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第5章 ディハンジョン
【194話】 そして危機は訪れる
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決意を新たに俺達は中層を進む。
先ほどいた空間にあった血痕を引きずったような後を追いかけて。
運がいいのか魔獣とも接敵せずに進めてきている。正直、パートリーと彼をおぶっているヴァーリンは戦闘には参加できない。
戦力が足らない状態での戦闘は避けたいところではあった。
──ザーッッ!!
何かが流れる音が聞こえる。
この通路の先に何かあるのだろうか……
そう思いながら俺達はこの通路を抜ける、そしてそこにあったのは……
「おっ……きい滝……」
あたりに広がる景色はさっきまでの閉鎖空間とは違い、下まで続く巨大な空洞。
さらには複数箇所に巨大な滝の水がここより上から下へと入ったら八つ裂きになるような勢いで落ちていった。
「ここは滝とかがあるエリアだ……落ちるなよ、落ちたら下層まで真っ逆さまだ」
広大な空間に気を取られている俺達にラスフが説明する。
確かに足場はあるものの……ここは例えるなら断崖絶壁にある岩棚で出来た通路のようで足を踏み外せばあっという間に落ちそうだ。
まぁ俺には風の魔法があるから落ちはしないけど……
この光景に気を取られている時間はない、一刻も早くこの血痕の跡を追わねば。
そうして歩いていると、先の方に岩棚が広り周りを上下に生えている岩山で囲まれている空間があるのが見えた。
進行方向的にも血痕の後的にもそこを通るのは確定、一時休息地点に出来ないかとも考えたが……
「ここに血痕が続いている……?」
広がっている岩棚に近づくと俺達が追っている血痕がそこに続いているのがわかった。
つまりラスフの仲間は……ここにいる。
外側からでは中様子は岩が邪魔であまり見えない、中から確認する他ないのだ。
「……確認するぞ」
デイの言葉で俺とデイ、そしてラスフの3人で中を覗いた。
「「「なっ──」」」
そこに広がっていたのは地面を覆い尽くすさまざまな生き物の骸、骨だけになり積み重なって地面が一切見えないほど埋め尽くされていた。
どうりでここら辺一帯で魔獣を見ないわけだ。
そして……
「!!お前達!!」
その空間の天井から先ほど見た事ある魔獣のツタが垂れており、その先には2人の男女が逆さに吊られていた。
そして後ろで叫ぶラスフの反応的に彼らがラスフの仲間の人達らしい。
「「ンー!ンー!!」」
彼らはこちらの存在に気付くなり体を揺らして何かを話そうとする。
彼らはツタを猿ぐつわのようにし口を塞がれ言葉を発することが出来なくさせられ全身もツタにより拘束されていたのだ。
「待ってろ!今から俺が──」
「待って、ここは俺が行く」
飛び出そうとするラスフを止め、俺が前へと出る。
「この中で機動力があるのは俺だ。この中で何が起こるかわからない以上、俺が速攻で彼らを救出してこの場を離れるのが1番いい!」
「……わかった」
「任せるぞユート!」
俺の想いが伝わったのかラスフは大人しく引き下がる、それと同時にデイから任せると声をかけられ多少なりとはプレッシャーを感じる。
まぁそれでも期待には応えてみせる。
内部へと駆ける。
素早く今まさに捕まっているラスフの仲間を助けるために。
骸……魔獣達の骨で足場は悪いがそれでも彼らの元にはすぐに辿り着いた。
「「ンー!!」」
「待っててください、今助けます!」
やってきた俺を見て叫ぶ2人、あの魔獣がいない今のうちに早急に助ける。
風の魔力を上へ放ち、天井に繋がれている2人を拘束しているツタを切った。
「よしっ……キャ……ッチ!!」
落ちてくる2人を受け止める。
そしてぐるぐる巻きにされてる2人のツタを切り2人を解放する。
その体にはパートリーと同様の根が生えていた。
「大丈夫ですか!!あの魔獣がいない隙に……」
「違う!!」
口を塞いでいたツタを切った瞬間に彼らは叫ぶ……
「あの魔獣は!!今!下に!!」
その瞬間、背後の骨の中から何かが出てくると同時にデイ達がこちらへ何か叫び始めたのが聞こえてきた。
そう魔獣はこの2人を餌に俺達を誘き出し今俺の背後に姿を見せたのだ。
クソッ!コイツやっぱり知能が高い!!
魔獣は拳を振り上げ俺達を捉える。
俺が……今やるべき事は……!!
