【完結】百怪

アンミン

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3章 怪異にまつわる雑談・雑考

87「体育館」

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・現代怪談話・伝聞

――――――――――――――――――――――――

「怖い話とか、不思議な話ですか」

IT企業に勤める、アラフィフの男性から
聞いた話。

彼は大学時代―――
と言っても夜間大学だが、そこでバトミントンの
部活に入っていた。

「珍しいですけど、夜間専門に作られた
 大学でしてね。
 普通は昼間やっている高校とかを夜間だけ
 借りたりしているんですが、そこは夜専門の
 食堂とかもありました」

ある時、そこで同級生だった友人と出会い、
久しぶりに昔話に花を咲かせていたが、

「そういえば、夜の体育館を使うのって
 不思議と怖い感じはしなかったなあ。
 非日常というか、なんだか別世界に行った
 ような気がして……」

バトミントンだから、ネットを張ったり
いろいろな器具を準備したりしなければ
ならない。

まず真っ暗な体育館の照明をつける事から
始めなければならず―――
彼は一番最初に大学に来る事が多かったので、
よく無人の体育館に一人、カギを借りて入る
事がよくあった。

高校は普通の(日中の)ところだった事もあり、
非常に新鮮な経験だったという。

「そもそも部活の人数も少ないから、来ても
 一人とか二人とかで」

そう話していると同級生だった友人が首を傾げ、

「あそこ、体育館なんてあったっけ……?」

と聞き返され、

「え? あったよ、何言ってんだ?」

「いや、あそこは敷地も狭かったから、
 そんなにご立派な施設は無かっただろ」

と、話がかみ合わず、話し合っているうちに
彼もおかしな事に気付き始めた。

「確かに、本校舎と別に部活用の棟を建っては
 いたんですが……
 校庭があって、でもそれだけなんですよね」

校舎のどの方角にあったか、大きさはどれくらい
だったのか―――
友人からの問いに彼は段々と記憶を呼び起こし、

「最終的に、『体育館があったのなら、俺らは
 そこで卒業式やっているはずだろ』という
 言葉で我に返りました」

彼らは少人数で、卒業時も同級生がせいぜい
二十人ほど。
式は一番大きな教室で行われ、それは彼の
記憶にも残っていた。

その時はそれで終わったが、気になった彼は
昔の同じ大学だった知人に片っ端から連絡を
取ってみたという。

「すると、体育館が『あった』という人と、
 『無かった』という人が……
 半々に分かれたんです。

 こういう記憶違いってあるんですかねえ」

ちなみに、その夜間大学は彼らが卒業した後、
数年で建て替えられ―――
今は別の施設が建っているという。

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