【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。

たまこ

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 商会に着くと、公爵家の使いであるソフィアとハロルドは個室に通された。道中話していた、万年筆とリラクゼーション商品を出してもらう。




 万年筆は、シャーロットに相応しい美しい装飾が施された商品がテーブルに並べられた。



「どれが良さそう?」




「そうですね・・・・・・。」



 ソフィアが万年筆を手に取りながら、丁寧に商品を見る。その中の一つに、目を奪われた。




(あ、これ・・・・・・。)


 ターコイズブルーの装飾が美しい万年筆を見つめるソフィアに、ハロルドが微笑んだ。




「お嬢様の瞳の色だね。いいんじゃない?」



「でも・・・・・・。」




 そう、ターコイズブルーはシャーロットの瞳の色だ。だが、それだけでない。シャーロットが王子妃候補になる以前から、恋い慕っているであろう相手ーーー王宮騎士団のハリー=ラッセルの瞳の色でもある。



 シャーロットは決して、想いを口にしないし、悟られないよう気を配っている。だが、王子妃教育に向かう、ほんの少しの時間だけ通りすがりを装い、騎士団の訓練所をこっそりハリーを見ている、その瞳は熱が籠っている。




(お嬢様の慰めになれば、と思ったけれど。)



 よく考えれば、ハリーの瞳の色を贈ることで、シャーロットが苦しくなるのではないか。そう思うとこれを選ぶことは出来なかった。




「ソフィア。」


 ハロルドが優しい声で、ソフィアを呼んだ。



「これはどうだろう?」



 ハロルドが選んだ万年筆は、ターコイズブルーとミルクベージュを基調とした装飾だ。



「王宮に上がった後、ソフィアの色を思い出したら、お嬢様も心強いんじゃないかな。」


 ミルクベージュは、ソフィアの髪と瞳の色だ。シャーロットが王子妃になれば、シャーロットには王宮侍女が付くのでソフィアは着いていくことは出来ない。そんな中で、自分を思い出してくれたら、確かに嬉しい、けれど。



「旦那様からの贈り物でしょう。私の色が入っているのは・・・・・・。」



「旦那様は、ソフィアとお嬢様の仲の良さはよく存じているし喜ばれているよ。俺から説明しておくからさ。」


 ハロルドの後押しがあり、万年筆を決めることが出来た。公爵からのプレゼントに、自分の色が入ってしまう申し訳なさは無くならなかったが、それでもソフィアはほんのりと嬉しさを感じていた。



「ハロルド。」


 ん?と首を傾げる様子すら、美形は様になる。




「・・・・・・ありがとう。」


 目線を合わさずにお礼を言うソフィアには、照れ笑いを浮かべるハロルドの顔は見られなかった。
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