「デイ!レイナ!!受け取れぇぇ!!!」
俺は抱えていた2人を思いっきりデイ達の方へとぶん投げた。
2人が俺の手を離れ空を舞っているその時、魔獣の拳は俺へ直撃したのだ。
「ごっ……!!」
背後からの一撃が直撃し前方の岩山まで飛ばされる。
「ユート!!」
レイナ達の心配する声を聞きながら立ち上がりチラッとレイナ達の方を見る。
大丈夫だ、ちゃんとレイナとデイは俺が投げた2人を受け止めてくれていた。
あの2人には後でちゃんと謝ろう。
さて、問題はコイツだ。
先ほど俺達と戦闘していた魔獣……しかしさっきの戦闘で斬ったはずの右腕がある……まさか別個体!?
と一瞬思ったが……右腕に巻き付いてるツタの量が多い……おそらく、腕をツタで固定しているだけだろう。
どちらにしろ脅威なのは変わらない、ここで倒……
そう思いジン器を構えた瞬間だった……魔獣は自らの左腕を地面に強い勢いで着ける。
これはさっきの地面からツタが生えてくる攻撃……!!
直進すればおそらくツタの餌食になりかねない……
その時、魔獣が笑ったように……見えた。
そして魔獣の足元付近の骨の地面の一部が揺れる、これは多分ツタが来る前兆!
ジン器を構えて戦闘準備を整える。
しかしその揺れは俺ではなくデイ達の方目掛けて進んで行ったのだ。
「まさかっ!みんな逃げろ!!」
叫ぶと同時にデイ達の方へ駆ける。
この魔獣……負傷者を抱えて動けないデイ達を狙いやがった!!
飛び出るツタ、応戦しようにも負傷者を抱えているため戦えないデイ達……
「間に合えっっ!!──接続!!」
ジン器を繋ぎ1つの刀にし魔力を込める。
あのツタを斬るように、デイ達に当たらぬように繊細に調整しろっ!俺!!
「はぁぁぁ!!」
デイ達に攻撃が当たってしまったらどうしようなんて迷っている場合はない。
俺は俺の力を信じろ!!
斬る、しかしその風の刃はデイ達には到達せずツタだけを両断したのだ。
「よしっ!」
デイ達を守れたと安心したその時だった。
あの魔獣が厄介だと思ったのは……1番先に排除するべきだと判断したのは……どうやら俺だったようだ。
足首にツタが絡みつく、デイ達を助けに行った隙をついての奇襲!?
本当にこの魔獣……賢いっ!
でもこんなツタ魔法で斬れ──
「──っっあっ!!」
魔法を使おうとした瞬間、強い力で魔獣に引っ張られその衝撃でも思考が乱れる。
その結果魔法を使わせてはもらえないまま放り投げられ岩山を貫通して俺は岩棚の外で宙を舞っていた。
コイツ、俺を飛ばしてみんなと分断させる気か!でも今ならなんとか魔法で戻れる!!
思考が戻った俺は足に魔力を貯めて空を蹴り岩棚へと戻ろうとした瞬間だった。
「「ぐわぁっっあぁぁ!!」」
宙を舞っている俺に何処からともなく嘴の鋭い鳥が2羽現れる。
「な、なんっっ──うっ!!」
いきなり現れた見知らぬ鳥に気を取られた瞬間、鳥は両方とも猛回転しながらこちらへと突っ込み嘴で俺の両肩を貫きながらそのまま俺を下へ下へとその勢いのまま連れて行った。
落ちる落ちる、落ちていく!!
みんなから遠ざかって俺はこの鳥の魔獣によって下へ遠くへと運ばれていく。
そしてしばらく落ちていき鳥達は方向を変え、壁へと直進する。
「……はっ!?」
なんとかして顔を後ろに向けてその壁を見て驚愕する、この鳥達が向かっている壁には無数の岩で出来た先の尖った赤黒い色をした長針が幾つもあったのだ。
こんなところに突っ込んだら間違いなく死ぬ!!
「──っふっっざけんな!!」
俺は持っていたジン器を刀から短剣へと変え鳥達を2羽同時に頭部を刺して殺す。
それでもこれほど加速した勢いは止まらずに俺は風の魔法を壁にぶち当ててその反動でなんとか壁への衝突を防いで地面に着地出来た。
「なんとか……助かった。うわぁ……」
その壁の下にあるさまざまな生き物の骨を見てあの鳥達の狩りのやり方を悟って少しばかり引く。
そしてこの場所について冷静に考える。
中層よりも下にあるここはここは……
「下層……か」
俺は下層に落とされた、速くっ!みんなを助けに向かわねば!!
