暴こうとする。私が負けるはずはないが、アルファにこだわる理由は絶対に言いたくない。その条件を拒絶する言葉が溢れ落ちないように私は奥歯を噛み締めた。

「……いいですよ。じゃあ、私が勝ったら、あなたの弱点を一つ教えてください」

そして相手にも自分と同じ痛手をおってもらうことにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

あなたは僕の運命なのだと、

BL
将来を誓いあっているアルファの煌とオメガの唯。仲睦まじく、二人の未来は強固で揺るぎないと思っていた。 ──あの時までは。 すれ違い(?)オメガバース話。

アルファだけど愛されたい

屑籠
BL
ベータの家系に生まれた突然変異のアルファ、天川 陸。 彼は、疲れていた。何もかもに。 そんな時、社の視察に来ていた上流階級のアルファに見つかったことで、彼の生活は一変する。 だが……。 *甘々とか溺愛とか、偏愛とか書いてみたいなぁと思って見切り発車で書いてます。 *不定期更新です。なるべく、12月までメインで更新していきたいなとは思っていますが、ムーンライトノベルさんにも書きかけを残していますし、イスティアもアドラギも在りますので、毎日は出来ません。 完結まで投稿できました。

婚約破棄?しませんよ、そんなもの

おしゃべりマドレーヌ
BL
王太子の卒業パーティーで、王太子・フェリクスと婚約をしていた、侯爵家のアンリは突然「婚約を破棄する」と言い渡される。どうやら真実の愛を見つけたらしいが、それにアンリは「しませんよ、そんなもの」と返す。 アンリと婚約破棄をしないほうが良い理由は山ほどある。 けれどアンリは段々と、そんなメリット・デメリットを考えるよりも、フェリクスが幸せになるほうが良いと考えるようになり…… 「………………それなら、こうしましょう。私が、第一王妃になって仕事をこなします。彼女には、第二王妃になって頂いて、貴方は彼女と暮らすのです」 それでフェリクスが幸せになるなら、それが良い。 <嚙み痕で愛を語るシリーズというシリーズで書いていきます/これはスピンオフのような話です>

番を持ちたがらないはずのアルファは、何故かいつも距離が近い【オメガバース】

さか【傘路さか】
BL
全10話。距離感のおかしい貴族の次男アルファ×家族を支えるため屋敷で働く魔術師オメガ。 オメガであるロシュは、ジール家の屋敷で魔術師として働いている。母は病気のため入院中、自宅は貸しに出し、住み込みでの仕事である。 屋敷の次男でアルファでもあるリカルドは、普段から誰に対しても物怖じせず、人との距離の近い男だ。 リカルドは特殊な石や宝石の収集を仕事の一つとしており、ある日、そんな彼から仕事で収集した雷管石が魔力の干渉を受けない、と相談を受けた。 自国の神殿へ神が生み出した雷管石に魔力を込めて預ければ、神殿所属の鑑定士が魔力相性の良いアルファを探してくれる。 貴族達の間では大振りの雷管石は番との縁を繋ぐ品として高額で取引されており、折角の石も、魔力を込められないことにより、価値を著しく落としてしまっていた。 ロシュは調査の協力を承諾し、リカルドの私室に出入りするようになる。 ※小説の文章をコピーして無断で使用したり、登場人物名を版権キャラクターに置き換えた二次創作小説への転用は一部分であってもお断りします。 無断使用を発見した場合には、警告をおこなった上で、悪質な場合は法的措置をとる場合があります。 自サイト: https://sakkkkkkkkk.lsv.jp/ 誤字脱字報告フォーム: https://form1ssl.fc2.com/form/?id=fcdb8998a698847f

僕が死んだあと、あなたは悲しんでくれる?

いちみやりょう
BL
死神 × 不憫なオメガ 僕を大切にしてくれる青砥と、ずっと一緒に居られると思ってた。 誰も感じない僕のオメガのフェロモンを青砥だけはいい匂いと言ってくれた。 だけど。 「千景、ごめん。ごめんね」 「青砥……どうしたの?」 青砥は困った顔で笑って、もう一度僕に“ごめん”と謝った。 「俺、和樹と付き合うことにした。だから、ごめん」 「そんな……。もう僕のことは好きじゃないってこと?」 「……ごめん」 「……そっか。分かった。幸せにね」 「ありがとう、千景」 分かったと言うしか僕にはできなかった。 ※主人公は辛い目に遭いますし、病気で死んでしまいますが、最終的に死神に愛されます。

無理です!僕は絶対にこんな屑駄目王子の嫁になりませんからね?

竜鳴躍
BL
見た目と才能を隠していた第二王子と第一王子の婚約者候補のラブコメ?王家ざまあ。番確定なのに未成熟で分かってない主人公(受)とすれ違いの攻。あげく第一王子は変装した弟に恋をするし、たいへんです。 ※前半あらすじ? 「なんでウチは公爵なのぉ!?」ハイリ5歳は絶望した。ちょっと顔が綺麗なだけで傲慢な第一王子。外面が良いだけの悪魔の婚約者候補に選ばれてしまう。ハイリは男の子だけどΩでお嫁に行く。だから女の子に混じって、実家の爵位と年齢から選ばれてしまった。死にそうになったところを助けてしまったり、あまりのアホさにやらかす男を助けてしまい、なんとか自分だとバレないように裏工作するハイリ。見た目と才能をひた隠しにして、どうにかこうにか誰かに第一王子を押し付けようとするのだった。 ☆短編になりました。

オメガなのにムキムキに成長したんだが?

未知 道
BL
オメガという存在は、庇護欲が湧く容姿に成長する。 なのに俺は背が高くてムキムキに育ってしまい、周囲のアルファから『間違っても手を出したくない』と言われたこともある。 お見合いパーティーにも行ったが、あまりに容姿重視なアルファ達に「ざっけんじゃねー!! ヤルことばかりのくそアルファ共がぁああーーー!!」とキレて帰り、幼なじみの和紗に愚痴を聞いてもらう始末。 発情期が近いからと、帰りに寄った病院で判明した事実に、衝撃と怒りが込み上げて――。 ※攻めがけっこうなクズです。でも本人はそれに気が付いていないし、むしろ正当なことだと思っています。 同意なく薬を服用させる描写がありますので、不快になる方はブラウザバックをお願いします。

処理中です...