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第3章 パゼーレ魔法騎士団
【85話】 ユウトVSアーニス[後編]
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「なっ!!」
3人になったアーニスを見て驚く俺と観戦していた生徒達。
まさかアーニスは動物だけでなく、自分の分身すらつくれたのだ。
……まぁ人間も動物なのだが。
今度は3人に増えたアーニスが直接俺に襲いかかってくる。
「「「いけ!イーグル!!」」」
アーニス達が出してきたのは再びタカ、しかし今回出してきたタカの数は……
6羽だった。
高速で襲ってくるタカを避けながら、俺はアーニスを狙える機会を伺った。
しかし、いくらタカとはいえ数は6……数に翻弄されて上手く動けなかった。
あぁ……わかっているよ。アーニスが俺に戦いを挑んだ意味くらい。
アーニスは試したかったんだ、俺の実力そして騎士団に入る意思を。
腹のキズだってそうだ。アーニスは優しいんだ、だから俺を騎士団に入れたくなかったんだ。
でも……それでも俺は、騎士団に入るよ。
だってそれがこの世界で俺がやるべきことだと信じているから!
「「「まだ耐えるか、なら本気で行く。」」」
しぶとく戦っている俺を見かねたのかアーニス達の魔力量がさっきより高くなり、さっきまでまわりを飛んでいたタカの姿が消える。
多分次はアーニス達の本気でくるだろう。
「「「ゆけ!!ドラゴン!!!」」」
轟音が鳴り響く。
出てくるは体の細長い緑の鱗の3頭のリュウ。
地面が揺れる、リュウの気魄に体をふるわす。
リュウは俺の数倍の体積があり、6つの蒼き瞳は俺を見据えて鋭くにらんでいた。
しかし俺は臆することなく前進する。
アーニスもそれをむかい撃つかのようにリュウをくり出す。
一頭のリュウが真っ先に俺へとむかう。
地面をけり俺は空へと逃げ攻撃をかわす。
リュウは地面にぶつかり辺りの地面を抉る。
その衝撃が真上にいた俺へおそいかかり、さらに上空にまで飛ばされる。
それに追い討ちをかけるかのごとく、残りの2頭のリュウが襲いかかる。
2頭のリュウが迫り来るなか思っていた、アーニスに応えねばと。
だからこそ俺は今全力を持ってアーニスを倒しにいく!
勝つ為の行動は読めた。
「──最終接続」
俺のジン器である三刀は一つへと合わさっていく。
三刀が合わさり出来上がるは一つの大刀、それによってユウトの魔力は先程より跳ね上がる。
2頭のリュウがくる。
先に俺に到達するであろうリュウを見て刀を構える。
そして空を蹴りリュウへと直進する。
一瞬の閃光の後リュウの首が落ちた。
2頭目のリュウも間近に迫る、1頭を倒されて俺の危険性を理解したのだろう。
口を開き、喰い裂こうとするリュウに縦に刀を構えてそのままリュウを両断する。
2頭のリュウを斬り伏せ、地面へと着地する寸前に最後のリュウが仲間を2頭も倒され怒りに燃え凄まじい気魄と共に背後から襲いかかる。
リュウの接近を即座に理解し、刀を再び構える。
そして一回転、斬撃を360度に回し最後のリュウを斬る。
最後のリュウが地面へと落ちたと同時に俺も地面へと着地する。
目の前にいるのは3人のアーニス。
リュウが倒されたことに驚き動いていない左のアーニス、指をピクリと動かして俺へと向かってくる右のアーニス、そして地面を蹴って俺から距離を離す真ん中のアーニス。
この3人の中から本物を見つけないとダメだ。
間違ったアーニスを選んだ瞬間、残ったアーニスが俺に攻撃を仕掛けるだろう。
そして俺は1人のアーニスに狙いを定めて刀をふるったのだった。
──あぁ、やっぱり私では勝てないか。
ドラゴン3体がユウトに斬り倒されるのを見てアーニスは思った。
私が出せる最強の魔法ドラゴンをもってしてもユウトを止めることが出来なかった。
私は弱い。
だからあの時仲間はほとんど死に"彼"に助けられた。
ユウトが地面に着地する。
私はそれに反応して行動した。
分身とも動きを分けて動いたはずなのに……
「……よく、私が本物だってわかったな」
首元ギリギリに刀を置かれながら私はユウトに尋ねた。
ユウトに距離をおこうとした真ん中……ではなくユウトに攻撃をしかけた右の私が本体だった。
それをユウトは3人の中で本物である私を見つけ出していたのだ。
「……先生は強い人だからきっと、俺にむかってくる。そう思ったからです。」
ユウトは私を見つめながらそう答えた。
その目は彼に似て真っ直ぐ前だけを見据えていた。
『あなたは生きててください。その強くて気高い心を、忘れないでください。』
よみがえる彼の言葉、この言葉を別れの言葉にして彼は元いた世界へと帰った。
明るく希望に満ちあふれた顔をして。
きっとユウトも彼と同じなのだろう。
他人のために自分を犠牲にしてまで必死になる。
それは素晴らしいことでもあり、愚かなことだ。
どんな時でも自分を大切にして欲しかっただからユウトだけは諦めさせようとしたが……彼と重なるユウトを見たらそんな事を言えなくなってしまった。
これはあれだ……
「どうやらわたしの負けのようだな」
諦めたように、けれどその表情にはどこかしら明るさがありながらアーニスはユウトにむかって言ったのだ。
3人になったアーニスを見て驚く俺と観戦していた生徒達。
まさかアーニスは動物だけでなく、自分の分身すらつくれたのだ。
……まぁ人間も動物なのだが。
今度は3人に増えたアーニスが直接俺に襲いかかってくる。
「「「いけ!イーグル!!」」」
アーニス達が出してきたのは再びタカ、しかし今回出してきたタカの数は……
6羽だった。
高速で襲ってくるタカを避けながら、俺はアーニスを狙える機会を伺った。
しかし、いくらタカとはいえ数は6……数に翻弄されて上手く動けなかった。
あぁ……わかっているよ。アーニスが俺に戦いを挑んだ意味くらい。
アーニスは試したかったんだ、俺の実力そして騎士団に入る意思を。
腹のキズだってそうだ。アーニスは優しいんだ、だから俺を騎士団に入れたくなかったんだ。
でも……それでも俺は、騎士団に入るよ。
だってそれがこの世界で俺がやるべきことだと信じているから!
