君に捧げる、魔法のレシピ〜さえない動画配信者の僕が、クラスの王子様的男子に恋をした結果〜

ryon*

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ネガティブな感情④

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 なにがスイーツの魔法使いだ。
 他人の心はおろか、自分の気持ちすらもコントロールできない未熟で弱い僕。
 ドロドロとした、ヘドロみたいな負の感情が僕の心を支配していく。
 そんな気持ちをごまかすみたいに、できたての抹茶サブレに手を伸ばす。
 それをひとくち口に運び、苦笑した。

「ハハ……、やっぱりおいしいんだよな」

 もう一度、さっきよりも大きなため息をひとつ吐き、それから自分の心にたまった汚い感情を洗い流すみたいにひとり後片付けを開始した。

 それが終わると、明日の午後3時からの配信に向けて、動画の編集に入った。
 これに関しては最初の頃は本当に苦戦していたけれど、今ではそれにもすっかり慣れてしまった。
 ちなみにバックで流すための音楽は、自分が活動するバンドの曲の作詞作曲も担当している太陽が作ってくれた、オリジナル音源を使用している。

 りとるのイメージに合わせて作ってくれたのだという明るい曲調のピアノ演奏は、沈んでいた僕の心までちょっぴり軽くしてくれた。

 スイーツの魔法使い りとるのキャラクターを描いたデフォルメされた可愛らしいイラストは、絵を描くのが趣味の妹が描いてくれたものだ。

 どちらもたいへん好評で、周囲のみんなからの協力もあり、りとるは今の人気を手に入れることができたのだと思う。

 動画そのものはそこまで凝ったものではないのに、どちらも僕の作った動画に、花を添えてくれているから。
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