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しおりを挟む「……ハロルド、全然進んでいないじゃないですか。」
ハロルドの速やかな手続きにより、単身者用の使用人宿舎から夫婦用の使用人宿舎へすぐ引っ越すことができた。だがハロルドは念願のソフィアとの暮らしに、幸せを噛み締めてばかりで引っ越し作業が全く進まない。
「ごめんね?嬉しすぎて。」
「それは……、そう想ってくれるのは嬉しいですけど。」
それはそうと早く買い出しに行きたいのだと、ソフィアは不満そうに訴えた。
「早くしないと夕食の時間に間に合わないじゃないですか。」
「今日は引っ越しで忙しかったし、出来合いのものじゃ駄目?」
ハロルドの提案に、ソフィアの表情は一見怒ったように見えるが、よくよく観察しているとみるみる内に赤く染めあがる。怒ったように照れているのだとハロルドは笑うのを堪えた。
「ソフィア?」
「……一緒に暮らし始める最初の日くらい、お祝いしたいじゃないですか。」
そういえば、引っ越しの片付けもソフィアは初めに台所から手を付けていた。夕食作りに向けて、朝から考えてくれていたということだ。ハロルドは嬉しさからぎゅうぎゅうとソフィアを抱き締めた。
「すぐ片付けるからね。」
「そうは見えないのですが……。」
「あと少しだけ。」
優秀なハロルドは、引っ越しの片付けなんてやる気を出せばあっという間に終わるだろう。すぐに買い出しには行けるはずだと計算し、ソフィアはハロルドの温かさを暫し享受することにした。
<冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。【本編】:完>
本編を最後までお読みいただきありがとうございます!!番外編がもう少し続きますので、続けてお楽しみください。
また、更新が滞りがちで申し訳ありませんでした。
蛇足ですが、ソフィアと両親の関係をどうまとめるかずっと迷っていました。家族仲が良いことだけに拘らず、距離を取っていた方が過ごしやすい場合は、心地よい距離感で過ごせたら良いよね!家族と言っても相性あるよね!と個人的には思っており、このような形となりました。皆様がモヤモヤしないといいなぁ~と願いつつ……最後までお読みいただきありがとうございました!
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