先ほどいた空間にあった血痕を引きずったような後を追いかけて。
運がいいのか魔獣とも接敵せずに進めてきている。正直、パートリーと彼をおぶっているヴァーリンは戦闘には参加できない。
戦力が足らない状態での戦闘は避けたいところではあった。
──ザーッッ!!
何かが流れる音が聞こえる。
この通路の先に何かあるのだろうか……
そう思いながら俺達はこの通路を抜ける、そしてそこにあったのは……
「おっ……きい滝……」
あたりに広がる景色はさっきまでの閉鎖空間とは違い、下まで続く巨大な空洞。
さらには複数箇所に巨大な滝の水がここより上から下へと入ったら八つ裂きになるような勢いで落ちていった。
「ここは滝とかがあるエリアだ……落ちるなよ、落ちたら下層まで真っ逆さまだ」
広大な空間に気を取られている俺達にラスフが説明する。
確かに足場はあるものの……ここは例えるなら断崖絶壁にある岩棚で出来た通路のようで足を踏み外せばあっという間に落ちそうだ。
まぁ俺には風の魔法があるから落ちはしないけど……
この光景に気を取られている時間はない、一刻も早くこの血痕の跡を追わねば。
そうして歩いていると、先の方に岩棚が広り周りを上下に生えている岩山で囲まれている空間があるのが見えた。
進行方向的にも血痕の後的にもそこを通るのは確定、一時休息地点に出来ないかとも考えたが……
「ここに血痕が続いている……?」
広がっている岩棚に近づくと俺達が追っている血痕がそこに続いているのがわかった。
つまりラスフの仲間は……ここにいる。
外側からでは中様子は岩が邪魔であまり見えない、中から確認する他ないのだ。
「……確認するぞ」
デイの言葉で俺とデイ、そしてラスフの3人で中を覗いた。
「「「なっ──」」」
そこに広がっていたのは地面を覆い尽くすさまざまな生き物の骸、骨だけになり積み重なって地面が一切見えないほど埋め尽くされていた。
どうりでここら辺一帯で魔獣を見ないわけだ。
そして……
「!!お前達!!」
その空間の天井から先ほど見た事ある魔獣のツタが垂れており、その先には2人の男女が逆さに吊られていた。
そして後ろで叫ぶラスフの反応的に彼らがラスフの仲間の人達らしい。
「「ンー!ンー!!」」
彼らはこちらの存在に気付くなり体を揺らして何かを話そうとする。
彼らはツタを猿ぐつわのようにし口を塞がれ言葉を発することが出来なくさせられ全身もツタにより拘束されていたのだ。
「待ってろ!今から俺が──」
「待って、ここは俺が行く」
飛び出そうとするラスフを止め、俺が前へと出る。
「この中で機動力があるのは俺だ。この中で何が起こるかわからない以上、俺が速攻で彼らを救出してこの場を離れるのが1番いい!」
「……わかった」
「任せるぞユート!」
俺の想いが伝わったのかラスフは大人しく引き下がる、それと同時にデイから任せると声をかけられ多少なりとはプレッシャーを感じる。
まぁそれでも期待には応えてみせる。
内部へと駆ける。
素早く今まさに捕まっているラスフの仲間を助けるために。
骸……魔獣達の骨で足場は悪いがそれでも彼らの元にはすぐに辿り着いた。
「「ンー!!」」
「待っててください、今助けます!」
やってきた俺を見て叫ぶ2人、あの魔獣がいない今のうちに早急に助ける。
風の魔力を上へ放ち、天井に繋がれている2人を拘束しているツタを切った。
「よしっ……キャ……ッチ!!」
落ちてくる2人を受け止める。
そしてぐるぐる巻きにされてる2人のツタを切り2人を解放する。
その体にはパートリーと同様の根が生えていた。
「大丈夫ですか!!あの魔獣がいない隙に……」
「違う!!」
口を塞いでいたツタを切った瞬間に彼らは叫ぶ……
「あの魔獣は!!今!下に!!」
その瞬間、背後の骨の中から何かが出てくると同時にデイ達がこちらへ何か叫び始めたのが聞こえてきた。
そう魔獣はこの2人を餌に俺達を誘き出し今俺の背後に姿を見せたのだ。
クソッ!コイツやっぱり知能が高い!!
魔獣は拳を振り上げ俺達を捉える。
俺が……今やるべき事は……!!
