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第一部 王立宮廷大学を目指そう!
37. 義母との茶会
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アレクシオスは神聖騎士団の施設内で、部下からの報告を受けていた。
「……そうか、分かった。報告、ありがとう」
「はい、それでは失礼いたします」
――やはり、これは事故でも偶然でもない……。
アレクシオスは静かに思考を巡らせた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
帰宅したアレクシオスは、義母・カリスタとお茶を共にする時間を設けていた。
「こうしてお茶をご一緒するのは、久しぶりですね。たまには、お勤めのことは忘れて、ゆっくりなさるのもよいのではないですか?」
カリスタは優雅に紅茶を口に運びながら、穏やかに言った。
アレクシオスは、彼女の正面に静かに腰を下ろしていたが、その眼差しは一瞬たりとも逸らさず、まっすぐにカリスタを見つめていた。
「ところで――義母上、例の宝石を売った行商人ですが、神聖騎士団の調査によって、王都の外れにある貧民街で、何者かに殺害されていたことが判明しました」
「それは……残念です。私も、行商人同士のつながりを頼って、行方を探していたので……」
「義母上は、今回の件について、何もご存じなかったと?」
「もちろん。今、アレクシオスさまから初めて聞きましたわ」
カリスタの表情に変化はなかった。
動揺の色も見えず、微笑みを崩すことさえなかった。
「あの宝石には、強力な身体強化魔法に加え、支配魔法まで付与されておりました。しかも、解除された際には自動で消滅する細工まで……。これほどの術式を構築できる魔術師は、並の者ではありません」
「まぁ、それは随分と高度な魔法なのですね。大学にも魔法学校にも通わなかった私にとっては、到底理解の及ばぬ世界です」
その言葉に、アレクシオスの目がわずかに細くなった。
「とはいえ、義母上は実際に魔法を使っておられます。ご謙遜が過ぎるのでは?」
「いえいえ。あくまで教養の一環として、実家で手習いを受けただけのこと。学校などの高度な教育など受けてはおりませんよ」
「それにしては、かなり洗練された魔法をお使いかと……」
「まぁ、お褒めに預かり光栄です。私は、貴族の娘として生まれた以上、良き殿方に嫁ぎ、良き子を産み育てること――そして、高貴なる血統の責務を全うすることこそ、すべてだと思っております」
――なるほど。これは上手くかわされたな。
しかも、カテリーナへの皮肉まで織り交ぜている。
アレクシオスは思わず微笑を漏らした。
「さすがですね、義母上は」
その一言には、巧みに受け流されたことへの皮肉と、貴族の婦人としての信条に対する儀礼的な敬意が込められていた。
その言葉に対し、カリスタはただ儀礼的な微笑みだけで、何も語らなかった。
「それでは、カテリーナとキリロスの訓練があるので、これにて失礼いたします」
「……義弟を、どうぞよろしくお願いしますね」
その最後の一言が、単なる儀礼なのか、それとも実母としての想いからなのか、アレクシオスには分からなかった。
このとき、アレクシオスは、まだ気付いていなかった。
義母カリスタという人物が、どれほどの秘密を抱えているのか。
そして、その過去に何が眠っているのかを――。
「……そうか、分かった。報告、ありがとう」
「はい、それでは失礼いたします」
――やはり、これは事故でも偶然でもない……。
アレクシオスは静かに思考を巡らせた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
帰宅したアレクシオスは、義母・カリスタとお茶を共にする時間を設けていた。
「こうしてお茶をご一緒するのは、久しぶりですね。たまには、お勤めのことは忘れて、ゆっくりなさるのもよいのではないですか?」
カリスタは優雅に紅茶を口に運びながら、穏やかに言った。
アレクシオスは、彼女の正面に静かに腰を下ろしていたが、その眼差しは一瞬たりとも逸らさず、まっすぐにカリスタを見つめていた。
「ところで――義母上、例の宝石を売った行商人ですが、神聖騎士団の調査によって、王都の外れにある貧民街で、何者かに殺害されていたことが判明しました」
「それは……残念です。私も、行商人同士のつながりを頼って、行方を探していたので……」
「義母上は、今回の件について、何もご存じなかったと?」
「もちろん。今、アレクシオスさまから初めて聞きましたわ」
カリスタの表情に変化はなかった。
動揺の色も見えず、微笑みを崩すことさえなかった。
「あの宝石には、強力な身体強化魔法に加え、支配魔法まで付与されておりました。しかも、解除された際には自動で消滅する細工まで……。これほどの術式を構築できる魔術師は、並の者ではありません」
「まぁ、それは随分と高度な魔法なのですね。大学にも魔法学校にも通わなかった私にとっては、到底理解の及ばぬ世界です」
その言葉に、アレクシオスの目がわずかに細くなった。
「とはいえ、義母上は実際に魔法を使っておられます。ご謙遜が過ぎるのでは?」
「いえいえ。あくまで教養の一環として、実家で手習いを受けただけのこと。学校などの高度な教育など受けてはおりませんよ」
「それにしては、かなり洗練された魔法をお使いかと……」
「まぁ、お褒めに預かり光栄です。私は、貴族の娘として生まれた以上、良き殿方に嫁ぎ、良き子を産み育てること――そして、高貴なる血統の責務を全うすることこそ、すべてだと思っております」
――なるほど。これは上手くかわされたな。
しかも、カテリーナへの皮肉まで織り交ぜている。
アレクシオスは思わず微笑を漏らした。
「さすがですね、義母上は」
その一言には、巧みに受け流されたことへの皮肉と、貴族の婦人としての信条に対する儀礼的な敬意が込められていた。
その言葉に対し、カリスタはただ儀礼的な微笑みだけで、何も語らなかった。
「それでは、カテリーナとキリロスの訓練があるので、これにて失礼いたします」
「……義弟を、どうぞよろしくお願いしますね」
その最後の一言が、単なる儀礼なのか、それとも実母としての想いからなのか、アレクシオスには分からなかった。
このとき、アレクシオスは、まだ気付いていなかった。
義母カリスタという人物が、どれほどの秘密を抱えているのか。
そして、その過去に何が眠っているのかを――。
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