【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。

たまこ

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 シャーロットの自室に向かう。ふんわりと美しく笑って、ソフィアとハロルドを迎えてくれたシャーロットは、王子妃に相応しいと、ソフィアは改めて思う。



「二人揃ってお話って何かしら?」



「はい、お嬢様。私たち婚約しましたので、そのご報告に参りました。」


 シャーロットの父、ハワード公爵への挨拶より丁寧に伝えたハロルドを、ソフィアは複雑な思いで見ていた。ソフィアの大事な主、シャーロットへ敬意を示してくれることは嬉しいが、その敬意を少しでも、ハロルド自身の主、ハワード公爵へ表してほしいと思ってしまう。




「え……。」


 思いがけない報告に、シャーロットは目を丸くしていた。ハロルドがソフィアへアプローチしていることは、屋敷中の者が知っていることだったが、シャーロットの耳に入らないよう、ソフィアも他のシャーロット付の使用人たちも気を配っていた。

 というのも、ハロルドのアプローチのせいで、ソフィアが他の使用人から嫌味を言われていることを知られると、シャーロットの負担になってしまうと、ソフィアが周りに願ったことだった。



「以前より、私がソフィアへ思いを寄せていたのです。そこで、アプローチさせていただき、先日ソフィアより了承を得られました。」



「そうだったの……。おめでとう。」


 ソフィアにだけ見せる、甘ったるい笑顔はどこにも見当たらず、冷たい眼差しで淡々と報告するハロルドに、シャーロットは疑いの目を向けた。



「ハロルド。少し、ソフィアと二人で話をさせて貰いたいのだけど、構わないかしら?」



「勿論です。」



 深々と頭を下げた後、颯爽と退室するハロルドを見届けると、シャーロットはソフィアの耳元に口を近づけると小声で尋ねた。


「ソフィア。大丈夫なの?ハロルドは、大変優秀だけど……その、冷たい印象があるわ。私の大事なソフィアを任せてもよいのかと思ってしまうの。」


 シャーロットが、言葉を選びながら伝えてくれた心配の思いを、ソフィアは嬉しく思った。


「お嬢様。ありがとうございます。ですが、大丈夫です。」



「本当に?大体、どうして婚約することになったの?」



 シャーロットの疑問は尤もだと思う。そして、婚約する理由を説明することは、とても難しかった。





「頼まれたので……。」



 たっぷり迷った後、ソフィアはこう答えた。シャーロットに嘘は付けなかった。この婚約は、五年間、ハロルドに乞われた願いであることは事実だからだ。シャーロットは、まだ何か言いたそうにしていたが、王子妃教育へ向かう準備をする時間となりそのまま別れた。





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