「デイ!レイナ!!受け取れぇぇ!!!」
俺は抱えていた2人を思いっきりデイ達の方へとぶん投げた。
2人が俺の手を離れ空を舞っているその時、魔獣の拳は俺へ直撃したのだ。
「ごっ……!!」
背後からの一撃が直撃し前方の岩山まで飛ばされる。
「ユート!!」
レイナ達の心配する声を聞きながら立ち上がりチラッとレイナ達の方を見る。
大丈夫だ、ちゃんとレイナとデイは俺が投げた2人を受け止めてくれていた。
あの2人には後でちゃんと謝ろう。
さて、問題はコイツだ。
先ほど俺達と戦闘していた魔獣……しかしさっきの戦闘で斬ったはずの右腕がある……まさか別個体!?
と一瞬思ったが……右腕に巻き付いてるツタの量が多い……おそらく、腕をツタで固定しているだけだろう。
どちらにしろ脅威なのは変わらない、ここで倒……
そう思いジン器を構えた瞬間だった……魔獣は自らの左腕を地面に強い勢いで着ける。
これはさっきの地面からツタが生えてくる攻撃……!!
直進すればおそらくツタの餌食になりかねない……
その時、魔獣が笑ったように……見えた。
そして魔獣の足元付近の骨の地面の一部が揺れる、これは多分ツタが来る前兆!
ジン器を構えて戦闘準備を整える。
しかしその揺れは俺ではなくデイ達の方目掛けて進んで行ったのだ。
「まさかっ!みんな逃げろ!!」
叫ぶと同時にデイ達の方へ駆ける。
この魔獣……負傷者を抱えて動けないデイ達を狙いやがった!!
飛び出るツタ、応戦しようにも負傷者を抱えているため戦えないデイ達……
「間に合えっっ!!──接続!!」
ジン器を繋ぎ1つの刀にし魔力を込める。
あのツタを斬るように、デイ達に当たらぬように繊細に調整しろっ!俺!!
「はぁぁぁ!!」
デイ達に攻撃が当たってしまったらどうしようなんて迷っている場合はない。
俺は俺の力を信じろ!!
斬る、しかしその風の刃はデイ達には到達せずツタだけを両断したのだ。
「よしっ!」
デイ達を守れたと安心したその時だった。
あの魔獣が厄介だと思ったのは……1番先に排除するべきだと判断したのは……どうやら俺だったようだ。
足首にツタが絡みつく、デイ達を助けに行った隙をついての奇襲!?
本当にこの魔獣……賢いっ!
でもこんなツタ魔法で斬れ──
「──っっあっ!!」
魔法を使おうとした瞬間、強い力で魔獣に引っ張られその衝撃でも思考が乱れる。
その結果魔法を使わせてはもらえないまま放り投げられ岩山を貫通して俺は岩棚の外で宙を舞っていた。
コイツ、俺を飛ばしてみんなと分断させる気か!でも今ならなんとか魔法で戻れる!!
思考が戻った俺は足に魔力を貯めて空を蹴り岩棚へと戻ろうとした瞬間だった。
「「ぐわぁっっあぁぁ!!」」
宙を舞っている俺に何処からともなく嘴の鋭い鳥が2羽現れる。
「な、なんっっ──うっ!!」
いきなり現れた見知らぬ鳥に気を取られた瞬間、鳥は両方とも猛回転しながらこちらへと突っ込み嘴で俺の両肩を貫きながらそのまま俺を下へ下へとその勢いのまま連れて行った。
落ちる落ちる、落ちていく!!
みんなから遠ざかって俺はこの鳥の魔獣によって下へ遠くへと運ばれていく。
そしてしばらく落ちていき鳥達は方向を変え、壁へと直進する。
「……はっ!?」
なんとかして顔を後ろに向けてその壁を見て驚愕する、この鳥達が向かっている壁には無数の岩で出来た先の尖った赤黒い色をした長針が幾つもあったのだ。
こんなところに突っ込んだら間違いなく死ぬ!!
「──っふっっざけんな!!」
俺は持っていたジン器を刀から短剣へと変え鳥達を2羽同時に頭部を刺して殺す。
それでもこれほど加速した勢いは止まらずに俺は風の魔法を壁にぶち当ててその反動でなんとか壁への衝突を防いで地面に着地出来た。
「なんとか……助かった。うわぁ……」
その壁の下にあるさまざまな生き物の骨を見てあの鳥達の狩りのやり方を悟って少しばかり引く。
そしてこの場所について冷静に考える。
中層よりも下にあるここはここは……
「下層……か」
俺は下層に落とされた、速くっ!みんなを助けに向かわねば!!
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