「「「まだ耐えるか、なら本気で行く。」」」
しぶとく戦っている俺を見かねたのかアーニス達の魔力量がさっきより高くなり、さっきまでまわりを飛んでいたタカの姿が消える。
多分次はアーニス達の本気でくるだろう。
「「「ゆけ!!ドラゴン!!!」」」
轟音が鳴り響く。
出てくるは体の細長い緑の鱗の3頭のリュウ。
地面が揺れる、リュウの気魄に体をふるわす。
リュウは俺の数倍の体積があり、6つの蒼き瞳は俺を見据えて鋭くにらんでいた。
しかし俺は臆することなく前進する。
アーニスもそれをむかい撃つかのようにリュウをくり出す。
一頭のリュウが真っ先に俺へとむかう。
地面をけり俺は空へと逃げ攻撃をかわす。
リュウは地面にぶつかり辺りの地面を抉る。
その衝撃が真上にいた俺へおそいかかり、さらに上空にまで飛ばされる。
それに追い討ちをかけるかのごとく、残りの2頭のリュウが襲いかかる。
2頭のリュウが迫り来るなか思っていた、アーニスに応えねばと。
だからこそ俺は今全力を持ってアーニスを倒しにいく!
勝つ為の行動は読めた。
「──最終接続」
俺のジン器である三刀は一つへと合わさっていく。
三刀が合わさり出来上がるは一つの大刀、それによってユウトの魔力は先程より跳ね上がる。
2頭のリュウがくる。
先に俺に到達するであろうリュウを見て刀を構える。
そして空を蹴りリュウへと直進する。
一瞬の閃光の後リュウの首が落ちた。
2頭目のリュウも間近に迫る、1頭を倒されて俺の危険性を理解したのだろう。
口を開き、喰い裂こうとするリュウに縦に刀を構えてそのままリュウを両断する。
2頭のリュウを斬り伏せ、地面へと着地する寸前に最後のリュウが仲間を2頭も倒され怒りに燃え凄まじい気魄と共に背後から襲いかかる。
リュウの接近を即座に理解し、刀を再び構える。
そして一回転、斬撃を360度に回し最後のリュウを斬る。
最後のリュウが地面へと落ちたと同時に俺も地面へと着地する。
目の前にいるのは3人のアーニス。
リュウが倒されたことに驚き動いていない左のアーニス、指をピクリと動かして俺へと向かってくる右のアーニス、そして地面を蹴って俺から距離を離す真ん中のアーニス。
この3人の中から本物を見つけないとダメだ。
間違ったアーニスを選んだ瞬間、残ったアーニスが俺に攻撃を仕掛けるだろう。
そして俺は1人のアーニスに狙いを定めて刀をふるったのだった。
──あぁ、やっぱり私では勝てないか。
ドラゴン3体がユウトに斬り倒されるのを見てアーニスは思った。
私が出せる最強の魔法ドラゴンをもってしてもユウトを止めることが出来なかった。
私は弱い。
だからあの時仲間はほとんど死に"彼"に助けられた。
ユウトが地面に着地する。
私はそれに反応して行動した。
分身とも動きを分けて動いたはずなのに……
「……よく、私が本物だってわかったな」
首元ギリギリに刀を置かれながら私はユウトに尋ねた。
ユウトに距離をおこうとした真ん中……ではなくユウトに攻撃をしかけた右の私が本体だった。
それをユウトは3人の中で本物である私を見つけ出していたのだ。
「……先生は強い人だからきっと、俺にむかってくる。そう思ったからです。」
ユウトは私を見つめながらそう答えた。
その目は彼に似て真っ直ぐ前だけを見据えていた。
『あなたは生きててください。その強くて気高い心を、忘れないでください。』
よみがえる彼の言葉、この言葉を別れの言葉にして彼は元いた世界へと帰った。
明るく希望に満ちあふれた顔をして。
きっとユウトも彼と同じなのだろう。
他人のために自分を犠牲にしてまで必死になる。
それは素晴らしいことでもあり、愚かなことだ。
どんな時でも自分を大切にして欲しかっただからユウトだけは諦めさせようとしたが……彼と重なるユウトを見たらそんな事を言えなくなってしまった。
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