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第一部 王立宮廷大学を目指そう!
23. 新しい剣
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防御の型の訓練は、カテリーナにとって、攻撃の型の訓練よりも激しく、キツいものだった。
カテリーナが、盾を構え防御の姿勢をとっているところに、アレクシオスは容赦のない体当たりを行う。
「……うわっ!」
「カテリーナ、そこでフラついてはだめだ。集団で敵を受け止めなけれならないとき、一人が崩れれば、皆が崩れてしまう!」
受け止めの訓練は、体重の軽いカテリーナには不利な内容だった。
しかし、実技試験は、男女の差も体格の差も関係なく画一的に行われるので、対応できるようになるしかない。
実技試験を見据えた、容赦のない訓練が続いた。
何度も吹き飛ばされ、軽いケガをしたり体力の限界を迎えたところで、兄の神聖魔法によって癒され、訓練に復帰させられる。
――あ、あきらかに、攻撃の訓練の方がマシだったわ……
「……カテリーナ、体格の差はバランスで埋めるしかないんだ。辛いとは思うが、自分の身体を、早く使いこなせるようになってほしい」
「はひぃ!」
カテリーナは、まともに返事ができないほど疲労していたが、これだけしてくれている兄のためにも、自分の夢のためにも、訓練を止めることだけはしなかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
約1ヵ月が過ぎ、防御の型の訓練が終わった。
その副産物として、カテリーナの体幹は、見違えるほどに強くなっていた。
「いいね、カテリーナ。これで、簡単には倒されたりしないはずだよ」
兄の褒め言葉に対し、これまでのカテリーナであれば、「自分なんか……」という考えが真っ先に浮かんでいたが、今では「そうかも知れない……」と受け止められるようになり、心の内側が変わり始めていた。
「では、ここからが真の訓練の始まりだよ。今から残りの約7ヵ月の間は、対人戦に特化した訓練を始めるよ」
「はい、ぜひお願いします!」
カテリーナは、きつい実技訓練と試験勉強と神々への祈りを、毎日欠かさずに続けていた。
するとカテリーナの中に、何でも乗り越えられるという、ある種の自信のようなものが生まれ始めていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「突きの攻撃は、ただ闇雲に突く訳ではなく、目的や考えを持って攻撃を組み立てていくんだよ」
「どういうことでしょう?」
「例えば、隙の無い相手に、小手のあたりを牽制して突いていく。すると、相手は何らかの動きをする。引いて防御を整えたり、剣で払ったり、攻撃に移ったり、などだね」
アレクシオスは、実際にその動きをカテリーナに見せた。
「そこで、隙が生まれる。その隙を突くんだ。動けば、身体のどこかで急所を隠せない隙ができてしまうんだ。このようにね」
アレクシオスは、自らの身体の部位を指し示しながら、剣を振り上げたときの肘や、胴体の隙、剣を払いにきた相手を躱したときの隙などを教えていった。
「こうすれば、相手はこう動く。その組み立てで、相手の動きを引き出す……つまり、相手の隙をこちらから作り出すということなんだ」
「なるほど!」
「そのためには、まず、瞬時に観察して相手を想定するんだ。どんな武器を使っている? 持ち方は? 戦い方は? 速さでくる? 力でくる? 性格は短気? それとも慎重?」
「むむむ……」
「ははは、これは経験するしかないからね。対戦実技の試験では、身体強化も含め、魔法は一切禁止だから、純粋に剣士としての視点だけで大丈夫だよ」
しかめっ面をしながら、考え込んでいるカテリーナに、アレクシオスは、そっと布に包まれた剣を手渡した。
カテリーナは、ハッと気付き、兄の顔を見上げた。
「お兄さま、これは?」
「カテリーナのための剣ができたんだよ。開けてみて」
カテリーナは布の包みを外し、鞘から剣を取り出した。
そこには、美しい装飾が施された、細身の剣が輝いていた。
「なんて綺麗なんでしょう! ありがとうございます、お兄さま!」
「気に入ってくれたみたいで良かったよ」
カテリーナが、今後愛用していくことになる、新しい剣との出会いだった。
さっそく片手で構えると、カテリーナは少し重さを感じた。
「あっ、見た目よりは重く感じますね。細いけど、丈夫な感じ」
「そうなんだ。細いから軽めに見えるけど、刺突のときに剣が折れないように、丈夫にできているんだ」
「なるほど」
「では、横に半身になって。剣はを片手で持って、肘を曲げた状態で構えてみて」
「はい」
「今はもう少し身構える感じで。そうそう、そんな感じ」
カテリーナは、新しい剣が、早くも自分に馴染むような感じがしていた。
「そして、左足で前に踏み込むと同時に、剣をまっすぐに突きだす!」
――ダンッ!
左足を前に出して踏み込み、カテリーナの手から剣がまっすぐに突き出された姿は、初めてとは思えないほど、美しい剣士の姿だった。
「素晴らしい! まさに、そのように突き出すんだ! ……ふふ、気付いたみたいだね、カテリーナ」
「はい、あの……思っていた以上に、剣が遠くに届く感じです!」
「それが、この剣の有利さなんだ。相手によっては、近寄ることすらできないまま、一方的にこちらが攻撃を続けられるんだ」
――これは凄いかもしれないわ!
カテリーナは、気持ちの高ぶりが抑えきれなくなってきていた。
――早く、この剣で練習してみたい!
