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しおりを挟む実家を後にしたソフィアは、公爵家の使用人宿舎に帰ろうと足早に向かったが、近くまで辿り着くとふと足取りが重くなった。今から部屋に戻っても、気持ちが収まらないだろう。近くの公園に寄って、気分転換をすることにした。
まだ日の高い時間で、日差しも強いので、木陰の下にあるベンチを探す。腰を下ろし、大きく深呼吸すると、幾分か気持ちが落ち着いた。
(私、あんなにも怒っていたんだわ。)
ずっと蓋をしていた思いを吐き出したことで、多少罪悪感はあったが後悔はしていない。一番、分かってほしい家族に、全く理解されないこの苦しさが少しでも伝わってくれただろうか。
(これから、どうしよう。)
ソフィアが付いているシャーロットは、後二、三年で第二王子に嫁ぎ、王宮に上がるだろう。王宮には、王宮侍女がいるため、ソフィアは着いていくことは出来ない。このまま、公爵家で雇って貰えるとは思うが……。
(きっと、このタイミングで婚約を進められる筈ね。)
ソフィアが今日伝えた思いを、両親が正しく受け止めることが出来ているとは思えない。両親は、とても仲が良く、結婚こそが幸せだと考えている節がある。シャーロットが居なくなったタイミングで、本格的に縁談話を持ち込んでくるだろう。
(縁を切るか、諦めて婚約するか……。)
なかなか話の通じない、あの両親だが、縁を切ることは流石に憚られる。婚約の話以外では、良い両親なのだ。だが、また縁談を持ち込まれ、顔合わせする度にガッカリされるあの地獄の時間を、何回繰り返せば良いのだろう。想像するだけで恐ろしく、鳥肌が立った。
(もし、隣にいてくれるなら……。)
「ソフィア!」
ふと、頭をよぎった思いを自覚する前に、うっすら汗をにじませたハロルドが目の前に現れた。
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