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しおりを挟むこうした流れがあり、冷徹執事はここ数日ご機嫌で職務をこなしていた。
冷酷無慈悲な美丈夫が、愛想を振り撒いていれば、どんな女性も虜になってしまうだろう。しかし、ハワード公爵やハロルドの同僚達は、困惑するどころか恐怖すら覚えていた。そして、日が経つほどに、恐怖が強くなっていった。
◇◇◇◇
「……という訳で、ハロルド以外の人間の仕事に支障が出ているんだ。」
ハワード公爵が珍しく娘のシャーロットの部屋にやって来たと思えば、そんな話を聞かされ、ソフィアは気を失いそうになった。
「……旦那様、申し訳ありません。」
「お父様、公爵家で働く者が機嫌良く勤めているのなら、それは良いことではないでしょうか。」
頭を下げたソフィアを見て、シャーロットが助け船を出した。
「ああ。他の者が機嫌良く勤めているのなら、それは当主として喜ばしいことだ。」
ハワード公爵は重々しく続けた。
「これが他の者なら、な。……だが、ハロルドが機嫌が良いとな、何か良からぬ事を考えているのではないかと不安になるんだよ……!」
ハワード公爵の思いの詰まった言葉に、ソフィアもシャーロットも何と言って良いか分からず、顔を見合わすしかなかった。
◇◇◇◇
ハロルドをどうにかして欲しいとハワード公爵に懇願されたソフィアは頭を悩ませていた。
(職場で機嫌良くしないで欲しい、なんてどう説得するのよ……!)
ソフィアはお手上げ状態だったが、元来真面目で責任感の強いソフィアは公爵家当主の依頼を投げ出すことは出来ない……それがどんなに巫山戯た依頼であっても。
(兎も角、ハロルドと話をしてみるしかないわ。)
ソフィアは定時を過ぎると、いつものように待ち伏せている筈のハロルドの元へ、足早に向かった。
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