訓練に対する気持ちも、積極的なものへと変わり始めていた。
「カテリーナ、君だからこそ有利になる条件がもう1つあるんだ。2つ目はね……」
カテリーナは、食い入るように、兄の話に耳を傾けるのだった。
カテリーナが、盾を構え防御の姿勢をとっているところに、アレクシオスは容赦のない体当たりを行う。
「……うわっ!」
「カテリーナ、そこでフラついてはだめだ。集団で敵を受け止めなけれならないとき、一人が崩れれば、皆が崩れてしまう!」
受け止めの訓練は、体重の軽いカテリーナには不利な内容だった。
しかし、実技試験は、男女の差も体格の差も関係なく画一的に行われるので、対応できるようになるしかない。
実技試験を見据えた、容赦のない訓練が続いた。
何度も吹き飛ばされ、軽いケガをしたり体力の限界を迎えたところで、兄の神聖魔法によって癒され、訓練に復帰させられる。
――あ、あきらかに、攻撃の訓練の方がマシだったわ……
「……カテリーナ、体格の差はバランスで埋めるしかないんだ。辛いとは思うが、自分の身体を、早く使いこなせるようになってほしい」
「はひぃ!」
カテリーナは、まともに返事ができないほど疲労していたが、これだけしてくれている兄のためにも、自分の夢のためにも、訓練を止めることだけはしなかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
約1ヵ月が過ぎ、防御の型の訓練が終わった。
その副産物として、カテリーナの体幹は、見違えるほどに強くなっていた。
「いいね、カテリーナ。これで、簡単には倒されたりしないはずだよ」
兄の褒め言葉に対し、これまでのカテリーナであれば、「自分なんか……」という考えが真っ先に浮かんでいたが、今では「そうかも知れない……」と受け止められるようになり、心の内側が変わり始めていた。
「では、ここからが真の訓練の始まりだよ。今から残りの約7ヵ月の間は、対人戦に特化した訓練を始めるよ」
「はい、ぜひお願いします!」
カテリーナは、きつい実技訓練と試験勉強と神々への祈りを、毎日欠かさずに続けていた。
するとカテリーナの中に、何でも乗り越えられるという、ある種の自信のようなものが生まれ始めていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「突きの攻撃は、ただ闇雲に突く訳ではなく、目的や考えを持って攻撃を組み立てていくんだよ」
「どういうことでしょう?」
「例えば、隙の無い相手に、小手のあたりを牽制して突いていく。すると、相手は何らかの動きをする。引いて防御を整えたり、剣で払ったり、攻撃に移ったり、などだね」
アレクシオスは、実際にその動きをカテリーナに見せた。
「そこで、隙が生まれる。その隙を突くんだ。動けば、身体のどこかで急所を隠せない隙ができてしまうんだ。このようにね」
アレクシオスは、自らの身体の部位を指し示しながら、剣を振り上げたときの肘や、胴体の隙、剣を払いにきた相手を躱したときの隙などを教えていった。
「こうすれば、相手はこう動く。その組み立てで、相手の動きを引き出す……つまり、相手の隙をこちらから作り出すということなんだ」
「なるほど!」
「そのためには、まず、瞬時に観察して相手を想定するんだ。どんな武器を使っている? 持ち方は? 戦い方は? 速さでくる? 力でくる? 性格は短気? それとも慎重?」
「むむむ……」
「ははは、これは経験するしかないからね。対戦実技の試験では、身体強化も含め、魔法は一切禁止だから、純粋に剣士としての視点だけで大丈夫だよ」
しかめっ面をしながら、考え込んでいるカテリーナに、アレクシオスは、そっと布に包まれた剣を手渡した。
カテリーナは、ハッと気付き、兄の顔を見上げた。
「お兄さま、これは?」
「カテリーナのための剣ができたんだよ。開けてみて」
カテリーナは布の包みを外し、鞘から剣を取り出した。
そこには、美しい装飾が施された、細身の剣が輝いていた。
「なんて綺麗なんでしょう! ありがとうございます、お兄さま!」
「気に入ってくれたみたいで良かったよ」
カテリーナが、今後愛用していくことになる、新しい剣との出会いだった。
さっそく片手で構えると、カテリーナは少し重さを感じた。
「あっ、見た目よりは重く感じますね。細いけど、丈夫な感じ」
「そうなんだ。細いから軽めに見えるけど、刺突のときに剣が折れないように、丈夫にできているんだ」
「なるほど」
「では、横に半身になって。剣はを片手で持って、肘を曲げた状態で構えてみて」
「はい」
「今はもう少し身構える感じで。そうそう、そんな感じ」
カテリーナは、新しい剣が、早くも自分に馴染むような感じがしていた。
「そして、左足で前に踏み込むと同時に、剣をまっすぐに突きだす!」
――ダンッ!
左足を前に出して踏み込み、カテリーナの手から剣がまっすぐに突き出された姿は、初めてとは思えないほど、美しい剣士の姿だった。
「素晴らしい! まさに、そのように突き出すんだ! ……ふふ、気付いたみたいだね、カテリーナ」
「はい、あの……思っていた以上に、剣が遠くに届く感じです!」
「それが、この剣の有利さなんだ。相手によっては、近寄ることすらできないまま、一方的にこちらが攻撃を続けられるんだ」
――これは凄いかもしれないわ!
カテリーナは、気持ちの高ぶりが抑えきれなくなってきていた。
――早く、この剣で練習してみたい!
訓練に対する気持ちも、積極的なものへと変わり始めていた。
「カテリーナ、君だからこそ有利になる条件がもう1つあるんだ。2つ目はね……」
カテリーナは、食い入るように、兄の話に耳を傾けるのだった。
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