【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*

文字の大きさ
107 / 149

選べなかった未来①

しおりを挟む
「別にずっと、普通に笑ってたと思うけど……」

 咄嗟に口にした、嘘の言葉。
 すると彼は真っ直ぐに僕の目を見つめたまま、困り顔で笑った。

「……嘘吐き。俺がどんだけお前の事、好きだと思ってんの?」

 それからいつもみたいにベェと舌を出したかと思うと、もう一度僕の頭をそっと撫でてくれた。

「無理して笑えとは、言わないけどさ。
 ……お前が俺と一緒にいて、少しでも楽しいって思ってくれたら嬉しい」

 僕をいつもオモチャみたいに扱う癖に、こういう時は大切な、まるで宝物みたいに優しく触れる彼。

 最初の頃は正直それにかなり戸惑ったけれど、どちらもやっぱり同じ遼河くんで。
 そして酷い目に遇わされるのはいつだって、彼が何かに嫉妬したり、彼を不安にさせた時。

 少しずつ分かり始めた、彼の行動パターンと思考回路。
 地雷はあちこちに埋まっているけれど、その位置をちゃんと把握し、僕がそれをうまく避けたさえ彼は無条件に愛してくれる。

 本当はずっと、気付いていた。
 彼はアソビなどではなく、本気で僕を愛し、求めてくれているのだと。

 なのにそれを認めてしまうのは、やっぱりこわい。
 何かを得る喜びよりも、僕は失う悲しみの方をよく知っているから。

「何?それ。
 僕は普通に楽しんでるし、笑ってる。
 遼河くんの、気にし過ぎじゃない?」

 にっこりと微笑み、告げた。
 眉間に寄せられた、深いシワ。

 だけど彼はククッと可笑しそうに笑い、僕の頭を今度はくしゃりと撫でた。

「ホント大晴って、変なところで強情だよなぁ……。
 でもまぁ、いいや。今日のところは、そういう事にしておいてやるよ」
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

「じゃあ、別れるか」

万年青二三歳
BL
 三十路を過ぎて未だ恋愛経験なし。平凡な御器谷の生活はひとまわり年下の優秀な部下、黒瀬によって破壊される。勤務中のキス、気を失うほどの快楽、甘やかされる週末。もう離れられない、と御器谷は自覚するが、一時の怒りで「じゃあ、別れるか」と言ってしまう。自分を甘やかし、望むことしかしない部下は別れを選ぶのだろうか。  期待の若手×中間管理職。年齢は一回り違い。年の差ラブ。  ケンカップル好きへ捧げます。  ムーンライトノベルズより転載(「多分、じゃない」より改題)。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。 挿絵をchat gptに作成してもらいました(*'▽'*)

政略結婚制度に怒っています

河野彰
BL
「政略結婚法」が施行されて十余年。政治家や俳優、高額納税者などの著名人は三十歳までに結婚をしなければならないという法律だ。  主人公末永遥(すえながはるか)はごく一般家庭に育った地味なサラリーマンだったが、ある日一通の通知が政府から届く。それは、高額納税者である久堂清継(くどうきよつぐ)との婚姻が成立したという決定通知だった。  男同士で結婚!? と驚く遥。間違いかと思い、すぐに異議申し立てをしに市役所へ行ったが、そこで事実だと告げられてしまう。トボトボと帰路につく遥の前に清継が現れて……。

結婚することになったんだけど、相手が死人でした

河野彰
BL
俺、里見ヒカル。  この度、「死人」の花嫁になることになりました。

βな俺は王太子に愛されてΩとなる

ふき
BL
王太子ユリウスの“運命”として幼い時から共にいるルカ。 けれど彼は、Ωではなくβだった。 それを知るのは、ユリウスただ一人。 真実を知りながら二人は、穏やかで、誰にも触れられない日々を過ごす。 だが、王太子としての責務が二人の運命を軋ませていく。 偽りとも言える関係の中で、それでも手を離さなかったのは―― 愛か、執着か。 ※性描写あり ※独自オメガバース設定あり ※ビッチングあり

大好きな婚約者を僕から自由にしてあげようと思った

こたま
BL
オメガの岡山智晴(ちはる)には婚約者がいる。祖父が友人同士であるアルファの香川大輝(だいき)だ。格好良くて優しい大輝には祖父同士が勝手に決めた相手より、自らで選んだ人と幸せになって欲しい。自分との婚約から解放して自由にしてあげようと思ったのだが…。ハッピーエンドオメガバースBLです。

両手で抱えきれないほどの愛を君に

まつぼっくり
BL
平和な王国アルヴェで生まれたユイリナは四歳の誕生日に時空間の歪みへ落ちてしまう。 落ちた先で優しい夫婦に拾われて、引き取られ、五十嵐 唯利(いがらし ゆいり)として生きていくが、両親の死をきっかけにアルヴェへと戻ってくる。 落ちるときに目の前にいた兄の親友×十二年ぶりに帰って来た子 ふんわり設定 全7話+1話 全話予約投稿済み 他サイトにも掲載中

たしかなこと

大波小波
BL
 白洲 沙穂(しらす さほ)は、カフェでアルバイトをする平凡なオメガだ。  ある日カフェに現れたアルファ男性・源 真輝(みなもと まさき)が体調不良を訴えた。  彼を介抱し見送った沙穂だったが、再び現れた真輝が大富豪だと知る。  そんな彼が言うことには。 「すでに私たちは、恋人同士なのだから」  僕なんかすぐに飽きるよね、と考えていた沙穂だったが、やがて二人は深い愛情で結ばれてゆく……。

処理中です...