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「貴女達、大変なことになっていたのね。」
カレンは、親友のケリー=エドワーズに恥を偲んで相談した。ケリーは公爵家の令嬢で、子爵家のカレンとは爵位の差はあるものの、読書家という共通点から学生時代から仲良くしていた。ケリーは、カレンからウィリアムとの一連の流れを聞き、目を丸くしていた。
「大体、好きでもない相手と二人きりで呑みに行くのは止めなさいって何度も言ったわよね?」
公爵令嬢らしい迫力のある笑みで見据えられ、カレンは肩を落とした。
「分かってる・・・だけど、ウィリアムが煽ってくるから、つい・・・。」
カレンはウィリアムが嫌いな割にはしょっちゅう二人で呑みに行っていた。カレンは呑みに行くことは大して好きではなく、早く帰って本を読みたいタイプだ。だが、ウィリアムは二十年の付き合いもあり、どう煽ったらカレンが乗せられるか熟知していた。
「はぁ、本当に貴女はウィリアム様のことになると駄目ね。」
心底呆れたように親友に言われてしまい、カレンはしょんぼりと俯いた。
「諦めて、ウィリアム様と結婚しなさい。それ以外の道は無いことは貴女も分かっているはずだわ。」
「うっ・・・そうだけど・・・。」
なかなか顔を上げないカレンを見てケリーは苦笑した。そして慰めるように言葉を続けた。
「ねぇ、カレン?貴女はウィリアム様のことを嫌いとよく話しているけれど、ウィリアム様はどうだったのかしら?嫌いな相手を頻繁に誘うような方ってあまりいないと思うけど。」
「それは、揶揄って楽しんでいるだけよ。」
「そうかしら?近衛騎士は多忙で、お休みも少ないでしょう。貴重な自由時間を貴女に充てているということは、貴女のこと好ましく思っているのではないかと思うの。」
「それは無いと思うけど・・・。」
ウィリアムのちょっかいにウンザリしているカレンは納得できなかった。頑ななカレンを見て、ケリーは言葉を飲み込み、話題を変えた。
「では、これからは仲良くなる努力をしたらいいわ。貴女の話を聞いていると、ウィリアム様は貴女のご両親へ誠実な対応をしていたようだし。」
もし、貴女に酷いことをするようなら私が撃退してあげるから、と付け加えられ、カレンは漸く笑顔を見せた。
「頑張ってみる・・・ケリー、聞いてくれてありがとう。ケリーはそういう話はないの?」
ケリーは公爵令嬢だ。カレンのように末端の貴族と違い、縁談話も山のようにあるだろう。ケリーは困ったように眉を寄せた。
「そうねぇ・・・お慕いしている方はいるわ。だけど、まだ話せないわ。」
貴族の婚姻には、色々と制約がある場合が多い。ケリーの婚姻話は言えない段階なのだろうと、カレンは判断した。
「そうだったのね。もし話せるようになったら教えてくれたら嬉しいわ。」
勿論、とケリーが微笑むのを見て、カレンも頷いた。
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