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しおりを挟むベンジャミン様と私の婚約が結ばれたのは今から十年前、ベンジャミン様が八歳、私が六歳の頃だった。
ベンジャミン様は公爵家の嫡男、私は伯爵家の長女で、家格の差があり通常であれば婚約は結ばれない。
だがベンジャミン様のお父様と私のお父様が仲が良く、両家では交流があった。初めは私のお兄様、レナードお兄様がベンジャミン様と同い年ということもあり遊び仲間となっていた。子どもの頃の二歳違いは大きい差があり、私はお兄様とベンジャミン様の遊びについていけないことが多かった。そんな時いつも私を待っていてくれるのは、手招きしてくれるのは、ベンジャミン様だった。
ベンジャミン様は、当時から無口で殆ど声を聞いたことはない。だが、私が必死でお兄様とベンジャミン様に追い付こうと走っている姿をいつも優しい眼差しで見守ってくれていた。私はあっという間にベンジャミン様の虜になっていた。
「おとうさま!!どうかベンジャミンさまとこんやくさせてください!!」
「ルシル……まず、その大声を直さないと、どこの家にも婚約の申し込みは出来ないよ。」
「なおします!!なおしますから!!!!」
「……直す気が無いじゃないか。」
元来お転婆でお淑やかさに欠ける私には次期公爵夫人は無理だと、散々説得された。幼い私は怒ったり、泣いたり、喚いたりして、すっかり困ってしまったお父様は渋々ベンジャミン様の家へ婚約の申し込みをしてくれた。お父様としては、公爵家から断られたら私も納得してくれるだろうという思惑があったようだが、何故だか私たちの婚約は成立した。お父様は今でも首を捻っているが、当時の私はそれはそれは大喜びだった。
婚約が成立して初めてのお茶会でのベンジャミン様の言葉を、私は忘れられない。彼は真剣な眼差しで私の手を取ると、耳心地の良い低い声で言った。
「……ルシル。ずっと一緒にいよう。」
「はいっ!!!!」
この時の私はどんなに幸せだっただろうか。私たちはまだまだ幼くて、それからも遊び仲間のような関係だったけれど、それでもベンジャミン様は私のことを大切にしてくれていたように思う。……学園に入学するまでは。
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